専攻言語案内

27の言語から始まる学び

みなさんが入学時に選んだ「専攻言語」について、高いレベルでの各言語の習得を目指します。各言語には、それぞれの文化的・社会的背景があり、いずれの学部も言語と地域の両方を選択することにより、地域理解を深めます。

高度な英語力で新たな多文化社会の主役になる
英語

現代世界で英語は特別な地位を占めています。イギリスやアメリカの母語話者や、インドのように公用語として位置付けられている国の人々の間にとどまらず、今では国際的なコミュニケーション言語として公的・私的場面で広く利用されています。英語というツールを持っていれば、英語圏以外の人たちとも協力しあって、地球規模の「多文化社会」を作り上げるダイナミックな作業に参画することができます。英語はまた、さまざまな分野で必要とされる学術言語でもありますから、英語の鍵があれば、「真理」を追究するための学問の扉を開くこともできます。

本学に入学される学生さんの多くにとって、英語は「得意科目」だったかもしれませんが、しかし、高校段階までの英語はやはり「子供の英語」です。本専攻では、それを「大人の英語」に高めるためのプログラムを提供しています。

1、2年に配当されている週5コマの「専攻言語」の授業では、英語力全般の向上を図るとともに、学問の対象としての英語の諸相に触れ、変容する英語圏の地域を読み解く眼を鍛えます。

3、4年の専門課程では、専攻専攻語学習の成果を活かして、英語の言語的特質や英語圏の文化に関する研究を深めることができます。さらに言語学や地域研究の一般理論、国際関係や国際協力など多方面の専門分野に進むこともできます。

言語で学ぶ地域 北西ヨーロッパ・北アメリカ

ドイツ語を通じて多くのヨーロッパ文化に直接アクセス
ドイツ語

「ドイツ語」についてどのようなイメージをお持ちですか? ― もしかしたら文法が難しい複雑な言葉と思っているかもしれませんね。でも当然のことですがGuten Tag!(こんにちは)、Danke!(ありがとう)、Ich liebe dich.(愛してるよ)など、ごく日常的に使われている言葉なのです。ドイツ語は法律、医学、自然科学などの分野で日本の近代化にも大きな役割を果たしました。医者のカルテ(Karte)や手術のメス(Messer)など日本語になったドイツ語単語も少なくありません。

ドイツ語はこのように学習の入口は広い言葉ですが、奥行きは深く、ドイツ語を習得することで大きな世界が広がります。カント、ヘーゲル、ニーチェが思索した言葉、バッハ、ベートーベン、モーツァルトが音楽を語った言葉、ゲーテ、シラー、ハイネ、カフカが詩作し、物語った言葉、グリム兄弟が昔話を書きとめた言葉、ナチスが大衆を扇動した言葉...これらはほんの一例に過ぎませんが、ドイツ語を通じて過去から現在にいたるヨーロッパ文化の多くの部分に直接アクセスすることが可能になります。また、ドイツ語は英語とも類縁関係にあるので、ドイツ語を通して英語の理解も深まるという副次的な効果も期待できます。

言語で学ぶ地域 中央ヨーロッパ

20世紀の数々の事件を経験してきた言葉
ポーランド語

東京外国語大学は、ポーランド語を系統的に学び、研究に使うことのできる日本で唯一の大学です。「三国分割」というヨーロッパ政治・思想史上の大問題を始めとして、かつて世界最大のユダヤ人人口を擁したポーランドという国ならではのユダヤ文化やいわゆる「ユダヤ人問題」を考察する上でも、ポーランド語の知識は欠かせません。二度の世界大戦、全体主義の経験、ローマ法王ヨハネ・パウロ二世の活躍、自主管理労組「連帯」の運動と東欧革命――これら20世紀の最重要課題ともいうべき事件を経験してきたこの「ポーランド語」、難しい言語といわれるこの言葉をマスターして、スラヴの言語や民俗、あるいは王様を選挙するという不思議な共和制、「ポーランドを巻き込むことができず、また、ポーランドに独立と自由を保障できないようなすべての西洋の革命は、敗北に終わる」とエンゲルスやマルクスに言わしめたその歴史、ショパンの内面とユーモアにじかに触れる旅に、ぜひ皆さんも出かけてみましょう。

言語で学ぶ地域 中央ヨーロッパ

チェコ語の面白さは、なんといってもその複雑さ
チェコ語

チェコ語はその名の通り、ヨーロッパ中央部に位置するチェコ共和国の言語です。話している人はおよそ1000万人、決して多くありません。ローマ字を使って書き表しますが、それだけでは足りないので、文字の上に小さく「ノ」や「V」や「○」といった付属記号をつけます。

チェコ語の面白さは、なんといってもその複雑なところでしょう。単語は動詞も名詞も形容詞も代名詞も、そして数詞までもが変化します。

それでも、これまでに学んできた学生たちは、チェコが大好きになり、満足して卒業していきました。その理由は、「マイナー言語」の学習を通して新しい視点を養い、世の中には経済効果よりも大切なものが存在することに気づくからです。複雑なチェコ語はマイナー志向のあなたを必ず満足させてくれることでしょう。

