概要

東京外国語大学は、文部科学省による平成28年度大学世界展開力強化事業(タイプB:ASEAN地域における大学間交流の推進)として、平成28年から平成32年までの5年間、「日本発信力強化に貢献するミャ ンマー・ラオス・カンボジア知日人材養成プログラム」を遂行いたします。

プログラムの目的

東京外国語大学でビルマ語・ラオス語・カンボジア語を学ぶ学生をミャンマー・ラオス・カンボジアの中核大学へ送ります。また、連携大学の学生のうち日本に関心をもち、 日本語を学ぶ強い意欲をもつ者を本学へ受け入れます。本プログラムは、こうした学生の双方向の交換により、これら3国に精通する日本人を育てると共に、日本語を操り、日本社会を理解し、日本と同地との架け橋となるミャンマー人、ラオス人、カンボジア人を育てることを目的としています。さらに、ミャンマー・ ラオス・カンボジアで日本事情・日本語教育にあたる教育人材の養成に寄与することを目指しています。

取組内容

本取組は、次の 3 つの学生交流プログラムが主な内容になります。

1. 短期 Joint Education Program

互いの地域に関心をもつ学生を派遣し合います。共同教育や当該地域の言語教を約2週間から1ヶ月の短期間で実施します。

2. 交換による長期留学

東京外大からは、ビルマ語・ラオス語・カンボジア語を学ぶ学部後半の学生を 1 年間派遣し、現地の学生とともに言語・文化・社会に関する科目を受講させます。現地で機会があれば日本語教育の支援にあたれるよう、留学前には日本語教育についての基礎知識を学びます。ミャンマー・ラオス・カンボジアからは、日本に関心をもつ多様な学生を東京外大に受入れ、日本語及び日本についての教育を実施します。受入れ学生に対しインターンシップ等の機会を与え、将来の日本と東南アジアの関係を担う人材の日本理解を深化させます。

3. 大学院レベルの交換

東京外大からは、ミャンマー研究・ラオス研究・カンボジア研究の修士学生を派遣し、 諸分野の研究調査に当たらせ、当該地域の専門家を養成します。ミャンマー・ラオス・カンボジアからは、 大学院総合国際学研究科正規課程、または大学院 Joint Education Program へ特別聴講学生として受入れます。正規生については日本事情や日本語教育学分野での修士学位の取得を促進します。

連携校

本プログラムでは、本学の長年の海外協定校であり各地域のトップ大学である、ヤンゴン大学(ミャンマー)、ラオス国立大学(ラオス)、王立プノンペン大学(カンボジア)と連携して知日人材養成をめざします。3大学は、今後、ミャンマー・ラオス・カンボジアにおける日本研究・日本語教育の中核としての成長が大いに期待されています。

  • ミャンマー:ヤンゴン大学
  • ラオス:ラオス国立大学
  • カンボジア:王立プノンペン大学

事業責任者からひと言

事業責任者の鈴木玲子です。東南アジアにおける日本発信力の強化には、現地で日本事情・日本語教育にあたる人材の養成が不可欠です。特に近年、多方面にわたる交流支援の動向が著しいミャンマー・ラオス・カンボジアにおいて、日本事情・日本語教育体制の充実は急務であると言われています。

この度、すでに長年、本学と親密な関係にある協定大学と本プログラムを推進することとなりました。学生交流を継続的に体系的に行うことにより、知日人材養成を支える日本事情・日本語教育者を育てるとともに、三国と日本の架け橋となる職業人を養成したいと考えています。どうぞ三国と本学学生の今後の活躍にご期待ください。

本学は、本事業を日本と東南アジアの将来に関わる重要な事業と考えており、全力を挙げて取り組んでいく所存です。本プログラムのご理解とご協力をお願い申し上げます。

年次報告/Annual Reports

2016年度/AY 2016

事業初年度となる2016年度は、短期、長期、大学院の各交流プログラムで、派遣では計画32名に対し31名、受入では計画18名に対し20名の学生が参加しました。短期受入に際しては、各協定校の教員も来日し、本学で学生への講義や教員間の協議も行われました。また、事業を主に運営する本学教職員によるワーキング・グループの形成、ウェブサイトの立ち上げ、各言語でのパンフレットの作成等を行い、事業の実施体制を構築しました。派遣に備えた渡航における検疫・感染症についての説明会、第1回有識者会議等も開催されました。なお、これらの説明会や会議については、事業期間内を通じて毎年開催されました。

