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東京外国語大学 大学院総合国際学研究科 冬学期集中講義 Japan Studies2 

「文学の実験、思想史の挑戦――植民地主義を再論する」

JS2.jpg(一般公開・履修希望者) 対面 + ZOOM ハイブリッド開催

日時:2025 年2 月3 日(月)~ 2 月7 日(金) 10:10 開始

【企画の意図】

 この冬期集中講義は、「文学と思想史」にひきつけつつ、中心テーマを植民地主義に定めている。蜷川泰司氏はこれまでの作品で故郷や言語を喪失した移民たちや、文明と時間の〈あわい〉を彷徨う「異族」を、東欧らしき佇まいの「どこか」―-それは地球上でもなく異星の「どこか」かもしれないが――に設定された街を舞台にして、連作「ユウラシヤ」として書き綴ってこられた。昨年度は、その経験を踏まえた蜷川氏の観点から、文学史の講義をお願いした。そうした背景にも触れていただきながら、今年度は「ユウラシヤ」四部作の完結編となる次作について語ってもらう予定である。

 ブレット・ド・バリー氏のテーマは森崎和江である。近年のアクチュアルな森崎和江論を見渡しながら、ド・バリー氏のこれまでの森崎研究を紹介していただく予定である。

 豊永浩平氏には話題になった『月ぬ走いや、馬ぬ走い』(講談社2024)の自著解題のようなお話をお願いしている。それを一言で語るのは困難だが、戦争・占領、そして現在の沖縄の植民地主義の経験――翻訳不可能なそれを通訳することであり、それ自体が翻訳不可能な文体と小説世界を創り出す試みではないか、と考えてみたい。倉数茂氏(作家、文芸批評)のご協力を得ながら、その小説世界を読み解いてみたい。

 中野敏男氏には、近著であり氏の植民地主義研究の集大成である『継続する植民地主義の思想史』(青土社、2024)から、第九章の森崎和江論を中心に論じていただく予定である。森崎の「民衆の直接性」を通した沖縄民衆の移動と出会いという論点が導き出されることの重みと背景を考えながら、「継続する植民地主義」批判の立脚点を見定めていきたい。

【プログラム】

【2 月3 日(月)】 

2 限 蜷川 泰司 氏(作家)

「雨と光と、降り注がぬがままにー散文芸術の多様と境域、その交差1-」

3 限 蜷川 泰司 氏(作家)

「雨と光と、降り注がぬがままにー散文芸術の多様と境域、その交差2 ー」

4 限 討論

【2 月4 日(火)】 

2 限 蜷川 泰司 氏(作家)

「雨と光と、降り注がぬがままにー散文芸術の多様と境域、その交差3 ー」

3 限 蜷川 泰司 氏(作家)

「雨と光と、降り注がぬがままにー散文芸術の多様と境域、その交差4 ー」

4 限 討論

【2 月5 日(水)】 

2 限 Brett de Bary 氏(Cornell Univ. Professor Emeritus)

Dark Modernity: Morisaki Kazue at the Miike Coal Mines

3-4 限 討論

【2 月6 日(木)】

2 限 中野 敏男 氏(東京外国語大学 名誉教授)

「植民地主義ということーー思想史からの問い」

3 限 中野 敏男 氏(東京外国語大学 名誉教授)

「「反復帰」という思想経験に学ぶーー森崎和江の問い方」

4 限 討論

【2 月7 日(金)】

2 限 豊永 浩平 氏(作家)

「21 世紀生まれとしてポストコロニアル性を書くことーー『月ぬ走いや、馬ぬ走い』解題」

3 限 コメント 倉数 茂 氏(東海大学准教授・作家)

4 限 まとめ

《ZOOM 詳細》 トピック: Japan Studies2(ミーティング ID: 864 0770 4806 パスコード: 180001 )

《対面会場》東京外国語大学 アゴラ・グローバル3F プロジェクトスペース

協力:東京外国語大学 国際日本研究センター(in-icjs@tufs.ac.jp)