言語で学ぶ地域 中央ヨーロッパ

重要な国際語・豊かで魅力ある文化を表し、伝える言葉
フランス語

南仏出身の画家ポールセザンヌがこよなく愛したサント・ヴィクトワール山

フランス語はフランス本土と海外県、海外領域圏のみならず、カナダのケベック州、ベルギー、スイスなどのヨーロッパの国々、コンゴ民主共和国やカメルーンなど22のアフリカ諸国を含む地域で公用語として用いられています。17~19世紀にはフランス語は外交のための重要な言語でした。今日でもなお、国際機関やNGO活動、オリンピック等の国際イベントにおいて、フランス語は重要な役割を果たしています。国際貢献や開発協力の分野で活躍したいと思っている方には、英語とともにフランス語の習得がきわめて重要であるといえます。また、フランス語を学ぶことで、英語とは異なる視点から世界を見つめることができるでしょう。
フランスの言語と文化は、歴史を通じて、規範的・権威的フランスとそれを取り巻く個性的・周縁的フランスとの間で永続的な葛藤が繰り広げられてきました。フランス語の学習とそれをめぐる勉強においても、書き言葉と話し言葉、フランスとフランス語圏、パリと地方などのように、常に中央と周縁への眼差しを持ち続けることは重要です。フランス語は、そうしたことを考えるきっかけを与えてくれる格好の材料なのかもしれません。
「フランス研究」というと皆さん何をイメージするでしょうか?優れた文学者や哲学者によって書かれた文章を原語で読み味わいつつ、自身の思考を高め教養を深めるのもよいですし、歴史的な文献を精読しながら、今日のフランスを形成しているものは何かを考えるのも有意義でしょう。人々が日常使う何気ない言葉に耳を傾け、時や場所、目的に応じて自在に変化する多彩な言葉という生き物に目を向け、そのしくみを明らかにし、それが社会や人とどう関わるかを考えることも面白いでしょう。フランス語を入口に、あなた自身の「フランス研究」を探求してみてください。

言語で学ぶ地域 西南ヨーロッパ

豊かで多様なイタリア文化。その心にふれる
イタリア語

サマルカンドのグーリ・アミール廟

イタリアはヨーロッパの文明の故郷の一つです。例えば、ヨーロッパの主要言語であると同時に世界的な大言語であるフランス語、スペイン語、ポルトガル語は、もとをたどれば、イタリア中部テーヴェレ川流域で話されていた言語「ラテン語」に遡ります。イタリア語もまたこのラテン語の子孫ですが、いくつかの点では、これらの言語のどれよりも、その昔の姿を良く保存しているとも言われます。

イタリア語の使用地域は、植民地支配などによる広大な言語圏の形成が行われた諸言語と異なり、ほぼ、イタリア半島とその近隣の地域(イタリアに加え、スイス、スロヴェニア、クロアチア、フランスなどの一部や、モナコなど)に限られます。そのため、社会生活一般でも学術的研究でも、イタリア語の使用はイタリアという国とある程度密接に結びついています。

地中海に位置し、さまざまな文化が交差した場所であり、またそこから豊かな文化が生まれた場所であるイタリアはヨーロッパ全体を理解する鍵であり、イタリア語を知ることは、言語の通用範囲からだけではその価値をはかれない、かけがえのない体験となるはずです。

言語で学ぶ地域 西南ヨーロッパ

スペインやラテンアメリカの国々に、その話者は5億人近く
スペイン語

スペイン語の話者は、母語とする人だけでも4億9千万人、外国語として学習している人を含めると6億人近くになると言われています。スペインやラテンアメリカの国々を含めて20以上の国や地域で使われています。EU統合の際に最初の議長国をつとめ たスペイン、米州機構を通じてアメリカ合衆国と渡り合うラテンアメリカ各国は国際政治の舞台でも大きな役割を果たし、スペイン語圏の重要性が増しています。一方、各国の社会も実に多様です。スペイン国内にはカタルーニャ語やバスク語などがその文化とともに独自性を保ち、ラテンアメリカでは先住民の言語・文化がスペイン語社会と重層をなしています。

文化的には文学、思想、宗教、美術、音楽、建築などの分野で、また、今日では、映画、ダンス、サッカー、それに料理やファッション、祭礼などさまざまな分野で世界的に注目されています。多彩なスペイン語圏文化のこのような局面のどれもが、みなさんが大学で取り組むことのできる興味深いテーマとなるはずです。

スペイン語専攻では、学生が「スペイン語を使って自分で勉強できるようになること」を目標にカリキュラムを組み立てています。最初の2年間の専攻専攻語科目では、週5つの授業のうち2つがネイティブ・スピーカーによる授業にあてられ、スペインで出版された最新の教材を使って「自分で考えて話す」ための会話力の育成を目指します。文法の授業は、専任のスタッフが作成した教科書を利用して、丁寧かつスピーディーに文法の骨格を押さえ、きちっとした作文が出来るように基礎的な訓練をします。また、いろいろな種類の文章を自分の視点から読みこなせるようになるために、読解の授業にも十分な時間をかけています。