  • 交流学生数
    派遣/ Outbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 10 9 3 31 32
    長期/ One-year 2 2 2
    大学院/ Research program 1 0 2
    受入/ Inbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 3 4 6 20 18
    長期/ One-year 2 2 2
    大学院/ Research program 0 0 1
  • 主な取り組み
    ・7月 - 大学院派遣(カンボジア)
    ・8月 - 短期派遣(ミャンマー)
    ・9月 - 長期派遣(ラオス、カンボジア)
      大学院派遣(カンボジア)
    ・10月 - 長期受入(3国)
      大学院受入(カンボジア)
    ・11月 - 短期受入(ミャンマー、ラオス、カンボジア)
      ラオス国立大学副学長・同日本語学科長招聘
      王立プノンペン大学副学長・同教員招聘
    ・12月 - 長期派遣(ミャンマー)
    ・2月 - 短期派遣(ラオス、カンボジア)
    ・3月 - 第1回有識者会議
  • 取組概要/ Overview(PDFファイル)
  • 採択校連絡会資料(PDFファイル)

2017年度/AY 2017

2017年度は、派遣プログラムでは計画32名に対し34名、受入プログラムでは計画22名に対し24名の学生が参加しました。また、4月のヤンゴン大学学長および国文学科長の来日をはじめとして、7月にはラオス国立大社会科学部副学部長および文学部日本語副学科長、11月には王立プノンペン大学国文科長および副学長補佐を招へいして協議や講演が行われ、3月には本学理事・事務局長が教員とともにラオス国立大学他関係機関を訪問するなど、大学間の連携もさらに強化されました。長期受入学生は、今年度より地域の小学校等でのボランティア体験に参加し、国の枠を越えた交流を深めました。

  • 交流学生数
    派遣/ Outbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 9 9 4 34 32
    長期/ One-year 3 3 2
    大学院/ Research program 3 0 1
    受入/ Inbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 5 5 6 24 22
    長期/ One-year 3 3 2
    大学院/ Research program 0 0 0
  • 主な取組
    ・4月 - GJOヤンゴン会議
      ヤンゴン大学学長・同国文学科長招聘
    ・7月 - 短期受入(ミャンマー、ラオス)
      ラオス国立大社会科学部副学部長・同文学部日本語副学科長招聘
    ・7月 - 大学院派遣(カンボジア)
    ・8月 - 短期派遣(ミャンマー)
    ・10月 - 長期派遣(ミャンマー、カンボジア)、長期受入(3国)
    ・11月 - 短期受入(カンボジア)
      王立プノンペン大学国文科長・同副学長補佐招聘
    ・12月 - 長期派遣(ラオス)、大学院派遣(ミャンマー)
      長期受入学生ボランティア体験(もちつき大会)
    ・1月 - 採択校連絡会
      大学院派遣(ミャンマー)
    ・2月 - 短期派遣(ラオス、カンボジア)
      TUFSアソシエイツ会合(カンボジア)
      第2回有識者会議
    ・3月 - 本学理事・事務局長がラオス国立大学訪問
      第1回TUFSグローバルコミュニティ会合(ラオス)
      長期受入学生ボランティア体験(小金井市国際交流フットサル大会)
      大学院派遣(ミャンマー)

2018年度/AY 2018

2018年度は、派遣プログラムでは計画32名に対し36名、受入プログラムでは計画22名に対し28名の学生が参加しました。3国間の横のつながりを醸成する機会が欠如しているとの有識者会議での指摘を受けて、学生の交流と日本理解の知識共有を目的に、3国合同イベントとして校外施設見学を実施しました。さらに、これまでの教員招聘や受入学生のボランティア体験に加え、1~3月に、冬季プログラムとして、海外インターンシップ報告会や卒業生による講演(日本人学生対象)、日本語講座やホームビジット、本学の他の展開力事業と合同のソニー本社と日立建機土浦工場での1 Dayインターンシップ(受入学生対象)などを実施しました。

