2020年度 活動日誌

3月 活動日誌

2021年3月31日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

3月も相変わらず、ロックダウンは続いていますが、元気にやっています。4月になると、措置が緩和されて、カフェのテラス席が開くかもしれないと今月初めは示唆されていましたが、23日の記者会見で結局現行の措置が継続されることが発表され、まだ当分この生活が続くことになります。

当然様々な不満はあることでしょう。実際、街中でも「HORECA WEER OPEN(ホテル、レストラン、カフェの再開)」といったポスターを貼っている飲食店をよく見かけます。3月17日に第二院(Tweede Kamer)の選挙がありましたが、そこでも規制の緩和を訴える政党が見受けられました。その中でもD66の躍進は今回の選挙の焦点と言ってよいでしょう。D66は前回(2017年)から議席を五つ増やして、マーク・ルッテ(Mark Rutte)首相率いるVVDには及びませんでしたが、第二党に躍り出ました。D66はコロナ禍における自由をマニフェストに掲げていました。具体的には無料のコロナテストを増やし、陰性の人は自由に活動できるようにするといった内容です。党首のSigrid Kaagは楽天的で、力強い女性という自身のイメージをうまく打ち出すことに成功したと言えるでしょう。選挙結果を受け、テーブルの上で跳び上がって喜びを表現する彼女の写真がメディアを賑わせました。

今月も三年生向けの会話コースがありました。選挙の前に、選挙についてディスカッションをしてみました。VVDがやはり勝ちそうだと話題を振ると、学生たちはみな微妙な顔をしていました。VVDは若い学生たちにはあまり人気がないようです。では、どんな層に人気があるかと聞くと、大企業などだろうという答えでした。学生たちにはヨーロッパを一つの政治共同体として重要視するVoltとか、エコ政党のGroenLinksといった政党が人気があるみたいです。オランダでは三党ほどの連立政権が常態であることからもうかがえるように、政党の数が多いのですが、その中には当然ユニークな党もあります。一人の学生は自分は絶対Partij voor de Dieren(動物のための党)に入れると言っていました。

院生向けの会話クラブにも依然として参加しています。今月は食品ロスとヘイトスピーチがテーマでした。ヘイトスピーチの会では、法律用語や固い言葉が予習のテクストにあって難しかったのですが、学生はよくがんばっていました。日本の事例として川崎市の「ヘイトスピーチ解消法」について話しました。画期的な条例だと思うが、勧告や命令などの後にも、ヘイトスピーチを繰り返す団体や個人に対して、氏名や名称を公開するのはやり過ぎではないかという意見も出ました。オランダの事例ではPVVの党首であるヘールト・ウィルダース(Geert Wilders)のモロッコ系に対する差別発言が挙げられました。ウィルダースは2014年のあるスピーチの際、オランダに「モロッコ人が多いのと少ないの」(’meer of minder Marokkanen’ [英語: more or fewer Moroccans])とどちらがいいかという発言をして、裁判になりました。結局罪には問われなかったのですが、オランダ人はみな知っているぐらいの有名な発言になりました。この人は懲りない人で、2019年にあった窒素排出規制に対する農家のデモの際には農家の側に立ってスピーチをしたのですが、同じ文型を使い、その時は「窒素規制が多いのと少ないの」とどちらがいいかと発言し、テレビでからかわれていました。ちなみに、PVVは今回の選挙では議席を三つ減らしました。

ではこの辺で。また来月!

街で見かけた子供の落書き。歩道によくこうした子供が描いた絵を見かけます。

2月 活動日誌

2021年2月28日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

二月になると授業がはじまり、一気に慌ただしくなりました。今学期もオンラインです。ハーグキャンパス(Campus Den Haag)の一年生は今学期から語学の授業がはじまります。オンラインのパーティーなどはあるか、友達はつくれるかと質問してみたところ、やはりあまり友達をつくる機会はないそうです。オンライン授業というのはやはり一年生にとって一番損失が多いものだといえるでしょう。

あまり家から出ない日々が続きますが、それでも自然は刻々と変化していきます。二月はまだ寒い季節です。オランダの冬は例年温暖ですが、今年はひさかたぶりに雪が降りました。二月の中旬に雪が降り、一晩で町は雪化粧をしました。その週はマイナス十度近くまで冷える氷点下の気温が続き、運河の水は凍りました。次の週末にはオランダの至るところで運河や池、湖の上でスケートをする人々の姿が見られました。冬に自然の環境でスケートができるほど凍ったのはここ十数年なかったことで、みな興奮した様子でした。

オランダは基本的に自由が尊重され、自己責任の国なので、日本の感覚でいると戸惑うかもしれませんが、水が凍ればそこでスケートをしていいのです。誰かの許可を取る必要などありません。そんなわけで大勢が勇んでスケートをしていましたが、そこには危険もつきものです。案の定どこそこで氷が割れて救急隊が駆け付けたというニュースがメディアを賑わせました(その中には車で氷の上を走り回り、ついには落ちてしまったという能天気な動画もありました)。ハーグにはHofvijverという国会の前にある有名な池があるのですが、そこで人が落ちて救出されたというニュースはその中のもっとも大きなものでした。オランダの美術館に行けば、黄金時代の絵画に庶民がスケートを楽しむ風景画を見ることができます。その中にはHofvijverを描いたものもあります。オランダにおいてスケートは17世紀から変らない冬の風物詩なのだと思うと感慨深いものがあります。