言語で学ぶ地域 イベリア・ラテンアメリカ

ポルトガルとブラジルのポルトガル語。いまや日本にも話者多数
ポルトガル語

ポルトガル語は、ブラジルやポルトガルで2億人を超える人々の母語であるとともに、アフリカのカーボ・ベルデ、ギニア・ビサウ、サントメ・プリンシペ、アンゴラ、モザンビークなどの主要公用語です。他に、アフリカの赤道ギニアやアジアの東チモールでも公用語のひとつに加えられています。現在、全世界でポルトガル語を用いる人口は2億4千万とも言われ、多様な言語文化を擁する豊かな言語です。20世紀末から日本でも日系ブラジル人コミュニティーが存在し、ブラジルポルトガル語が話されています。もともとは、ポルトガル語はイべリア半島の西側地域で、かつてのローマ帝国の公用語であったラテン語が口語化し、方言分化したものです。スペイン語やフランス語、イタリア語などと近い関係にあるロマンス諸語のひとつです。12世紀に成立したポルトガル王国とともに発展し、13世紀以降、豊かな文学伝統を育んできました。さらに15世紀には、他のヨーロッパ諸国に先駆けて海外進出を遂げ、16世紀前半までアフリカ沿岸やインド洋地域,極東でポルトガルは活躍し、ポルトガル語は日本が最初に直接接触したヨーロッパ語でした。

ポルトガル語専攻では、入学後の1,2年次に集中的な言語教育が行われます。3,4年次になるとそれぞれの学部のコースに開講されている専門的な演習科目(ゼミ)に教育の中心が移ります。テーマや関心に応じて履修プログラムを設計することができ、ブラジルやポルトガルをはじめとするポルトガル語圏の社会、経済、政治、歴史などをはじめとして、文学や言語、文化研究、開発支援の問題などを学ぶことが可能です。入学時から新入生の教育を担当する専攻語のスタッフとしては、ポルトガルやブラジルの言語や文学、歴史、ブラジル研究などを専攻する教員があたっています。

言語で学ぶ地域 イベリア・ラテンアメリカ

ロシア独特の文字や言葉を学び、文化を理解する
ロシア語

東京外国語大学は、日本で最も古くからロシア語・ロシア地域の研究と教育に携わってきました(1873年設立の東京外国語学校にロシア語は5学科の一つとして発足)。語学・文学に限定した学科などは他大学に少数ありますが、地域研究もあわせて、総合的なロシア研究をめざす組織編成にしている点で随一のものです。

ロシアは日本にとって最も近い隣国でありながら、相互理解のための回路はまだまだ不十分であり、多様なかたちで切り拓いていくことがもとめられています。

ロシア語の高度な運用能力を身につけ、ロシアの社会と文化についてしかるべき知識をそなえて、さまざまな場で相互理解と交流を深めていくことのできる新たな人材がいま必要とされているのです。ロシアの言葉・文化・社会・歴史・経済等を幅広く学んでロシア理解を深め、それを通して現代世界を見る目を培いましょう。
1、2年次は両学部ともロシア語習得に時間とエネルギーをかなりさきます。それぞれ出発点での自分なりのロシアへの関心にこだわりながら、ロシア語の確かな運用能力を身につけてください。3、4年次からは各自の問題関心によって、各学部3コースずつに分かれてで研究テーマに取り組むことになります。ロシア語では、幅広く他分野の問題にも目を向けるよう指導しています。たとえば、ある文学作品を研究するとして、その時代、作家の生きた社会などの理解なくして、深い考察はありえないからです。なお、多くの学生が種々のルートでロシア各地に留学しており、人々との交わり、暮らしから学ぶものも貴重です。

言語で学ぶ地域 ロシア

天然資源豊かな中央アジア地域の共通語:ロシア語、文明の十字路・シルクロードを代表する言語:ウズベク語
ロシア語およびウズベク語

サマルカンド(ウズベキスタン)のシェールダール・マドラサ

かつて旧ソ連の一部であった中央アジア地域では、現在でもロシア語が地域全体の共通語として重要な地位を占めており、多くのロシア語話者人口を抱えています。

また、ウズベク語はウズベキスタン共和国の国家語で、同国や周辺諸国に約3400万人の話し手がおり、地域最大の言語です。ウズベク語は、カザフ語やキルギス語、トルクメン語など他の中央アジア諸言語と同じくトルコ語と同系統の言語であり、日本語の「てにをは」と同様なものがあったり、語順の面でも文法構造が日本語とよく似ているので、日本人にとっては習得しやすい言語の一つです。

本学はウズベク語を専門的に学ぶことができる日本で唯一の大学であり、しかも専攻語としてロシア語とウズベク語の2言語が必修であることが特徴です。すなわち、1年次から地域の共通語であるロシア語を学び、2・3年次にはそれに加えて中央アジア諸言語の代表としてウズベク語を学びます。

いわゆるシルクロードの途上に位置する中央アジアでは、古代より文明の十字路として四方からさまざまな文化を取り入れ、独自の文化と歴史が育まれてきました。ペルシア語やアラビア語、ロシア語からの語彙を取り入れることで表現力を豊かにしてきたウズベク語を学ぶことで、この地域の多様な文化の重層と複合のさまを理解することができるでしょう。さらに、3年次からは多くの学生がウズベキスタンやカザフスタンの協定校に留学し、実地体験を通じて一層の理解を深めています。

