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宮本特任研究員がドイツ・ノイケルン博物館を訪問しました

2024年2月23日

宮本佳和特任研究員が、ドイツでの資料調査と合わせて、ナミビアでのジェノサイドを伝える特別展「Buried Memories: Vom Umgang mit dem Erinnern. Der Genozid an den Ovaherero und Nama」(https://schloss-gutshof-britz.de/museum-neukoelln/ausstellungen/buried-memories)が開催されているノイケルン博物館を訪問しました

ナミビアは、ドイツによる植民地支配を1884年から1914年まで経験しました。1904年から1908年まで先住民のヘレロとナマの人びとに対しておこなわれたジェノサイドは、「20世紀最初のジェノサイド」として知られています。当時のヘレロの約8割(約6万5千人)、ナマの約半数(約1万人)が亡くなったとされます。

この特別展は、ナミビアのアーティストでありキュレーターであるIsabel Tueumuna Katjaviviの作品を中心に構成され、2023年11月5日から2024年7月21日まで開催されています。館員に特別展、常設展とともに案内いただき、博物館の地域での役割や、特別展の背景について説明いただき、意見交換しました(写真1)。

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写真1 ノイケルン博物館の特別展の様子(宮本撮影)

ナミビアにおけるジェノサイドをめぐっては、2021年5月にドイツ政府から公式な謝罪がありましたが(今日のアフリカ、2021年05月29日)、その後、ナミビア国内においては、ジェノサイドの直接の被害者を無視した国家間交渉に対する批判が、野党や当該コミュニティの代表者らから続出していました(今日のアフリカ、2021年06月10日)。こうした背景の中で、ヘレロの代表者ら(伝統的権威)はドイツ植民地期に奪われた土地、遺骨、遺物の返還について、活発に議論しています(参照:第79回ASCセミナー)。

「ジェノサイド」という言葉を用いておこなわれる国家間および国内における交渉や議論の背後には、さまざまなレベルでの政治的思惑があり、今回の特別展の背景にもノイケルン区の行政において物議をかもしている植民地期の記念碑の取り扱いの問題があります。博物館では、対話をうながすために、特別展の開催期間中にさまざまな取り組みをしています(上記HP参照)。直前に参加した南アフリカ・ケープタウンでのプロジェクトのイベントと比較しながら、現在を生きる人びとが前へすすむための議論をどのようにしたらよいのか、同様に考える機会となりました。今回の予備調査をふまえ、宮本特任研究員の研究プロジェクトの中で引き続き検討していきます。