2024春、新任教員特集
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2024年4月(及び2023年11月)に東京外国語大学に着任した教員からみなさんへメッセージをいただきましたのでお届けします。
宇山 智彦 / UYAMA Tomohiko
アジア・アフリカ言語文化研究所 教授(クロスアポイントメント)
専門分野:中央アジア近代史・現代政治、比較帝国史、比較政治、国際政治
北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターを本務校とするクロスアポイントメント教員です。中央アジアの近代史と現代政治・国際政治を中心とする旧ソ連地域研究が専門で、他の地域の研究者の方々と共に、比較帝国史や比較政治(権威主義体制論)の研究にも取り組んできました。最近は、ロシアのウクライナ侵略戦争などで流動化する大国・中小国関係に関心を持っています。東京外国語大学でアジア・アフリカ諸地域を専門とする研究者の方々と一緒に仕事をすることを楽しみにしています。
窪田 悠介 / KUBOTA Yusuke
大学院国際日本学研究院 准教授(クロスアポイントメント)
専門分野:理論言語学、統語論、意味論
自然言語の統語論、意味論が主な専門分野です。授業や共同研究においては、偶然の出会いを大切にしたいと考えています。人文系の研究においても、目先の利益やそろばん勘定の能力を重視する歪んだ価値観が横行している世知辛い時代ですが、そろそろ疲れてきたので、のんびり好きなことをマイペースで深めていきたいと考えています。
小竹 直 / KOTAKE Tadashi
大学院総合国際学研究院 准教授
専門分野:英語学、古英語、中英語、英語文献学
専門は中世の英語で、主に古英語と呼ばれる時代(大まかに言って、英語がノルマン征服を経て大きく姿を変える前)の文献を研究しています。語学・文学の垣根を越えて、特に資料の原本(写本と呼ばれる手書きの書物)の調査を大切にしています。授業では、英語がどのように変化してきたかを検討したり、中世の英文学を楽しく読んだり、英語の歴史にかかわる幅広い内容について、みなさんと一緒にじっくりと考えていきたいと思います。
山田 真寛 / YAMADA Masahiro
大学院国際日本学研究院 准教授(クロスアポイントメント)
専門分野: 日琉語諸方言、言語復興
週一日勤務する国立国語研究所とのクロスアポイントメント教員として2年間在籍し、日琉語諸方言に関する授業を開講します。鹿児島県の沖永良部島をメインフィールドに、琉球諸語や日本語本土方言など、「いま何もしなければ」なくなってしまう言語をなくさないための研究をしています。
赤桐 敦 / AKAGIRI Atsushi
世界言語社会教育センター 講師
専門分野:言語政策
専門は、言語政策論と日本語教育史です。19世紀の東アジアにおいて、ラテン文字や仮名文字を用いた民衆に対する識字(リテラシー)教育が、いかに進展したのかを研究しています。教育実践では、留学生に対する日本語教育、日本人学生に対する中国語教育などに従事してきました。今も昔も、ことばの学習は、社会参加の最初の一歩になると考えています。すべての人々に開かれた言語教育のあり方について、みなさんと共に考えて行ければうれしいです。
井口 俊 / IGUCHI Shun
世界言語社会教育センター 講師
専門分野:西洋近代美術史
専門は19世紀フランスを中心とする西洋近代美術史です。その中でも、美術作品とそれを語る言葉との繋がりに関心を抱き、研究を行ってきました。美術史の研究者というと華やかな研究生活を想像されることもしばしばですが、実際には図書館や文書館で、同時代の資料の山と格闘しています。とはいえ、研究の原動力はやはり作品を目にしたときの喜びです。学生の皆さんともさまざまな場での対話を通じて、その喜び、そして美術史研究の魅力を分かち合いたいと思っています。
喜多田 敏嵩 / KITADA Toshitaka
世界言語社会教育センター 講師