今月のGJOの活動としては、私が講師として、日本語科の三年生の有志向けの単位が出ないコースをはじめました。どんなことがしたいのか聞いたアンケートをもとに、ディスカッションと敬語やカジュアルスピーチの練習を軸にして進めていくことにしました。二月は第三週からはじめ、初回は婚活をテーマにした敬語を使った自己紹介とディスカッションに使う表現の確認、二回目はオランダのアイデンティティーについてのディスカッションと敬語の復習を行いました。昨年教えた学生もおり、みなに進歩が見られ、熱心な学生たちでした。

院生の会話クラブは今月は一回行われました。久しぶりだったので「オランダの冬の風物詩」という軽いテーマが選ばれました。ドーナツのようなお菓子であるオリーボレン(Oliebollen)、大晦日を祝うために上げられる花火、マッシュドポテトをベースにした伝統料理Stamppot、スケートなどが挙げられました。日本の冬の風物詩は何かという話題にもなり、温泉が挙げられた関係で、オランダのバスタブ事情などを聞くこともできました。やはり普段はシャワーで済ませますが、一人暮らしでなければバスタブがある家は珍しいというほどではないようです。バスタブは主に子どもを洗う時、リラックスしたい時などに使われると言っていました。

それではこの辺で。また来月!

凍った運河の上でスケートをする人々、ライデンにて

1月 活動日誌

2021年1月31日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

気が付けば新年です。1月もロックダウンは続き、さらには1月23日には夜間外出禁止令(curfew)が発動されました。午後9時から午前4時30分までの間、特別な事情がない限り外に出ることはできません。この禁止が開始されて2、3日の間はアムステルダムやハーグなど大都市を中心に各地で反対の暴動が起き、一時物騒な空気が漂いましたが現在はそうしたデモは収まった模様です。

この外出禁止令、違反者には95€の罰金が科せられますが、いくつか例外があります。緊急事態、空港から帰って来た、裁判官や検察に召喚されていた、学校の試験のため、夜の生中継の番組に出演するためなどの外出は証明する書類があればその限りではありません。面白いのは、出前は9時以降も許可されて、犬の散歩も許可されていることで、知り合いのオランダ人は出前の配達員の制服を買おうとか、犬を飼おうとかいった冗談をみな言っているなどと話していました。

そんなこんなで大学が休みになり休暇にはなりましたが、相変わらず家にいるだけの毎日が続きました。それはそれで平和でよかったですが、その休暇もあっという間に半分が過ぎ、2月からの仕事の準備が始まり、気が付けばすでに1月も終わりです。

1月は私が参加していた大学院生むけの会話クラブはお休みでした。2月から再開する予定です。2月からはまた、ライデン大学日本学(Japanese Studies)の3年生向けに私が担当して会話練習のコースを設ける予定です。コースといっても単位はなしで、自由参加で会話クラブのようなものですが。学生たちはコロナのため日本留学の機会も奪われ日本語を話す機会が減ってしまったので、何か大学でそれを補う機会がほしいと学生から要望があったのに答えた形です。内容は今どうするか参加希望者にアンケートを取っている段階ですが、とりあえずディスカッションの練習はすることになると思います。今の3年生と会うのは2019年に彼らがまだ2年生だった頃に前期のクラスを担当した時以来ですので、どれほど日本語能力が向上しているか楽しみです。

それではまた来月!

ロックダウンでも街を散策すると少しは面白いものが見つかります。こちらはライデンにあるLeiden American Pilgrim Museumの内部の写真です。ライデンはピルグリム・ファーザーズがアメリカに出発する前に滞在していた土地として知られています。現在ロックダウンで入れませんが、外から窓越しに中を覗くことが出来ます。

12月 活動日誌

2020年12月31日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

「12月になったらスーパーに行くのにもマスクの着用が義務になるそうですよ」と11月のある日に学生から聞いて、「噓でしょ?」と驚いていた感覚が今となっては懐かしく思います。スーパーなど小売店内でのマスク着用義務どころか、12月の14日にはマーク・ルッテ首相が国民にあててスピーチを行って、夏前以来の本格的なロックダウンに入ることになりました。飲食店はすでに10月14日から閉鎖となっていたのですが、今回の措置でのもっとも大きな変化は食料品などの生活必需品を扱う店以外は閉鎖となったことです。この措置のあと、商店街の人通りはぐっと減りました。個人的に、コロナ禍の中でも美術館が空いていれば楽しく暮らしていけると思っていたのですが、美術館も閉まることになり、不要不急の旅行は三月まで慎むことが要請され、かなり不自由な生活状況に市民はおかれているのがオランダの現状です。