言語で学ぶ地域 中央アジア

遊牧民モンゴル民族、そして資源豊かなモンゴルの言葉
モンゴル語

本学モンゴル語専攻は、モンゴル語の学習を基礎にして、モンゴルの社会や文化を研究できる、世界でも数少ないコースです。日本のモンゴル研究は、世界でも最高のレベルにあると評価されていますが、100年以上の歴史をもつ本学モンゴル語専攻は、そのようなレベルの維持に大きな貢献をしてきました。教員スタッフそれぞれがモンゴルの言語、歴史などを専門としているので、学生諸君の多様な要望と関心に対応することが可能です。

モンゴル人は、中央アジアの北部草原地帯で遊牧に基づく文化を築いてきました。定住農耕社会とは全く異なる遊牧社会の魅力に触れてみてください。

モンゴル語は日本語と語順が同じなので、日本人には学びやすい言語です。したがって、教室では日本語とは異なる文法上の特徴を理解し、日本語にはない発音をマスターすることに重点が置かれます。ネイティブの先生が最初から教えますので、発音は容易に習得できるはずです。

言語で学ぶ地域 中央アジア

東アジアの人々の生活と心、社会と歴史をうつすことば
中国語

本学中国語は東京外国語大学の中でも最も長い歴史を持つ専攻語の一つで、明治期以来一貫して日本における中国語教育を支えて来ました。昨今の国際社会において中国の存在感が増すにともなって中国語の需要は日々増大しています。本学中国語教室では実務的な言語運用能力を重視するとともに、本格的な研究に不可欠な語法知識の修得を重んじる基本方針を守っています。

1・2年次の専攻言語科目で使用するテキストは、ほとんどが東外大オリジナルに編集されたものです。これらは授業構成・基本理念に沿って作られたもので、読解・文法・会話の各授業用に特化した構成と内容を持っています。初めて学ぶ学生にとっては量も多く内容も高度で、2年間の集中的な学習により高水準の中国語をマスターできるはずです。また、会話の授業では通常1クラス30人の編成を更に15人ずつ2グループに分け、より少人数の教育を行なっています。

言語で学ぶ地域 東アジア

隣国の言語、文化、歴史にふれ、深く研究する
朝鮮語

本学朝鮮語は、日本で朝鮮半島に関する学問を専門的に学び、研究することのできる数少ない大学の1つです。朝鮮語の運用能力を養うことはもちろんのこと、言語学としての朝鮮語、朝鮮半島の歴史、朝鮮半島の文化など、さまざまな分野の学問に触れ、深く研究することができます。教員スタッフは、みな日本の朝鮮学界の第一線で活躍している研究者です。また、東京外大には朝鮮関連の大学院もあり、学部から大学院博士課程に至るまで一貫して質の高い朝鮮学を学ぶことができます。

1・2年生では1週間に5コマ(1コマは90分)の朝鮮語の授業があります。これらの授業は担当する教員が互いに連絡をとり合い、体系的に授業を進めていくので、ムダなくスムーズに朝鮮語を学習することができます。5コマの授業のうち、2コマはネイティブスピーカーの教員による授業なので、生の朝鮮語に存分に触れることができます。3・4年生になれば朝鮮語で行なわれる授業もあり、疑似留学体験をすることができます。また、東京外大には100名を越える朝鮮語話者の留学生がいて、いつでも彼らと朝鮮語で語らうことができます。東京外国語大学は朝鮮語をきちんと学び、そしてそれをその場で実際に使えるという恵まれた環境なのです。

言語で学ぶ地域 東アジア

豊かで多様な文化を誇るインドネシアの言葉を学ぶ
インドネシア語

インドネシアは、アメリカ合衆国が収まるほどの幅に東西に広がる1万3千あまりの島々からなりたち、2億5千万を超える人口を抱える大国です。長い歴史にはぐくまれた豊かで多様な文化を誇り、しかも様々な分野で日本との関わりも深く、現在そして将来にわたってインドネシア語を学ぶ意義は非常に大きいと言えるでしょう。

本学インドネシア語は、小規模な構成ならではのきめ細かな指導が可能となっており、恵まれた学習環境の中でインドネシア語・インドネシア地域研究を学ぶことができます。多くの大学でインドネシア語の授業が開講されていますが、専攻として集中的にインドネシア語・インドネシア地域研究を極められる点が、本学インドネシア語の大きな特色として挙げられます。 1・2年次で専攻語となるインドネシア語を集中的に学びます。1年次には、独自に編集している教材を用い、入門から始めて基礎的な語学力を確実に身につけます。2年次には会話・読解・作文をバランスよく学んで応用力・実践力を向上させます。 また語学の授業と並行する形で、インドネシアの歴史や文化、社会に関する講義を通じて、インドネシア地域の総合的な理解を深めていきます。3・4年次では、それまでに習得した語学力や地域事情の知識あるいは方法論を生かし、様々な分野から学生各自が関心に応じて選択したテーマをより深く研究することになります。

