教育に関する基本方針
東京外国語大学(学士課程)のディプロマポリシー
東京外国語大学は、教育目標に定める人材を養成するため、次の「5つの力」の涵養を行い、これを身に付けたものに「学士(言語・地域文化)」の学位を授与します。
①高度な言語運用能力
②日本や世界諸地域についての知識・教養
③現代社会を生きる力
④専門的な知識
⑤主体的に考え、行動し、発信する力
国際社会学部のディプロマポリシー
上記の方針にもとづき、国際社会学部の学位授与に当たっては、次のような力を身に付けていることが求められます。
①高度な言語運用能力
・専攻言語に関し、読む、聞く、話す、書くという4技能で高度な言語運用能力を身に付けていること。
・国際社会で活躍するに足る、十分な英語運用能力を身に付けていること。
②日本や世界諸地域についての知識・教養
・専攻する地域の文化的背景や社会に関する基礎的知識を身に付けていること。
・国際的な視点から、日本と世界諸地域との関係を理解する力を身に付けていること。
③現代社会を生きる力
・現代社会を生きる上で必要な幅広い知識・教養と、国際社会の現実を正しく理解し、グローバルな視点から物事を判断する能力と実践力を身に付けていること。
④専門的な知識
・世界共通の諸問題について、社会科学的手法で分析し、問題の本質を捉える学問的方法を身につけると同時に、課題解決に至る筋道を自ら見出す能力を身に付けていること。
・国際社会に関する幅広い知識と専門的な知見を身に付けていること。
⑤主体的に考え、行動し、発信する力
・溢れる情報を選別する力、物事を論理的に分析し判断する力、自らの考えを説得的に社会に発信する力をそれぞれ身に付けていること。
・多様性を理解し、世界各地の人々と協働する行動力を身に付けていること。
国際社会学部のカリキュラムポリシー
国際社会学部は、ディプロマポリシーの掲げる知識や能力などを獲得させるため、世界教養プログラムと専修プログラムからなる科目群を、以下の方針に基づき、体系的に編成します。開講されるすべての授業科目は、レベルに応じてナンバリングされており、段階的な学修を進めさせます。学習成果の評価にあたっては、あらかじめ学生に示した成績評価基準に基づき、厳格な評価を行います。カリキュラム編成の方針は次のとおりです。
【2018年度以前の入学者】
①「高度な言語運用能力」の獲得のために
・すべての学生は、国際社会学部に専攻地域・専攻言語を選択の上で入学し、専攻言語に関する学修を行い、特に、1、2年次には、専攻言語の読む、聞く、話す、書くという4技能を修得します。このために必要な、「地域言語科目」を整備し、体系的に提供します。
・グローバル時代に不可欠な英語力の涵養のため「GLIP英語科目」を整備し、TOEICテスト800点相当の達成を目安に、学生の英語力向上に努めます。
②「世界諸地域についての知識・教養」の獲得のために
・世界諸地域の文化・社会に関する「地域基礎科目」を整備し、学生が専攻地域やその他の地域に関し基礎的知識・教養を身に付けることができるよう努めます。
③「現代社会を生きる力」の獲得のために
・初年次には、「基礎リテラシー」と「基礎演習」を履修させ、大学生としての学びの基礎的な技能を修得させます。
・現代社会で必要とされる基礎的な知識や幅広い教養を身に付けさせるため、日本語と英語で「世界教養科目」を提供します。
・日本関係の授業を、「教養日本力プログラム」として整備・充実させ、学生に、世界で日本を紹介することのできる日本発信力を身に付けさせます。
④「専門的な知識」の獲得のために
・専修プログラムでは、導入科目、概論科目、選択科目を体系的に整備し、それぞれの分野の専門的知識をもって社会で活躍するための基礎力を養います。
i) 地域社会研究コースでは、ヨーロッパ地域研究、アメリカ地域研究、ユーラシア地域研究、日本地域研究、東アジア地域研究、東南アジア地域研究、オセアニア地域研究、中東地域研究、南アジア地域研究、アフリカ地域研究等の分野に関して、体系的かつ多様な授業を開講し、これらの分野についての専門的な知識を身に付けさせます。
ii) 現代世界論コースではグローバル・スタディーズ、新時代知性論、社会人類学、ジェンダー論、教育社会学、哲学・社会思想、エスノポリティクス等の分野に関して、体系的かつ多様な授業を開講し、これらの分野についての専門的な知識を身に付けさせます。