そんななか、ライデン大学は今年度の一学期目が無事終了しました。オンラインでのテストもすでに経験済みなので、不測の事態も起きず、全般的にいってスムーズに終わりました(私が担当している授業はすべてチームティーチングなので、私のおかげというより他の先生方の手腕です)。学生の中にはオンラインで先生たちも大変だったと思うが、とても楽しい授業だったと言ってくれる人もいました。学生の方こそ、オンラインでクラスメートとろくに会うこともできず、ストレスが溜まっている中で、みなよく勉強していました。

院生の会話クラブの方はというと、事情があり、今月は私は一回しか参加できませんでしたがその分について報告します。12月の第二週の火曜日にあったその回では、日蘭のレジ袋削減に対する取り組みについて話されました。オランダはすでに2016年からレジ袋の有料化をはじめており、2020年にはじめた日本に対して先に立っています。その分データの蓄積があり、それによると、有料化後にはレジ袋の使用が年約30億枚から6億枚へと80%の減少を見せたそうです。日本は約300億枚の使用だったということですが、それがどれぐらい減るかは今後分かります。有料化前の数値は人口比的にいって、日本とオランダはさほど差がありません。

ことなるのは価格です。日本では一枚3~5円、オランダは25~30セントと十倍ほどの差があります。日本のスーパーの袋はオランダのものと比べるとかなり薄く小さくコストが低いことが考えられますが、それにしても、日本ではこの価格でレジ袋の消費の抑止につながるのだろうか、そういったことが話されました。

そのほか、レジ袋は環境保護に本当につながるのかといった有料化批判についても議論されました。

面白かったのはオランダ人が日常的に環境を守るためにどんなことを市民や消費者としてしているかというトピックで、参加した学生によると、市民としてできることは大してない、1.ストローなど使い捨てはできるだけ使わない、安くなるところもあるのでマイコップを使う、2. 「Ekoplaza」といった環境保護意識の高いスーパーに行く(「めちゃめちゃ高いスーパー」とも形容されていましたが)、3. 市民運動に身を投じるぐらいといったところでした。個人的に感じるのはそれでも日本と比べるとペットボトル飲料を手に持っている人は少ないということです。代わりに水筒を持っている人が多いです。一因としてはコンビニやキオスクで売られているペットボトル飲料の価格が割高であることも挙げられそうです(スーパーでは安いのですが)。

最後に、ロックダウンに入り、日常は制限されていますが、それでも暮らしていて、危機感はそれほど感じません。年末の数日は新年の瞬間を頂点としてそこら中で花火が打ち上げられるのがこの地の習慣ですが、今年は政府により完全に禁止が発表されていたにもかかわらず、守られることはありませんでした。昨年よりは大人しめの騒ぎではあったものの、戦争でもしているような轟音が真夜中に響き渡っていました。花火を売ること自体が禁止されていたというのに、みなどこから調達したのでしょう?

ライデンの市役所前の運河の上に光る、鍵を表したライデン市章。クリスマスのイルミネーションで、例年であればスケートリンクとクリスマスマーケットが設営され賑わうはずであるが、今年はひっそりとしている。

11月 活動日誌

2020年11月30日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

11月も末になると、気温が0-5度くらいの日も珍しくなくなり、冷え込みが大分厳しくなってきました。まだ紅葉した葉っぱをつけている落葉樹もありますが、もうそろそろで枝だけになるでしょう。オランダではコロナ対策ですでに一か月以上レストランやカフェは閉まっているので、クリスマスに向けてのイルミネーションはあり、また市場は開いていますが、街中の賑わいは少ないのが現状です。それでも土曜日は繁華街は買い物客で賑わいますが、レストランやカフェが開いていないと、いまいち盛り上がりにかけます。出前や店先で飲食物を売るのは許されているので、フライドポテトやその他ファーストフードをぱくつきながら歩いている人は多くいますが、夜になるとバーは開いておらず、町は静まり返ってしまいます。夜八時以降のアルコール販売の禁止など(スーパーが閉まる10時以降も開いてお酒を売っていた移民系の人が経営している店にとっては打撃でしょう)、思い切った措置も取られ、コロナの影響の大きさを思い知らされます。これまで公共交通機関以外ではマスクは義務ではありませんでしたが、とうとう12月から人が多数出入りする屋内でのマスクの義務化(違反すれば罰金)が発表され、どこに行くにもマスクを持ち歩く日々になりそうです(すでにマスク着用の勧告は出ており、多くの人がマスクを着用するようになっていましたが)。

ライデン大学の日本語学科の二年生も来年四月から三四カ月の日本短期留学が予定されていましたが、昨年度と同様に中止になってしまいました。中止の案内があったあたりから授業に来なくなってしまった学生も少数いますが、大部分はしかしまだ日本語学習に依然として高い意欲を保っているようなのが救いです。