言語で学ぶ地域 東南アジア第1

東南アジアの海の世界をつなぐ共通語
マレーシア語

マレーシア語という窓からアジアを覗いてみませんか。マレーシアやその隣接地域では、古代より東南アジアの海を通じて様々な人、物、文明が行き交い、マレー人やその他の先住諸民族、中華系、インド系などの多民族が共存する、アジアの縮図のような多言語・多文化社会が形成されてきました。古くから東南アジア島嶼部の広範囲で共通語として流通してきたマレー語を、マレーシアの国語として標準化したのがマレーシア語です。

本学のマレーシア語プログラムは1984年に設立されましたが、戦前の馬来語科の時代を含めると、100年以上の歴史を持っています。現在、日本で単独のマレーシア語プログラムを持つ大学は本学だけですから、とても貴重な存在だといえるでしょう。

私たちの教育の第一の目標は、マレーシア語を読み、書き、聞き、話す力をバランスよく身につけることです。まず、独自の教材を用いて文法、読解、会話、表現の教育を行い、マレーシア語の基礎を固めます。さらに、新聞・雑誌記事、文芸作品や学術書などを講読して、ジャーナリズム、文化・芸術ならびに学術の分野での生きたマレーシア語を学びます。ネイティブの教員の授業では、会話の訓練のほか、現地の映像・音声資料などを利用してリスニング力の強化がなされ、エッセイ執筆や口頭発表などを通じてプレゼンテーション力の向上も図られます。

私たちの第二の目標は、マレーシア語の運用能力を生かして、マレーシア社会についての理解を深めることです。マレーシア研究入門の授業では、マレーシアの歴史、社会、文化、政治、経済についての基礎的な知識を身につけ、地域研究の基本を学びます。専門の授業の中にも、マレーシアや東南アジア地域に関わる授業がいくつも開講されているので、個々人の関心に合わせて授業を選択することができます。

ネイティブ教員が自由参加のスタディツアーを開講しており、毎年、多くの1年生が参加しています。また、毎年、数名の学生がマレーシア、シンガポール、ブルネイなどの大学に留学し、貴重な体験を得ています。

言語で学ぶ地域 東南アジア第1

フィリピンの言葉・社会について学び、多言語多文化社会について学ぶ
フィリピン語

現在フィリピンでは、120を超える様々な言語が話されています。それらには英語や中国語諸方言なども含まれますが、一つの同じ祖先言語に由来するフィリピン固有の言語がその大部分を占めます。本学のフィリピン語プラグラムでは、その様な言語の一つであるフィリピン語(タガログ語)と、フィリピンの社会・文化について学びます。フィリピンの国語のフィリピン語はフィリピン国内で広く話されているだけでなく、フィリピンの外の様々な地域で話されていて、ここ日本でもその話者は少なくありません。従ってフィリピン語プログラムでの学びは、フィリピン文化・社会についての理解を深めるだけでなく、多言語多文化化している日本社会についての理解を深めることにも繋がると言えます。

本学フィリピン語プログラムは少人数構成となっており、きめ細やかかつ和やかな雰囲気で学習を進めます。1、2年生の間は、フィリピン語の文法、読解、会話を学びます。文法テキストを用いた学習のほか、現地映画などの映像資料を使用してリスニング力を高め、口頭発表などを通して話す力やプレゼンテーション力を培います。またそれと並行して、フィリピンの社会・文化に関する講義を通してフィリピン地域の総合的な知識を身につけます。3、4年生では、習得したフィリピン語力や地域に関する知識に基づき、各学生が様々なアプローチで自身の研究テーマに取り組みます。

専攻言語講義紹介:フィリピン語文法 / フィリピン語会話 / フィリピン語読解 / フィリピン語作文

言語で学ぶ地域 東南アジア第1

ダイナミックな発展を遂げるタイの言語・文化・歴史・政治、経済を総合的に学ぶ
タイ語

2015年ASEAN共同体が設立され、東南アジアの地域統合と経済発展は急速に進んでいます。中でも、交通インフラと経済統合が著しく進展しているのが東南アジア大陸部、インドシナ半島です。その中心部にタイは位置し、東南アジア大陸部の経済発展を象徴する国です。首都バンコクは、かつて東洋のベニスといわれた水の都でしたが、今や、高架鉄道や地下鉄が走り、高層ビルが林立し、交通渋滞が日常化する大都市に変貌しました。市街中心部には、昔ながらの仏教寺院や古い商店街がある一方で、目抜き通りには大型ショッピングセンターが立ち並び、街角にはいたるところにコンビニが軒を連ね、多くの日本食レストランが人気を博しています。また、バンコク東部に広がる工業団地では、日系自動車メーカーや関連企業が多数進出し、タイは、アジアのデトロイトといわれるほど、製造業の一大拠点となっています。他方、バンコク首都圏を離れて地方に向かえば、稲作地、アブラヤシプランテーション、ゴム農園やドリアン果樹園などが広がる農村の風景が広がります。タイは、伝統を守りつつ、近代化やグローバル化の中で、ダイナミックな変化を遂げつつあります。