iii) 国際関係コースでは、国際関係論、国際協力論、国際法、国際経済学、国際教育論、平和・紛争論、比較政治等の分野に関して、体系的かつ多様な授業を開講し、これらの分野についての専門的な知識を身に付けさせます。
⑤「主体的に考え、行動し、発信する力」の獲得のために
・すべての授業で、学生が教室外で取り組む課題を設定し、その取り組みを通じ、学生の主体的な学びの力、調査能力、発信力を涵養します。
・専修プログラムでは、問題解決能力や批判的思考力を育成するため、講義形式の授業に加えて、演習形式の授業を重視し、プレゼンテーション等を積極的に活用しながら、対話を通したインタラクティヴな学修を実践します。
・短期、長期の留学や、国内外でのインターンシップを支援する体制を整え、留学やインターンシップを4年間の教育のなかに位置づける体制を整えます。
【2019年度以後の入学者】
①「高度な言語運用能力」の獲得のために
・入学時に選択した専攻言語「専攻言語科目」の学修を体系的に提供します。特に、1、2年次には、専攻言語の読む、聞く、話す、書くという4技能の修得を目指します。
・グローバル時代に不可欠な英語力の涵養のため「GLIP英語科目」を整備し、TOEICテスト800点相当の達成を目安に、学生の英語力向上に努めます。
・多言語・多文化する世界で活躍する人材を育成するため、多様の言語を学ぶ機会を提供します。このために、「教養外国語科目」、「諸地域言語科目」、「世界言語科目」を整備し、提供します。
②「日本や世界諸地域についての知識・教養」の獲得のために
・世界諸地域の文化・社会に関する基礎的知識・教養の学修のために、「地域基礎科目」を1・2年次に提供します。これにより、専攻する地域の人々の暮らしやものの考え方や価値観を理解する力を身に付けるよう努めます。
・さらに世界諸地域の文化・社会に関する知見を深めるため、地域研究の専門的な科目群を提供します。
・日本関係の授業を、「教養日本力科目」として整備・充実させ、学生に、世界で日本を紹介することのできる日本発信力を身に付けさせます。
③「現代社会を生きる力」の獲得のために
・「基礎リテラシー」と「基礎演習」等の初年次教育を通して、大学生としての学びの基礎的な技能を修得させます。
・現代社会で必要とされる基礎的な知識や幅広い教養を身に付けさせるため、「現代教養科目」「自然科学系科目」を提供します。
④「専門的な知識」の獲得のために
・世界共通の諸問題を社会科学的手法で分析し、問題の本質を捉える学問的方法を身につけるために、授業科目群を学問分野ごとに、地域社会研究コース、現代世界論コース、国際関係コースという3つのコースに編成して、授業を提供します。
・国際社会に関する幅広い知識と専門的な知見を身に付けるために、1年次から3コースの導入科目を履修し学問の基礎を学び、2年次には学問の方法論を学ぶために概論科目を履修します。2年次の秋学期から、専門性の高い選択科目を履修し始め、3年次には指導教員の提供する演習形式の授業を中心に体系的に選択科目を履修し、4年次に卒業研究を作成することで、専門的な学修を完成させます。
・社会科学的学問手法により編成した3つのコースの特徴は、次のとおりです。
(1)地域社会研究コースは、世界の諸地域の歴史・政治・経済・社会などを、具体的な事例に即して学び、現地社会の問題の本質を捉え、解決への道筋を考える視点や方法を学びます。授業科目には、北西ヨーロッパ地域研究、中央ヨーロッパ地域研究、西南ヨーロッパ地域研究、イベリア地域研究、北アメリカ地域研究、ラテンアメリカ地域研究、ロシア地域研究、中央アジア地域研究、東アジア地域研究、東南アジア地域研究、オセアニア地域研究、中東地域研究、南アジア地域研究、アフリカ地域研究等があります。
(2)現代世界論コースは、現代世界に生じる複雑多様な課題を自ら発見し、柔軟で批判的な思考によって問題の本質をとらえ、粘り強く問題解決のために行動することのできる力を身につけます。授業科目には、グローバル・スタディーズ、ジェンダー論、社会学、教育社会学、現代社会史論、政治理論、エスノポリティクス、社会文化論、歴史社会論等があります。
(3)国際関係コースは、国際社会で起きている問題群の本質を理解し、政策的観点から問題解決への道筋を考えるため、社会科学の諸アプローチを用いて国内外の社会や国際関係を実証的に分析する力、論理的に洞察する力を身に付けさせます。授業科目には、国際政治学、比較政治学、法学、国際法、経済学、国際経済学、開発経済学、経営学、平和・紛争論、国際協力論、国際教育論等があります。
