日本学術振興会
21世紀COEプログラム


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東京外国語大学国際学術戦略本部(OFIAS)

東京外国語大学アチェ文化財復興支援室

アフガニスタン研究ネットワーク


5.史資料ハブの活動



本計画では、第一に、イギリス国立図書館、アメリカ議会図書館、シカゴの研究図書館センタ―などの海外諸機関が推進するアジア・アフリカ諸言語史資料の包括的保存・共有・情報化プロジェクトに加盟し、そのネットワークの一翼を担いつつ、アジア太平洋地域における史資料ハブとして、収奪型ではない諸事業を推進してゆく。


二に、資料活動と研究活動を有機的に結合した共同研究を組織し、地域の生成と変容に関わる課題群を考究する。重点対象として従来の史資料活動やオフィシャル・ヒストリーの目が届かなかった領域、即ち周縁化された人々の「オーラル・ヒストリー」や「アジアの表象文化」などの非文字・非図書資料の収集・保存・共有に取り組み、その情報化と発信の方法論を確立する。その際、植民地支配の歴史やディアスポラ現象の存在に鑑みて、欧米地域をも視野に入れる。それらの成果に立脚し、地域文化の生成とグローバル化による変容の解明を目指して、新たな地域文化研究を推進してゆく。
具体的には以下のような組織体制を組む。

1.拠点リーダーを責任者として、史資料の収集・保存・共有・情報化活動の全体を統括するとともに海外諸機関と共同して史資料ハブ形成の実務を担う総括班を置く。ここには、2.に示す史資料収集-研究班代表5名の他、専門知識を有する附属図書館館員と情報処理センター所員各数名ずつを研究協力者として迎える。
2.史資料収集・保存・共有・情報化事業の重点対象を、その形態により、在地固有文書・印刷媒体・オーラル・アーカイブ・表象文化資料の4つに分かち、それぞれを担当する史資料収集-研究班を組織する。各班は、単に史資料収集関連事業を推進するだけでなく、それらに依拠した研究を実施する。
3.「21世紀地域文化研究班」を置き、ローカル世界に変容をもたらすグローバルな要因の究明を行なう分科会と、社会科学方法論・地域研究方法論・歴史叙述方法論などの理論面に関わる考究を行なう分科会を組織する。この班は、21世紀に対応した新たな地域文化研究の在り方に関する提言を行なう。
4.史資料の収集・保存・共有活動を推進し、あわせて大学院生の臨地教育の場とするため、海外協定校や史資料所蔵機関にリエゾン・オフィス(海外拠点)を開設する。

第三に、若手研究者の育成である。
本研究拠点が養成しようとするのは、21世紀世界の現状に包括的な理解を持ち、なおかつ、各地域の言語に精通し、地域社会との直接的なコミュニケーションを通じて、各地域の生活事情や文化的伝統等を理解したうえで、地域社会の要請とグローバル秩序とのあいだで適切な仲介能力を発揮しうるような人材である。
そのために、本研究科のカリキュラムを通して地域言語の高度な運用能力と現代世界に関する深い理解力を養成し、あわせて本研究拠点が推進する一連の事業に研究協力者・補助者として参画させることで、アジア・アフリカ地域において密度の高い臨地研修の機会を与える。そのことを通じて、単に言語運用力や在地社会に対する理解力の向上のみならず、それらを史資料収集・解読に関わる高い能力の開発に結び付けていく。さらに、研究拠点や海外拠点において開催される国際シンポジウム・ワークショップに積極的に参加させ、英語を始めとする多言語環境のなかで高度の発表力を行使しうるような機会を与える。それらの成果は、研究拠点が開設するホームページや刊行が予定されるワーキングペーパー・研究報告書において公開していく。
 拠点プロジェクトの成果は、期間中逐一HP上で公開する他、特別展示や公開講座の形で社会に還元してゆく。同時に、海外においてワークショップや国際シンポジウムを複数開催し、地域文化研究の国際的拠点としての実績を積み上げる。研究成果は叢書化するほか、史資料の複数媒体による公表と発信を行なう。こうした研究活動の総合体として機能するのが「史資料ハブ地域文化研究拠点」であり、それは、21世紀の世界に対応しうる地域文化研究の世界的拠点として他に類を見ないものとなろう。