今月もこれまで通りオンラインで大学院生の日本語会話クラブが開かれました。私は隔週火曜日に開かれている二回に参加しました。一回目は花街がトピックで、芸妓のこれまでと今後についてざっと事実を確認しながら自由に話し合いをしました。「ゲイシャ」という言葉はやはり海外でも有名なようで、参加者のオランダ人院生はみな、何時知ったか覚えていないほど昔からその言葉を知っていたようです。特にこれからの芸者はどうなるのかという話が面白く、昔は体を売るというイメージだったが、これからはますます観光向けになり、芸を売るというイメージを持つ人が多くなる、といった予想が出ました。そこで気になったのは、彼らが日本で実際に芸者の芸を見てみたいと思うかという点で、そう質問を出すと、「お金があれば見てみたい」「自分から積極的に観光の予定に組み込むことはしない」といった意見が出ました。

二回目はLGBTが話題でした。日本の足立区の某議員によるLGBTへの差別発言と、オランダの初中等教育とメディアの大臣(Minister for Primary and Secondary Education and Media)がプロテスタント系の学校は「反ホモの誓約書」(antihomoverklaring)を生徒の親に出させる自由があると議会で述べたという時事問題が取り上げられ、LGBTについての日蘭の諸問題が議論されました。オランダのこの件は、オランダ憲法の23条では「教育の自由」が保証されており、このことは一見よいことに思われるが、ホモを禁止する教育の自由まで認められるのか、憲法第1条ではあらゆる差別は禁止であると明記されている、という矛盾が根底にあり、オランダ国内で様々な議論があるようです。

日蘭の同性愛に対する違いについて言えば、オランダでは2001年からすでに同性婚は可能で、その点自治体レベルでパートナーシップ制度がある日本と比べると、すでに同性愛に対する理解は遥かに先を行っているように思われます。しかしオランダでは宗教という強固な同性愛に反対する信念を持つ団体も存在感があり、今回のような初中等教育においてホモを排除する教育を児童に授けようとする動きとそれに対する政府の対応がニュースをにぎわせるということも起きるのです。

面白かったのは、オランダでは同性婚が認められており、権利が尊重されてはいますが、高校ぐらいまでの生徒の間では、人を侮辱したりからかったり、あるいは少し親しみをこめるという意味で?誰かを「ホモ」と呼んだりするスラングはあるとオランダ人学生たちが言っていたことでした。これはまったく日本の生徒たちと同じではないでしょうか。高校までは少なくとも子供たちは日本と同じような価値観で育っているのに、どうして社会全体における同性愛の権利の差が生まれているのか、そういう疑問が会話クラブの火曜日の会を主催してくださっている日本人のライデン大学の研究員の方から出されましたが、もちろん簡単に答えられるような問題ではありません。いずれにせよ、今月も学びの多い、興味深い会でした。

ゴーダ市(Gouda)にあるエラスムス(Erasmus)の像。11月にゴーダを訪れた際に撮影しました。日本ではチーズのイメージが強い同市ですが、エラスムスが若い時期を過ごした場所でもあります(父がゴーダのカトリックの司祭でした。生誕地はゴーダかロッテルダムで決着がついていないようですが)。エラスムスはキリスト教は信仰していましたが、人文主義を貫き、人間の自由意思の意義を肯定し、ただ信仰のみによって救われると主張したルターと対立しました。

10月 活動日誌

2020年10月31日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

気付けば10月も終わりです。大学の授業は先月始まったかと思うと、もう今月は中間試験の週があり、後半戦に入ります。中間試験の週は日本語の授業はなかったのですが、学生のプロジェクトの採点やレッスンテストの採点などに追われました。ライデン大学の国際学(International Studies)があるハーグキャンパスでは一年生は前期は語学の授業がなく、後期から自分の希望する言語と地域を選ぶのですが、そのためにエリアフェア(Area Fair)というのが毎年開催されます。そこでは模擬授業があったり、各言語がブースを立てて二年生や先生が一年生の質問に答えたりするのですが、今年は授業がすべてオンラインだったので、これもオンラインで行われました。

去年は時間を半日とり、各ブースにその間に来た人に個別に質問に答えるという形式だったのですが、今年はオンラインだったこともあり、時間は語学に限って言えば、三十分と三十分の二回のセッションに限られ、かえって効率がよく進みました。一回目は学生が六十人ほども来て少し慌てましたが、二回目はぐっと減って十数人でした。来てくれた人みんなが日本語を取ってくれるとは限らないのですが、これだけ来てくれれば期待は持てます。二年生の先輩たちは、みな熱心に後輩の質問に答えていて、大変助かりました。先生がいくら説明しても学生の生の声が一番大事だからです。