本学のタイ語教育・研究カリキュラムでは、こうした躍進するタイの言葉を基礎に、歴史、文化、政治、経済について総合的に学ぶことを目的としています。タイ語の授業はモジュール制(全て半期授業)で、文法、会話、講読、聴解、作文など5種類の授業がレベル別に開かれています。1年次は週5コマの履修が必修で、タイ語の基礎を学びます。2月にはバンコクの協定大学が主催するタイ語・タイ文化研修(ショートビジット)に参加します。2年次も週5コマの中級レベルのタイ語を学び、タイ語の運用能力を向上させます。3年次・4年次には、さらに高度なタイ語の中上級レベルの授業が開講されています。なお、3年次以降は、タイの協定大学、チュラーロンコーン大学、タマサート大学、シーナカリンウィロート大学やチェンマイ大学に多くの学生が留学します。同時に、これら協定大学からタイ人留学生も本学に留学してきますので、日常的に、タイ人留学生との交流を図ることもできます。また、秋の東京外語祭では、1年生はタイ料理の調理販売、2年生はタイ語劇の上演を行います。タイを学びながら、国際的センスを磨き、学生の皆さんは、学生生活を大いに謳歌しています。

言語で学ぶ地域 東南アジア第2

「森の国」ラオスの言葉、素朴な人々の人柄も魅力的
ラオス語

ラオス語専攻は、本学の長い歴史のなかでは比較的新しく設立された専攻語の一つです。大学でラオス語が正規に教えられているのは、日本では唯一ここだけで、世界でも中国など数えるほどしかありません。

ラオスは、日本の人々になじみの薄い国かも知れませんが、2015年には日本ラオス国交成立60周年を迎えました。経済援助、文化交流などを通じてますます関係が深まっています。近年、急速な経済発展に伴い、ラオスも大きな変化を遂げていますが、ご覧のように緑が多い街並みに昔ながらの伝統文化が多く残されています。本専攻では、ラオス語の学習を通してラオス及び近隣諸国の文化、社会、歴史を学ぶことができます。学生の皆さんには、ラオスを通して問題意識を持ち、それに対する問いかけを自ら設定し、誠実に努力する姿勢を持つようになって欲しいと思っています。

本専攻語では、最初の1年で基本的な読み書きができ、日常会話や短い文章の読解ができるようになることを目標とします。モジュール制をとっている専攻語の一つですので、文法や文字を短期間で終え、語彙、作文、読解、翻訳、会話などのカテゴリーが段階的に難易度を増していく、というカリキュラムをとっています。従って学生はそれぞれ自分たちで履修計画をたてて言語習得にのぞみます。同時にラオス社会の基本的なことを学習し、それぞれのテーマで発表することを義務づけています。また、交換留学制度を利用して、協定校であるラオス国立大学に留学する学生もいます。

テキストは、独自に開発した教材を使用する他に、その都度ラオスで出版された本や新聞などから記事を抜粋し、ラオスの文化や社会事情を意識した教材になっています。ラオス人の教員からは生きたラオス語や耳寄りなラオス情報を聞くことができるでしょう。

言語で学ぶ地域 東南アジア第2

東南アジアと東アジアにまたがる古い歴史をもつ新興国
ベトナム語

ベトナム語専攻は1964年に創設されて以来、今日まで50年あまり教育と研究の歴史を歩んできています。本専攻は、ベトナムを対象とする人文科学(語学、文学など)ならびに社会科学(歴史、経済、社会など)の諸科目を広くカバーするユニークな教育・研究ユニットです。

ベトナム語専攻の学生は、前期2年における専攻語と専門基礎の習得を経て後期の専修専門コースに進み、さまざまな研究テーマのもとに知識の体系化と専門的な分析方法を修得します。また同時に、世界のなかの地域という複眼的な学問観、思考法も身につけます。ベトナムを学問対象としつつも広い専門的視野のなかで眺めてみたいと考える意欲的な学生を歓迎します。

4技能(読み、書き、聞き、話す)をオールラウンドに養成することを目標にモジュール制語学教育による文法、読解、表現、聴解、会話の5科目を難易度のレベルを段階的に履修します。長年の教育経験を基に開発した日本人学生向けの教材を使用して効率よい語学教育を実践しています。ベトナムから招いた客員の先生による専攻語のみの授業は学生の積極的な取り組みと相乗効果をなして顕著な成果をあげています。またベトナムの新聞記事を翻訳して大学ホームページ上で公開する「メディア翻訳」にも取り組んでいます。後期専門コースでは学生は習得した専攻語を基礎に各自の専門研究テーマについて体系的な知識と方法論を身につけるべく指導を受け、優れたレベルの達成をみせています。

言語で学ぶ地域 東南アジア第2

アンコールワットに代表される文化の言語
カンボジア語地域

カンボジアはベトナムとラオスとタイと海とに取り囲まれ、面積は日本のほぼ半分の約18万平方キロ、人口は約1千5百万人の国です。昔から大いに繁栄した国で、アンコールワットなどの壮大な遺跡群があり、言語も7世紀初頭からの碑文が残っています。近年では、観光地としてだけではなく、遺跡修復や教育分野での国際協力の場として注目されています。