⑤「主体的に考え、行動し、発信する力」の獲得のために
・課題解決型学習を取り入れた授業や授業ごとにおこなわれるアクティブラーニングを通して、学生が自ら仮説を考え、課題解決のために調査・行動し、その成果をプレゼンテーションする能力を養います。
・演習や講義における対話により、双方向的な学修を実現します。
・海外留学やスタディツアーの経験を通して(「臨地学修科目」)、自ら主体的に考え、行動する力、発信する力を養います。
・インターンシップや社会貢献事業への参加経験を通して(「キャリア・協働科目」)、現実の社会に対する見識を広め、自らの判断力を養い、現地社会の人々と協働する人材を育成します。
国際社会学部のアドミッションポリシー
1) 教育の理念
本学の理念は、世界の言語と、それを基底とする文化・社会に関する教育を実施し、豊かな人間性、深い思考力、鋭利な感性を養い、高度なコミュニケーション能力、豊かな教養、広い視野を身に付け、さまざまな文化的背景をもつ世界諸地域の人々と協働して地球的課題に取り組むことができる人材を養成することです。
2) 求める学生像
東京外国語大学では、世界諸地域の言語・文化・社会の仕組みを解明する諸学問分野や、国際的な諸問題を超域的な視点から扱う諸学問分野の基礎を学ぶことができます。
国内外の高等学校等において、総合的で確かな基礎学力、ものごとに対する思考力・判断力・表現力、そして主体的に学ぶ態度を身に付けたうえで、本学の理念に共感し、さまざまな文化的背景をもつ人々と共に働き、地球的な課題に取り組む意欲にあふれる人を受け入れます。
3)国際社会学部の求める学生像
以上を踏まえ、国際社会学部では、・世界の国や地域の歴史・政治・経済・社会に関心を持ち、多様なビジネスの分野はもちろん、国際社会と協働して現代世界が抱える紛争・災害、環境問題、経済格差・貧困等の問題解決に携わることによって、人間社会に貢献する国際職業人を目指す人を歓迎します。
卒業後の進路としては、外交官などの国家公務員、及び地方公務員、国際的に展開する企業(金融、商社、メーカーなど)、国際機関や国際的に活動するNGO、新聞社・放送局などのマスメディア、社会科・地理歴史科の中学・高校教員、大学院に進学し、研究・調査の仕事などの目標が考えられます。
4) 選抜方法の方針
国際社会学部では、キャンパスの多様化の実現を目指し「求める学生像」に合致する学生を選抜するため、多様な選抜方法を実施します。
① 一般選抜(前期日程)
・言語文化学部、国際社会学部、国際日本学部で実施します。
・高等学校等において、「国語」、「数学」、「外国語」、「地理歴史・公民」、「理科」、「情報」の各教科をバランスよく学び、必要な基礎学力を身に付けていることを確認するため、大学入学共通テストは、6教科7科目を課します。個別学力検査では、外国語(「英語」及び「英語スピーキング試験」)と、地理歴史(「歴史総合、世界史探究/日本史探究」)の試験を課しています。
・個別学力検査:外国語(英語)については、高等学校の学習指導要領に則り、4技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力を前提とした総合的な問題構成となっています。語彙力・文法力・文章構成力などの言語構造への感覚を見る問題、多様なジャンルの文章の理解力をリーディングとリスニングの両面で問う問題により、受験生の理解度を問います。また、アカデミックな内容を聞き取り、それを要約し、さらに自分の意見をまとめる問題などからなる試験を通じ、受信した内容を思考・判断し、英語や日本語で発信する表現力を問います。あわせて、外国語(英語スピーキング試験)を実施し、口頭による英語の表現力を問います。
・個別学力検査:地理歴史(歴史総合・世界史探究・日本史探究)については世界や日本の歴史の基本的な事項の理解を前提に、歴史上の個々の事項を、歴史の展開や社会構造の中に位置づけて、広い文脈のなかで考え、それを論理的に日本語で表現する力を身に付けているかどうかを問います。
・大学では、基礎学力に加え、ものごとに対する思考力・判断力・表現力を身につけていることが必要です。本学では、本学が実施する個別学力検査により、総合的な基礎学力とともに、思考力・判断力・表現力が身についているかを問うています。
