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2.史資料ハブはなぜ必要か
1960年代に日本に移入された「地域研究」は、精緻な実態調査に基づく農村社会学の伝統や生態学との出会いの中で独自な発展を遂げてきた。本研究科においても高度な現地語の研究と教育を基盤として、多岐にわたる人文・社会諸学専門家の連携により、学際的かつ現地語一次資料を縦横に駆使した地域文化研究に成果をあげてきた。しかし、現在急速に進展するグローバル化は地域・国家などの表象空間に変容をもたらし、人々のアイデンティティのあり方にも大きな変化を生じさせている。
こうした21世紀の世界においては、「地域研究」はその対象認識の根幹に関わる方法論的再検討を迫られている。「地域」概念の再検討についてはすでにいくつかの試みがなされてきたが、それらに欠けていたのは史資料基盤の整備であり、どのような情報が変貌する世界を把握する研究の基礎となりうるかという問いかけである。本計画では、新たな史資料構想の構築が、わが国における地域研究の新展開にとって不可欠であると考える。
わが国にはアジア・アフリカ諸言語史資料を専門に扱う本格的な研究基盤が存在せず、史資料の共有・情報資源化・発信といった現今最も必要とされる活動に遅れをとっている。地域研究という学問分野自体にとっても、高度情報化された現代世界を把握するにあたり、新たな情報媒体を対象とした史資料収集活動を展開することが求められていると言えよう。