今月も二回院生の会話クラブに参加しました。テーマは先月と変らずオランダの教育制度についてでした。学校で親がどれだけ関わるか、行事、旅行や遠足、学校へ持って行く持ち物、校則、市民教育(citizenship education)など数多くのトピックについて話しました。小学校の時に、親の何人かが学校に来てシラミチェックをするとか、小学校では卒業する学年がミュージカルをするのがどこでも伝統であるとか、学校へおやつを持ってきてよいとか、教科書を基本的に学校に所属するので、小学校では置き勉が当たり前で、中学校からでは授業が厳しくなるため持って帰るようになるが、汚さないためにカバーをつけるとか、日本と異なる点が多々あり興味深かったです。今は飲酒・喫煙が18歳からOKですが、少し前までは16歳だったので、学校で煙草を吸う人も普通にいたり(今でも18ならいい)、喫煙所で先生も一緒になって吸っていたりしたそうで、個人の自由を尊重する国だということを再認識させられました。また、オランダに日本で最近問題化してきているブラックな校則はあるかという質問に対しては予想通りと言うべきか、ない、というのが答えでした。校則というものを意識する機会がそもそもほぼないそうです。

私はここに来て二年目で生活には慣れてきましたが、こうやって学生と話しているとまだまだ知らないことが多いと感じます。こういったオランダと日本との比較は大変勉強になるので、来月も楽しみです。

本文とは関係ないが、Zwolleという町の秋の紅葉の風景。きれいに色づいている。

9月 活動日誌

2020年9月30日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

九月は天気が安定しませんでした。夏のような暑さの日が続いたり、一気に秋めいた嵐の日があったり。それも九月の終盤にかかると、安定して雨の日が多くなり、これから気の滅入るオランダの秋から冬が本格的にはじまります。日照時間の少ないこれからの季節はビタミン剤を積極的に取る人もいるようで、筆者の知り合いの五十歳くらいのオランダ人でも秋になるたびに憂鬱になる、晴れている日でも木が紅葉し出すのをみると憂鬱になるなどとこぼしていました。何十回と迎えているにも関わらず、オランダの秋冬には慣れることができないようです。

大学では、九月は新学年のはじまる季節です。コロナの影響で新入生が減るのではないかという予想もありましたが、蓋を開けてみるとそんなことはなく、ライデン大学の日本語学科の新一年生は130人ほど登録数がおり、例年と変わりませんでした。一年生の授業は私は担当していないのでなんとも言えませんが、様々な期待を抱いて入った大学のしょっぱなから授業がすべてオンラインというのはどんな心境になるのか、興味があるところです。

そうです。今学期も先学期の後半から引き続き、授業はオンラインが継続されています。慣れてみると、接続の問題が絶えないとはいえ、通勤しなくてよいというのは楽で、学生の名前も常に画面に出ているのでいちいち名前を聞かずともよく、指名するのや覚えるのが簡単であること、家でするのでリラックスして授業ができるといったメリットもあります。ペアワークをするために部屋を分けることができ、教師がその部屋の間を行ったり来たりするので教師とのやり取りが増えたことを評価する学生もいます。とにもかくにも、みなこの形態に慣れて来たようです。

今月も院生の会話クラブに二回参加しました。今回は両方ともオランダの教育制度がテーマでした。ライデン大学のオランダの歴史政治学のPhd.にいらっしゃる日本人のOさんという方がこの会のいつもの主催者・司会役なのですが、この方が別に日本人の間でオランダの教育制度について会を開いており、そこで扱いきれなかったトピックについて話すという趣旨でした。

話題は中学校の進学先、VWO、HAVO、VMBOといった教育機関の間の移動(オランダの教育はドイツ型で12歳から大学進学組、職業訓練学校組などと学校の種類が分かれます)、文系/理系、卒業試験、PTAはあるか、人間関係(いじめ問題)、成績が上下した際の教師の対応、担任の先生と相性が悪かった時はどうするか、障害のある子どもの教育、などなど多岐にわたりました。

卒業試験に不合格でも二回チャンスがあるといった情報や、モンスターペアレントのような人たちがオランダでもいること、PTOのような組織もあるといったことなどオランダ人の学生から直接聞かなければなかなか知りにくい情報を得ることができ、大変興味深かったです。

一番盛り上がったのは保健室についてでした。その会ではライデン大学病院で働いていらっしゃる方などもいて、日本人の比率が多かったこともあり、オランダには保健室があるのかという質問が出ました。オランダの学校には保健室がないそうです。管理人室はあり、そこが少し日本の保健室の役割を一部果たしているようですが。こんなこともオランダ人の学生に聞きでもしないかぎり入ってこない情報なので面白かったです。

ライデンのとあるカフェにて。秋らしい雨の天気

8月 活動日誌

2020年8月31日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

八月も終わりになれば一気に秋めき、ほんの少し前まで猛暑が続いていたことも忘れそうになります。八月の二週目くらいには8日続けて30度超えという観測史上初となる記録を打ち立てるほどオランダを猛暑が襲っていました。その時は夜眠れないほどの暑さで特に湿気が耐え難く、日本の夏を思い起こさせました。私はヨーロッパで猛暑が始まった際はケルンにいたのですが、そこも炎天下でアイスクリームがとぶように売れていましたが、湿気は低くまだ夜が過ごしやすい天気でした。オランダも普段はそれほど湿気が高くないのですが、たまに日本の梅雨の時のような強い湿気が襲ってくるのは海に面した国だからでしょうか。