・主体性評価:学力の3要素([1]知識・技能の確実な習得、[2]思考力、判断力、表現力、[3]主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)を、多面的、総合的に評価するために、高校時代に主体性を持って取り組んだことを出願時に記入してもらいます。調査書の内容と共に、合否判定ライン上に位置する志願者の選抜に用います。
② 一般選抜(後期日程)
・国際社会学部で実施します。
・大学入学共通テストは、3教科3科目とし、個別学力検査では小論文の試験を課しています。
・個別学力検査:小論文については、文化・社会に関する英語の文章を示して、文脈を押さえながら正確に読解する能力を測ります。また、示された文章をもとに出題される論述問題をとおして、論理的思考力と日本語の文章表現力などを測ります。
・大学では、基礎学力に加え、ものごとに対する思考力・判断力・表現力を身に付けていることが必要です。本学では、本学が実施する個別学力検査により、総合的な基礎学力とともに、思考力・判断力・表現力が身についているかを問うています。
・主体性評価:学力の3要素([1]知識・技能の確実な習得、[2]思考力、判断力、表現力、[3]主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)を、多面的、総合的に評価するために、高校時代に主体性を持って取り組んだことを出願時に記入してもらいます。調査書の内容と共に、合否判定ライン上に位置する志願者の選抜に用います。
③ 学校推薦型選抜
・本学での学びに対する主体的な意欲をもち、大学での教育を受けるための基礎学力を確実に身に付けた学生を選抜するため、出身学校長の推薦に基づき、提出書類と小論文、面接により、総合的に評価します。
・提出書類には、英語の資格・検定試験の成績が含まれます。本学は、推薦される生徒に高度な英語力を備えていることを求めており、文部科学省が発表する「CEFRとの対照表」によりB2以上を取得していることが推薦の条件となります。
・国際社会学部では、あらかじめ指定された課題図書について小論文を書きます。課題図書の著者の主張を踏まえ自分の考えを論理的に展開することができるかを確認します。面接では、小論文や大学入学希望理由書、活動報告書などをもとにした質疑を通じ、高等学校における学習歴を確認するとともに、自身の考えを適切に表現するコミュニケーション力を確認します。
④ 帰国生等特別推薦選抜
・キャンパスのいっそうの多様化を図るため、日本の制度とは異なる教育制度のもとで中等教育を修了した生徒の受入れを目的に、本選抜を実施します。本学の特色・専門分野に興味を持ち、高等教育を受けるための基礎学力を確実に身につけた志願者を、出身学校長からの推薦に基づき、提出書類と小論文、面接により選抜します。
・対象となるのは、外国の教育制度に基づく教育機関(国内の国際バカロレア(DP)認定校を含む。)において中等教育を受けた生徒です。
・提出書類には、英語の各種の資格・検定試験の成績が含まれます。本学は、推薦される学生に高度な英語力を備えていることを求めており、その力を資格・検定試験の成績により証明することを求めます。
・国際社会学部では、あらかじめ指定された課題図書について小論文を書きます。課題図書の著者の主張を踏まえ自分の考えを論理的に展開することができるかを確認します。面接では、小論文や大学入学希望理由書、活動報告書をもとにした質疑を通じ、中等教育における学習歴を確認するとともに、自身の考えを適切に表現するコミュニケーション力を確認します。
⑤私費外国人留学生選抜
・本試験は、外国の学校等で教育を受け、すでに高度な日本語運用能力と日本についての基礎知識を備えた外国の国籍をもつ生徒(日本国の永住許可を得ていないもの)を対象とします。
・出願に際し、日本学生支援機構が実施する日本留学試験(日本語及び総合科目)の成績が必要です。日本語や日本について、十分な知識を備えているかを確認します。
・提出書類には、英語の資格・検定試験の成績が含まれます。本学は、学生に高度な英語力を備えていることを求めており、その力を資格・検定試験の成績により証明することを求めます。
・ 国際社会学部では、あらかじめ指定された課題図書について小論文を書きます。課題図書の著者の主張を踏まえ自分の考えを論理的に展開することができるかを確認します。面接では、大学入学志望理由書、活動報告書などをもとにした質疑を行います。これにより、本学での学びへの意欲、基礎学力、思考力・判断力・表現力を確認します。