カンボジア語専攻は、1992年(平成 4 年)に設立されました。4年間体系的にカンボジアのことを学ぶことができ、カンボジア王立プノンペン大学との交流協定によって交換留学を行っているのは日本では本学だけですし、世界でもパリ大学にやや似たものがあるだけです。

1学年約10名に対し専任教員3名(うち外国人1名)の丁寧な指導のもとに、カンボジア語はもちろん、カンボジアの人と社会について主体的に学びます。また、卒業研究に必要となるカンボジア語資料も、本専攻でしか入手できないものが豊富にそろっています。

カンボジア研究は未開拓の分野がたくさん残されています。好奇心旺盛で未知のことがらに挑戦し、ねばり強く続ける忍耐力をもった方、卒業後就職しても、文学の翻訳、寺院の壁画の解釈、なぞなぞの収集、毎日のニュースからの政治経済動向の分析などを趣味として一生続けられるような方をお待ちしています。

本専攻では、4年間を通じてカンボジア語を学ぶと同時に、単に知識を蓄えるだけではなく、物事を論理的に考える力と豊かな表現力を身につけることを目標としています。 そのために、カテゴリとレベルのはっきりしたモジュール制の授業の中で、本専攻で開発した入門書、辞書、視聴覚教材とともに、カンボジアから取り寄せている教材(副読本)を使用しています。

最初の2年間はカンボジア語の学習が大きな比重を占めることになりますが、入門書は日本語・カンボジア語の文法対照研究に基づいて綿密に設計されていますので、2ヶ月で文法を終え民話を読み始めるという一見ハードスケジュールも楽々こなせます。2年次からは、より実践的な言語運用能力を養成します。3・4年になるとゼミに所属して各自の卒業論文・卒業研究の準備をすすめます。

言語で学ぶ地域 東南アジア第2

今後が注目されるミャンマー情勢と可能性を秘めたビルマの言語
ビルマ語

ミャンマーはもともと石油や天然ガスなど肥沃な資源を有する、潜在的可能性を秘めた国と言われてきました。北端には5800メートルのカカボラジ山を有し、肥沃なデルタ地帯に至るまでバラエティに富んだ自然環境のなかに公称135もの民族が暮らす多様な国ともいえます。2010年以降は民主化が進み、アジア最後のフロンティアとして注目されてきましたが、2021年のクーデター以来、ミャンマーの国内は再び一般の市民と軍との対立が激化しています。もともと親日感情は非常によく、現在、多くのミャンマーの若者が日本に新たな活路を求めて渡航を考えている時期でもあります。こうしたなかで、私たちは日本人として何ができるのかを考える大切な機会に直面しているともいえます。本専攻は、ビルマ語を体系的に学べる専攻として国内で2番目に、1981年に設立されました。ビルマ研究は歴史的に英国(ロンドン大学)が中心でしたが、その後フランス、米国などと並び、日本も有数の研究拠点と認識されるようになっています。

本専攻ではビルマ語の習得をまず目指し、さらに人文科学・社会科学のさまざまなディシプリンに触れて自らが学びたいことを探してもらうことを想定しています。これは通常ディシプリンを先に学ぶ多くの大学と異なる出発点です。他者の言語をまず学び、他者との具体的な出会いを通じて、もっとも先鋭的に、自らの問題意識を持つことが可能となるともいえるのです。本専攻は、そうした生身の人との遭遇やぶつかりを恐れず、楽しんでみようという方の入学を期待しています。

ビルマ語専攻ではモジュール制に基づき、レベル、カテゴリー別に教育が行われています。初級・中級の目標は日常会話がこなせる口語基礎の修得です。教材は、市販の教材1点を除き、文法、読解、語彙集などすべてモジュール用に専攻独自で作成した教材を用いています。とくに1年前期の授業は、担当教員は相互に連絡しあい、集中的に文字、発音の基礎、初級文法を教えます。また、授業の半分近くをビルマ人教員が受け持ち、徹底して発音、会話指導を行います。2年からは文語を導入し、上級レベルでは現地語新聞、ジャーナル、論文などを読みこなし、それについて議論できるような読解力やコミュニケーション能力を習得します。最終的には、卒業論文(あるいは仕事)に現地資料が自由に使える、あるいは現地で全く不自由しないような言語運用能力を獲得することを目指しています。

言語で学ぶ地域 東南アジア第2

パキスタンの国語であり、南アジアのイスラーム教徒の共通語
ウルドゥー語

ウルドゥー語はイスラームを国家統一理念に掲げるパキスタンの国語であると同時に、インドにも多くの話し手を持っています。ウルドゥー語とインドの連邦公用語であるヒンディー語は同じ文法構造と日常語彙を有する1つの言語の2つのスタイルにすぎず、南アジア全域において実用的な共通語として広く流通しています。これら両言語は、中国語と英語に次ぐ話し手を持つ世界第3位の大言語です。ウルドゥー語を母語として話す人は約6千万ですが、この言語を理解する人は、約4億人に上ります。歴史的に、ウルドゥー語はそれを主たる文学言語として使用してきたイスラーム教徒と密接な関係を持つため、ヒンディー語に比べてイスラームの色彩が濃厚となっています。インド世界と西アジア世界の文化が混交したインド・イスラーム文化の世界を幅広く研究対象としています。