八月の院生の会話クラブには二回参加しました。相変わらずオンラインでの開催です。

一回目は日本とオランダの教育についてでした。VWO、HAVO、VMBOと中学から学校の種類が別れ、大学へ行くエリートか職業訓練学校に行く人か、というようにカリキュラムが異なるオランダの制度と、学校の偏差値は多様であるものの、基本的にみな同じカリキュラムで勉強する日本と対照して議論が行われました。日本との主な違いとしてまた、VWOの卒業資格(Diploma)があればオランダ国内どこの大学でも基本的に進学できるという点が挙げられます。オランダは各都市特色があり、住んでみたいと思わせる町が多いので、その点はうらやましいと思いました。

二回目は日本とオランダの死刑制度についてでした。オランダでは1861年に刑法で廃止されましたが軍法は廃止されておらず、第二次大戦の時に比較的多数処刑され、最後に死刑(銃殺刑)があったのは1952年、1883年に憲法が変更され死刑は完全に廃止になっています。死刑制度の廃止はEUの取り組みでもあるので、もしオランダが死刑制度を復活させたいと思っても簡単には行きません。

参加した四名のオランダ人学生はみな基本的に、処刑してしまうと後戻りが出来ないといった理由で死刑制度反対の立場でした。議論を活発にするために、刑罰制度は何のためにあるのか、といった点まで論点を拡げて議論が行われました。オランダは死刑がない国とはいえ、2008年の調査では国民の四割が死刑復活に賛成という結果が出ているそうです。また、学生の一人は、死刑制度には反対だが、ノルウェーの連続テロ事件の犯人アンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)のような例をみると、心情的にそのような凶悪犯が生きながらえているというのはすっきりしない気持ちになると話していました。テロが増えれば死刑復活の世論も大きくなる可能性があると彼らは感じているようです。

これで夏季休暇は終わりです。信じられないほど早く過ぎ去ってしまい、日の入りも一時間以上早くなり、夏の名残りが消え去っていくのを感じます。

夏の牧場の風景(本文とは直接関係がありません)

7月 活動日誌

2020年7月31日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

オランダにはもう本格的な夏がやって来ました。快晴な日も多く、日が長く夜の十時ごろまで暖かいので、朝の八時ではまだ夜明け前という暗さだった冬と比べて一転して気持ちのよい日が続きます。気温も高い日は30度、また蒸し暑い日も時折ありますが、長袖のシャツを着ていても寒いくらいの気温の日の方が多く、過ごしやすい天気です。

欧州では旅行が解禁されているため、街で外国語を聞くこともまた増えてきました。例えば、ライデン市から北西に12キロほど離れた海岸のリゾート地ノールドウェイクNoordwijkという場所に先日自転車で行ってみたのですが、観光客で殷賑とし、ドイツ語がよく聞こえて来ました。いろんな国の国旗が立った大きなホテルが何軒も立ち並ぶ場所で、オランダの観光業は通常に近い賑わいを取り戻しつつあるようです。

オランダの南東部にある、マーストリヒト条約で有名なマーストリヒト(Maastricht)というオランダに長く住む人がよくおすすめする人気のある町も訪れてみましたが、街は観光客でにぎわい、ソーシャルディスタンスも正直なところ、あまり守られていません。

1.5メートルの対人距離を空けるように注意する公園の掲示板。マーストリヒトにて。

国が変われば、対応が違い、マーストリヒトから電車で一時間の距離にあるドイツのアーヘン(Aachen)もその足で訪ねてみましたが、ここではお店の中でマスクの着用が義務付けられていました(オランダでは公共交通機関の中以外では義務付けられていません)。お店に入る客がさっとポケットからマスクを取り出し、口を覆う姿が印象的でした。しかしコロナ抑制の政策がオランダより特別厳密であるという印象は受けませんでした。例えば入ったレストランでは店員と話す時にマスクを着けることが義務付けられていましたが、着けるのを忘れていても注意などはされませんでした。有名なアーヘン大聖堂には一度に入る人数を制限するために長い列が出来ていましたが、一旦中に入れば距離を保つようにチェックする人がいるわけではありませんでした。

以上、オランダ(とドイツ)の現在の様子の報告でした。

今月も日本語専攻のオランダ人院生とのオンライン会話クラブがありました。7月9日の会に参加しましたが、テーマは麻薬についてでした。オランダで最近MDMAなどのパーティドラッグの若年層での使用が増えているという話から始まり、オランダの麻薬政策全般について話をしました。オランダ人もオランダで大麻が「合法」なのかどうか、法的にどういう扱いなのか、はっきりとは知っていないそうです。薬物使用に対する意識ということも話題に上ったので、「もし友達が違法薬物を使ってたら?」という質問を投げてみたところ、友達の自由だが、自分と一緒にいる時は嫌だ、という答えがありました。友達が違法薬物を使うのを止めさせるという答えはなく、他人の自由を重んじる精神を感じさせる答えで、オランダらしいと言えるでしょう。