  • 交流学生数
    派遣/ Outbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 10 11 2 36 32
    長期/ One-year 3 2 3
    大学院/ Research program 3 2 0
    受入/ Inbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 5 5 6 28 22
    長期/ One-year 3 4 3
    大学院/ Research program 0 1 1
  • 主な取り組み
    ・4月 - 大学院受入(ラオス、カンボジア)
    ・5月 - 留学生交流イベント(3国合同)
    ・7月 - 短期受入(ミャンマー、ラオス)
      ヤンゴン大学国語国文学科教員招へい
      ラオス国立大学文学部長・文学部日本語学科教員招へい
      大学院派遣(ミャンマー)
    ・8月 - 短期派遣(ミャンマー)
      大学院派遣(ラオス)
    ・9月 - 短期受入・長期派遣(カンボジア)
      王立プノンペン大学国文学部教員招へい
    ・11月 - 長期受入学生ボランティア体験(小金井市立東小学校ミニ運動会)
    ・12月 - 採択校連絡会
      長期受入学生ボランティア体験(もちつき大会)
      長期派遣・大学院派遣(ミャンマー)
    ・1月 - 長期受入学生ボランティア体験(小金井市立東小学校交流授業)
    ・1月~3月 - 冬季プログラム
    ・2月 - 第3回有識者会議
      短期派遣(ラオス、カンボジア)
    ・3月 - 長期受入学生ボランティア体験(小金井市東小学校区 放課後こども教室)
  • 取組概要/ Overview(PDFファイル)
  • 採択校連絡会資料(PDFファイル)

2019年度/AY 2019

2019年度は、2月に予定されていたラオスの短期派遣が新型コロナウイルス感染症の影響により中止となった結果、派遣は計画32名に対し25名、受入は計画22名に対し26名となりました。短期受入については3国同一日程で行われ、開講式、学外研修、茶道体験が合同で実施され、3国間の横のつながりが強化されました。また、冬学期には、長期受入学生の日本理解の深化及びキャリアパスを目的とした山形および福島でのスタディツアーが行われました。年度末には予定されていた学外でのプログラムの一部が中止となったものの、学内では長期受入学生を対象とした職業興味検査とキャリアアドバイザーによる解説等が行い、受入学生のキャリアパス支援を行いました。なお、毎年年度末に開催されている有識者会議は、新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインでの実施となりました。

  • 交流学生数
    派遣/ Outbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 9 0 6 25 32
    長期/ One-year 4 1 0
    大学院/ Research program 1 2 2
    受入/ Inbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 5 5 6 26 22
    長期/ One-year 3 4 3
    大学院/ Research program 0 1 1
  • 主な取り組み
    ・4月 - 長期受入学生ボランティア体験(子ども縁日)
    ・5月 - 長期受入学生ボランティア体験(放課後こども教室)
    ・6月 - 長期受入学生高尾山ハイキング
    ・7月 - 短期受入(3国合同)
      ラオス国立大学学長招聘
      ヤンゴン大学・王立プノンペン大学教職員招聘
      長期受入学生ボランティア体験(小金井市立東小学校交流授業)
    ・8月 - 短期派遣(ミャンマー)
      大学院派遣(ラオス、カンボジア)
    ・9月 - 長期派遣(ラオス、カンボジア)
    ・10月 - 長期受入学生ボランティア体験(小金井市東児童館ハロウィンパーティー)
    ・11月 - 採択校連絡会
    ・12月 - 長期派遣・大学院派遣(ミャンマー)
    ・1月 - 山形スタディツアー
    ・2月 - 短期派遣(カンボジア)
      冬季プログラム
      福島スタディツアー
    ・3月 - 第4回有識者会議(メール審議)
  • 取組概要/ Overview(PDFファイル)
  • 採択校連絡会資料(PDFファイル)

2020年度/AY 2020

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により実渡航を伴う派遣・受入については原則中止となりました。本事業では、「次世代型海外留学を目指すスタートアップ・プログラム」を立ち上げ、オンラインによる交流の維持を目指しました。この一環で、本学の学生についてはオンライン短期派遣やタンデム学習等により104名に単位を認定し、協定校の学生については、実施の期間や内容の基準を満たしたプログラムに参加した80名に本学より参加証を発行した他、52名が協定校の授業内で実施された本学による講演を受講しました。これに加えて、単位認定を伴わない、または協定校が介在しないさまざまなプログラムに本学から164名、協定校から54名(ともに延べ数)が参加しました。
本事業では、5年間で強化された3国との絆に加え、今年度得たオンライン交流の知識や各国語によるオンライン教材も活用して、次年度以降も3国との交流プログラムを継続していきます。