専門分野:スペイン語学
専門はスペイン語学で、スペイン語に関するテーマであれば何にでも関心があります。なかでも個人的な研究対象としているのは名詞表現の総称性で、スペイン語の名詞句が総称的に解釈されるための条件や要因について研究しています。私も東京外国語大学でスペイン語を学んだひとりですが、母校のスペイン語教育に携われることを光栄に思うのと同時に、皆さんとスペイン語に関する学びをより深めていけることを楽しみにしています。よろしくお願いします。
古宮 路子 / KOMIYA Michiko
世界言語社会教育センター 講師
専門分野:ロシア文学
専門はロシア文学です。特にモダニズム文学に、文学史研究や草稿研究の立場からアプローチしています。革命が起こった20世紀初頭には、新しい文学を創り出そうと作家たちが試行錯誤を繰り返し、様々な芸術実験が行われました。文学の傾向が目まぐるしく移り変わっていった、そのプロセスを追う研究をしています。実験的小説は一読して「わかりにくい」ですが、謎を解く楽しさがあります。皆さんと一緒に様々な文学作品に向き合っていけたら嬉しいです。
谷 一巳 / TANI Kazushi
世界言語社会教育センター 講師
専門分野:国際政治史、イギリス外交史
専門は国際政治史で、その中でも特に20世紀初頭のイギリス外交を研究しています。この時代には、19世紀に覇権国の地位にあったイギリスが新興国の台頭によって相対的に国力を低下させ、国際秩序は流動化していました。アメリカの覇権が揺らぐ現在の状況に似ているとも言えます。複雑さを増しつつある現代の世界をより深く理解するため、様々な地域に関心を持つ皆さんとともに国際政治のあゆみを学ぶことができれば幸いです。
谷川 みらい / TANIKAWA Mirai
世界言語社会教育センター 講師
専門分野:日本近現代史、日本経済史
日本史、特に近代の経済や経済政策にかかわる部分を研究しています。
私たちの社会や、個々人の人生のありようは、経済的な要素に強く規定されます。経済活動によって充足感を得られる人がいる一方で、貧困や過労、雇用関係・民族間関係・家族といった様々な関係性の中で生じる搾取に苦しむ人もいます。しかし、今目の前にある経済の仕組みとそれがもたらす社会状況は不変のものではなく、歴史の中で経験してきた大きな変化の先端に位置しているに過ぎません。
歴史を学ぶことで、過去と現在の社会に対する理解を着実に深めることができます。それは、この先の社会を構想するための力にもなると信じています。ぜひ一緒に学び、考えましょう。
植田 尚樹 / UETA Naoki
アジア・アフリカ言語文化研究所 助教
専門分野:音韻論、モンゴル語
専門は言語学・音声学で、特にモンゴル語を中心に、音声実験や音響分析を基盤とした音韻論研究を行っています。モンゴル語の音声特徴や音韻体系を明らかにしながら、人間の言語の音はどんな構造を持っているのか、それは理論的にどう表されるのか、ということを研究しています。今後はさらに研究対象を広げ、モンゴル語を含む東アジアの多様な言語を分析するとともに、音声特徴が担う情報の多様性にも注目していきたいと考えています。
緒方 しらべ / OGATA Shirabe
アジア・アフリカ言語文化研究所 助教
専門分野:文化人類学、ナイジェリア研究、アフリカ美術史
ナイジェリアを主な調査地として、モノ、感覚、制度といった芸術を成すさまざまな要素と、カネや生業、信仰、人間関係やコミュニティなど人びとが生きるために必要なコトや出来事に注目しながら、芸術やアフリカンアートと呼ばれるものについて考察し、記述しています。そうすることで、美術史や展覧会とはまた別の角度から芸術やアフリカの地域について知り、同時に、身近な日本の地域や自分自身の考え方についても再考していきたいです。
清田 顕子 / KIYOTA Akiko
世界言語社会教育センター 特任講師
専門分野:応用言語学・バイリンガル教育、質的研究