6月 活動日誌

2020年6月30日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

日本は梅雨で天気が悪いと聞いていますが、六月に入るとオランダもそれまでの晴天は少なくなり、オランダらしい、不安定な空模様の日が増えました。それだけに快晴の日があると、街はカフェのテラスに座った客などで賑わいます。

オランダのコロナ事情は大分落ち着いてきました。公共交通機関でマスクが義務付けられており、相変わらず不要不急の移動は推奨されず、在宅での仕事が要請されてはいますが、ほとんどの店は営業しており、街の景色はコロナの前とそれほど変わりません。土日には観光客と見られる人々もよく見かけるようになりました。

私自身、六月になったばかりのころに電車に乗った時にはガラガラでしたが、それから二週間くらいたってまた乗った際には利用客は増えている様子でした。

六月で今学期は無事に終わりました。五月ですでに期末試験は終わっていましたが、今月は追試がありました。私が担当しているハーグキャンパスの一年生と二年生の日本語の授業でも追試があり、一年生は口頭試験で一人、筆記で五人、二年生は口頭の追試を受ける人はおらず、筆記で三人受けました。この一年生の口頭追試試験では、もともと二人の学生が受けるはずだったのですが、一人がネットに接続できないというオンラインならではのトラブルがありました。その学生はもともと合格しており、ただもっとよい点数を取るためだけに追試を受けることにしていたので、合否に影響はなかったのが不幸中の幸いでした。

オンラインの日本語会話クラブは、院生向けのものが一番活発に活動しています。この会話クラブは日本語学科の院生が交替で時事問題や自分の研究分野について短い発表をし、それから討議にうつるというものです。私が参加した回では、コロナ時代の学校教育についてというテーマでした。印象的だったのは、六月に再開したオランダの小学校では、子供は1.5メートルの対人距離を守らなくてもよく、自由に遊んでもよいということになっているということです。日本では休み時間でも自由に遊ぶことができず、一年生などは友達ができないという悩みがあると聞いています。元々学校が再開する前から、オランダの子供たちは外で自由に遊んでいいとされていたことからも、オランダの自由を重んじる精神が感じられます。討議では今となっては子供がコロナの感染の拡大に果たす役割は低いという研究結果が出ているが、そのことが分かる前に再開した学校でどのような処置をとるべきだったのかというのを判断するのは難しいといった意見が出ました。今となっては、感染予防を徹底しないで子供が楽しく過ごすことを優先したオランダの小学校の政策は支持を得るだろうが、その前の段階では博奕でもあったという意見です。

オランダの学校の状況について、人種によって通う学校がわかれているという問題(witte school【ヴィッテ・スホール、「白い学校」と訳される】とzwarte school【ズヴァルテ・スホール、「黒い学校」】という言い方がある)、やキリスト教系の学校にもムスリムの学生はいるかといった話題も出て、実際に教育の受ける側としての経験者の意見が聞け、大変興味深い会でした。

6月1日に営業再開したカフェ。多くの人で賑わった。

5月 活動日誌

2020年5月31日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

5月は期末試験で幕開けでした。私が担当しているライデン大学の国際学の日本語の授業では二年生の口頭試験がまず5月の1日にあり、それから一週間後の8日に筆記試験。一年生は口頭試験が6日にあり、8日に筆記試験という日程でした。ライデン大学のオンライン授業はKaltura live roomというソフトウェアを使って行われています。口頭試験もそこで行われました。二年生の方は大きなトラブルもありませんでしたが、一年生の方はスケジュールが押して、一時次に来る学生が待機する部屋に何組も待っているという状態になったりしましたが、これはインターネットの接続によっても左右されるオンラインでの試験のことですので予想内でした。とはいえ、学生は無駄な緊張をそれで感じたりしたかもしれませんので、オンラインでの試験はやはり難しいと思いました。

オンライン試験となると心配されるのはやはりカンニングのことでしょう。究極のところ、百パーセント防ぐ手段はありませんでした。口頭試験では二年生は全員顔を出してもらいましたが、それでも画面の上で何を見ているかなど管理できません。実際、事前の学生からの質問で画面にメモを貼ったりしてもいいかというものがありました。そういったものを管理する試験監督(proctor)のアプリというものもあるのですが、手間がかかりすぎたり、学生が部屋の映像を見せたりしなければならないのでプライバシーの問題があるので私たちは導入しませんでした。一年生では全員に顔出しも強制しませんでした。ウェブカメラに問題があったり、画面に顔を出すのが恥ずかしいという学生もいたからです。とはいえ、口頭試験では結局自分の声で答えを言わなければならないし、試験の内容は自己紹介とロールプレイでしたが、少なくともロールプレイではその場で相手の言葉に合わせて会話を作って行かなければならないので、カンニングというのはそれほど大きな問題になりにくいようでした。また実際、結果を見ても順当に実力や試験勉強の成果が出たという印象を受けました。