  • 交流学生数(オンラインを含む。括弧内は参考値)
    派遣/ Outbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 28
    (10)
    52
    (63)
    24
    (91)
    107
    (164)
    33
    長期/ One-year 0 0 2
    大学院/ Research program 0 1 0
    受入/ Inbound Maynmar Laos Cambodia 実績/ Result 計画/ Plan
    短期/ Short-term 37
    (44)
    93
    (9)
    2
    (1)
    137
    (54)
    23
    長期/ One-year 0 2 1
    大学院/ Research program 0 1 1
  • 主な取り組み
    ・4月 - 大学院受入(ラオス、カンボジア)
    ・6月 - 日本就職入門Webinar、琴平オンラインバスツアー(長期受入学生対象)
    ・9月 - 本学学生対象オンラインスタディツアー開始(カンボジア、第1回報告)
    ・10月 - オンライン長期受入(ラオス、カンボジア)
    ・10月~1月 - オンラインタンデム学習(ミャンマー)
    ・11月~12月 - オンラインタンデム学習(ラオス)
    ・1月 - オンライン短期派遣(ラオス)
    ・2月 - オンライン短期派遣(カンボジア)
      オンライン集中講義(ミャンマー)
      第5回有識者会議(オンライン)
      協定校学生対象 豊洲オンラインスタディツアー(ラオス)
    ・3月 - 採択校連絡会(オンライン)
      協定校学生対象 築地・浜離宮オンラインスタディツアー(カンボジア)
      事業総括メッセージ動画作成
  • オンラインプログラム一覧(PDFファイル)
  • 取組概要/ Overview
  • 採択校連絡会資料(PDFファイル)

事業総括メッセージ動画
「本事業を振り返って」

本事業の最終年度にあたり、協定校の先生方やこれまで本事業のプログラムに参加した協定校および本学の学生よりメッセージ動画をいただき、事業総括動画を作成しました。

本事業実施にご支援くださった皆様方に心より感謝申し上げます。

参加者一覧(出演順・敬称略)

事業責任者  鈴木玲子教授

【ラオス】

ラオス国立大学  ソムスィー・ニョーパンサイ学長
ラオス国立大学  スリカン・タムマウォン専任講師
長期受入生  リンダ・ブッタヴォンさん
短期・長期受入生  ラッタナー・スックチャルーンさん
長期派遣生  小出奈央さん
長期・大学院派遣生  千葉綾乃さん

【カンボジア】

王立プノンペン大学  オム・ラヴィ副学長
王立プノンペン大学  バン・ソバタナ教授
短期受入生  トーイ・パンニャーさん
長期受入生  ロホ・チャントラーさん
短期派遣生  小山秋穂さん
大学院派遣生  調邦行さん

【ミャンマー】

ヤンゴン大学  アウンミィンウー顧問
サイチョートゥン元東京外国語大学特任准教授
短期・長期受入生  フニンエインウェーさん
長期受入生  アウンミャッさん
短期・長期派遣生  田中千帆さん
短期・長期派遣生  鈴木蒼さん

コーディネーター  寺井淳一特任助教

次世代型留学プログラム

「次世代型海外留学を目指すスタートアップ・プログラム」を実施

 世界展開力強化事業(ASEAN)では、新型コロナの感染状況に鑑みて、2020年度後半から「次世代型海外留学を目指すスタートアップ・プログラム」を実施することにいたしました。
 本プログラムは、海外渡航が難しい状況にある中で学びの機会を工夫し、学生のさらなる相互理解と国際的視座の深化を図ることを目的としています。各国の協定校と連携して、さまざまなオンラインプログラムを行うものです。
すでにお互いの教員による講義やオンライン見学などを実施していますので、詳細については本学本事業ホームページ各国班の「次世代型留学プログラム」欄をご覧ください。
 引き続き本事業をどうぞよろしくお願い申し上げます。

事業責任者 鈴木玲子

「次世代型海外留学を目指すスタートアップ・プログラム」関連記事はこちら

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