専門は応用言語学です。第二言語でのインタラクションについて研究しています。メンバー間の言語能力に差がある場合、話の輪に入りにくい人がどうしたら入りやすくなるか、日々考えています。方法論では、様々な質的研究の手法に関心があります。本学では、英語学習支援センター(English Language Center、ELC)のコーディネーターを務めます。ELCの活動や授業でのみなさんとの出会いを通じて、一緒に学びを深めていけたら嬉しいです。
黒野 敦子 / KURONO Atsuko
世界言語社会教育センター 特任講師
専門分野:日本語教育学
専門は日本語教育です。これまで留学生を中心に、様々な国の日本語学習者に日本語を教えてきました。海外では韓国で3年間日本語教育に携わりました。東京外国語大学では、日本語教師養成プログラムの授業を担当します。一人でも多くのみなさんに日本語教育のおもしろさと奥深さを感じていただけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
トリフ・ヨアン / TRIFU Ioan
世界言語社会教育センター 特任講師
専門分野:日本近現代政治史、比較政治
専門は政治学と政治史で、政治的な視点から地方自治体、歴史文化、災害、動物について研究してきました。現在の主な研究テーマは2つあり、一つ目は、日本の文化財や文化遺産の政治です。長期的な観点で政策としての文化財保護の進展と変化、日本人の歴史観やアイデンティティ構築などについて分析することです。次に、人間と自然の関係や環境問題などに関心があることから、日本における災害と民主主義の関係について調査しています。「政治」とは選挙と政党だけでなく、はるかに広いものです。その「政治」について皆さんと一緒に学びを深めていくことを楽しみにしています。
エリーズ・ヴォワイヨ / VOYAU Elise
世界言語社会教育センター 特任講師
専門分野:写真史・現代美術史
専門は日本における写真の歴史です。主に1960年代以降の写真、特に写真と現代アートの関係について研究しています。日本の視覚文化を政治的、経済的、社会的な文脈に位置づけることによって、グローバル化する世界との関係から捉え直したいと考えています。よろしくお願いいたします。
大津谷 馨 / OTSUYA Kaori
アジア・アフリカ言語文化研究所 特任助教
専門分野:メッカ・メディナ史
私は、人・知識・モノの移動や様々な地域の交流の歴史に関心があり、イスラームの聖地メッカ・メディナの歴史について研究しています。具体的には、メッカ・メディナに関する歴史書が様々な地域から聖地にやってきた知識人たちが交流する中でどのように作られたか、またその後、そのような歴史書がどのような地域でどのように受容・翻訳されたかに関心を持っています。東京外国語大学で、様々な専門の皆さんと交流できるのを楽しみにしております。
須永 恵美子 / SUNAGA Emiko
アジア・アフリカ言語文化研究所 特任助教
専門分野:パキスタン地域研究、デジタル人文学、南アジアの出版文化
専門はパキスタンの地域研究で、出版文化や言語教育を中心に研究を行っています。最近は地域研究にデジタル人文学の手法を取り入れることに関心があります。
フィールドで集めてきたデータは、すぐに分析できる綺麗なデータばかりではなく、ノイズのような雑多な情報を多数含みます。これらをどのように分類し、研究に利用できる形に整え、残していくのか、一緒に考えてみませんか?
崔 淑敬 / CHOI Sook-Kyoung
世界言語社会教育センター 特任助教
専門分野:教育工学
学際的な教育プログラムを通じて地理・学問・時間的な架け橋となる人材を育成するTP-Bridgeプロジェクトに,プログラムコーディネーターとして着任しました。私は大学院でコンピュータサイエンスと教育工学を専攻し,韓国の教育研究機関でサイバー大学評価等の事業を担当してきました。私の経験を活かし,多様なバックグラウンドを持つ学生が共に学びながら,流動的で創造的な思考力を向上させることができる協働学習環境の構築に貢献したいと考えています。東京外国語大学で優秀な先生方,学生方と学び合えることを楽しみにしています。