口頭試験では当日の朝(一年生は9時、二年生は8時)に試験問題を発表し、夕方(一年生は17時、二年生は18時)の締め切りまでに提出してもらうという形式でした。これはなんでも見てよいことにした代わりに、合格点が70点となるように、点数の計算を厳しくしました(成績を出す時に10点満点に換算するのですが、70点が5.5点に換算されるような計算式で計算したということです)。この結果、例年と比べてさほど差のない点数になりました。

六月は追試があり、それから夏休みに入ります。日本語会話クラブは日本に戻った日本人留学生の方もオンラインで参加してくださっており、六月までは続く予定です。学生の中には九月からの日本への留学が予定されている人もいますが、これからどうなることでしょうか。コロナウィルスに対する各国の規制がこれからどうなるか次第というなんとも心細い状態です。

そのコロナのオランダでの状況ですが、ロックダウンは徐々に緩和されて来ています。すでに美容院や床屋は5月11日から営業を再開しており、6月からカフェやレストラン、美術館などが開きます。鉄道のダイヤは6月2日には通常に戻ります。もっとも公共交通機関ではマスクの着用が義務付けられ、カフェなどでも1.5メートルの対人距離(オランダ語ではanderhalve meter afstandと言います。オランダ語が得意でなくても、暮らしていると固有名詞みたいに覚えてしまいました)を取らなければいけません。

とはいえ、街の様子を見ると、人々は穏やかに初夏の天気を楽しんでいるようです。連日快晴で日中は裸で自分の家の前や運河を走るボートの上で日光浴している人を見かけます。水辺には菖蒲が咲きマロニエの花はもう散りました。運河の上には睡蓮がそろそろ白い花を咲かせ始めています。

住んでいるアパートの中庭にある聖ロクス像。リンゴが腕に乗っかっていて間抜けですが、ペストなど伝染病に対する守護聖人として有名らしく、コロナに対しても効くのではと思いながら。住んでいるアパートの建物は昔聖なんちゃら病院だったらしくこんな石像が残っているのです。

4月 活動日誌

2020年4月30日
GJOコーディネーター 竹森 帆理

気付けばもう四月も終わりです。三月から四月にかけて、人々の生活は大きく変わりました。ライデン大学のことを言えば、オンラインでの授業が始まった時はすぐに元通りになるだろう、試験の前には普段の生活に戻っているだろうと思っていたものですが、今となってはオンラインでする試験も目前、来学期もこのままの状況でも驚かないという状態です。

東京外国語大学でもすでにZoomでの授業が始まったと聞きました。こちらではzoomではなくKalturaというサービスを使っています。細かいことを言えば不満がないわけではありませんが(例えばPPTのアニメーション機能が使えないなど)、Kaltura全体のサービスはよく知りませんが、少なくとも現在大学で使っているものは教育用に特化しており、使い勝手は悪くありません。Breakout roomという機能を用いて、学生にペアワークをさせることも簡単です。ただやはりネットの回線環境や時間帯によって接続が不安定な時があるのは問題です。学生によっては声が聞こえない、何度繋ごうとしても繋げないという状況が発生しています。接続の問題などによって授業に参加できなかった学生が後で勉強できるように一部の授業ではビデオを録画していますが、語学の授業ではその場で自分で参加し練習することが大切なので、やはりオンラインは従来の授業に取って代わることは難しいと感じています。

試験のことももちろん問題です。オンラインで試験をすることはすでに四月の始めくらいまでには決定していましたが、初めての事態なので学校全体で確固とした方法の指導があるわけではなく、実際のやり方は各先生に委ねられているという現状です。僕の担当している授業では口頭試験はオンラインで従来のやり方とあまり変わらずにやることになりました。問題は学生が単語や語句などを見ながらやっていたり、その場で辞書で調べたりしてもこちらからは分からないということですが、それを管理することは不可能であるというのが結論です。ProctorUという試験監督のウェブサービスを利用することも検討されましたが、プライバシーの問題もあり、また最終的に完全に防ぐことはそれを使っても無理なので、使わないことになりました。筆記試験も同様でそういった試験監督のウェブサービスを使うことはせず、take-home examという形を取ることになりました。Take-homeは四月の間に一度小テストで試していました。何を参照してもよいが、普段より少し難しくし、時間制限は学生が他の授業などがあることを考慮してもその日の朝から夕方までという形になります。また、これは大学側から指導があり、自分の力で解いたということを宣言する誓約書に学生にサインしてもらう予定です。こうした誓約書は心理学的に効果があることが証明されているそうです。

三月から四月にかけて天気が良く、毎日晴天続きで、山火事がニュースになるほどでしたが、流石にここ一週間ほどは雨や曇りも戻ってきました。オランダと言えばチューリップと思ってこの季節を楽しみにしていましたが、知人が企画していたキューケンホフ公園でのチューリップ鑑賞会は不可能になりました。その辺の花壇でチューリップは見ることは出来ましたが、点在している姿だけではそれほどインパクトはありません。ですが、最後に家の近くで見かけたチューリップの写真を添付します。

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