具体的には、周辺で話されている言語のうち、西に広がるペルシア語、トルコ語、アラビア語とは文化的に、イスラームとの関わりからも深いつながりがあります。また、東に広がるヒンディー語やベンガル語は言語系統が同じでいわゆる「インド世界」を構成しています。ウルドゥー語はこうした異なる世界をつなぐ言語として重要な機能を有しているのです。

専攻言語として学ぶウルドゥー語では、木目細かな言語学習体制が整えられています。1年次ではウルドゥー語を表記するアラビア文字(ウルドゥー文字)の読み書きに始まり、基礎文法、基本会話を習得します。2年次以降では、習得した文法事項の定着を図ると同時に、現地のニュースを題材として、その背景を理解しながら内容を解釈したり、日本語からウルドゥー語への翻訳の訓練をすることで、日本語とウルドゥー語の違いを学んだりします。さらに、学習の成果発表でもある外語祭での料理店や語劇も重視しています。このように、生きた言語習得、異文化理解、また南アジアとの交流を教育の柱に据えています。

言語で学ぶ地域 南アジア

多様かつ豊饒な歴史と文化を内包するインドの連邦公用語
ヒンディー語地域

ヒンディー語は、インド共和国の連邦公用語です。直近の国勢調査に基づく推定値では、話者人口は、優に5億数千万人を越えるとされています。さらにヒンディー語は、地球上の各地に暮らす3000万人に達すると言われる移民のなかでも用いられています。本学は、日本の大学でこの言語を博士レベルまで学ぶことのできる数少ない機関のひとつです。

ヒンディー語を記述するデーヴァナーガリー文字の習得から始まり、実際的な運用能力を身に着けつつ、インドの歴史や文化、社会などを幅広く学んでいきます。1991年の経済開放以降、急速な変貌を遂げつつあるインドは、私たちの関心を引き付けてやみません。授業では、そうした現代インドが常に話題となるのは、言うまでもありません。

授業は、モジュール制カリキュラムに則って進められます。語学力が身についてからは、各々の関心に従い、様々な分野にわたる膨大な文献資料群や映画・演劇などの表象文化資料を自ら読み解いていきます。そして、その総仕上げが、卒業論文の執筆です。就職する人も大学院に進学する人も、実践的な専門知識を身につけて卒業していくのです。

言語で学ぶ地域 南アジア

インドの東、バングラデシュの国語。ベンガル文化は奥が深い
ベンガル語

ベンガル語は、インド亜大陸の東側のベンガル湾に面した地域で、長きにわたって育まれてきた言語です。ベンガル地域は古くから豊かな文芸文化を誇り、非ヨーロッパ人として初めてノーベル文学賞を受賞したタゴールを生み出しました。またこの地域は、その東側にイスラーム教徒が多く暮らし、西側にヒンドゥー教徒が多く暮らすなど、多様な文化的背景を持っています。その奥行きと広がりを持ちながら、国家や宗教の枠組みを超えた一つのベンガル文化を形成する核となっているのがベンガル語という単一の言語です。現在ではこの言語はバングラデシュの国語として、インドの西ベンガル州の公用語として、そして世界中に暮らすベンガル人の言語として、2億5千万人を上回る人々に使われています。

ベンガル語を専攻する、日本で唯一のこの場所で、みなさんはベンガルの多層的な文化のありようを学び、そこからさらにそれを深め、広げていくことができるでしょう。

言語で学ぶ地域 南アジア

国連公用語の一つ。アラブ世界を知らずに世界はわからない
アラビア語

アラビア語は国連の公用語であり、西アジアと北アフリカの多くの国で使われています。また世界中のイスラーム教徒にとっても、コーランの言葉として重要な意味を持っています。しかし残念ながら、日本でこの言語を解する人の数は少なく、そのためアラブ世界の人々が発する声を直接聴くことはあまりできません。たしかにアラビア語は私たちにとって馴染みが薄く、たいへん難しい言語です。またアラブ世界は西洋でも東洋でもない奥の深い世界です。それだけに大学で学ぶ対象としては、とても魅力にもあふれています。

アラビア語の教育については、1年次の春学期にアラビア語文法の全体像を学ぶことに重点を置きつつ、アラビア語を通じたコミュニケーション方法の基礎を学びます。秋学期からは会話(フスハー)、聴解、作文、読解といった各カテゴリに重点を置いて、アラビア語の実践的な能力を高めることをめざします。また、冬学期には、エジプト、ヨルダンのどちらかで1カ月間の語学研修を行い、アラブ世界を肌で感じてもらいます。2年次の春学期、秋学期は、これらのカテゴリの能力をさらに向上させるとともに、「日本語で読む中東メディア」プロジェクトの一環として、アラブ世界の新聞記事の翻訳にもチャレンジします。3年次以降は、各学生の学問的関心に沿った読解、表現、討論、方言(アーンミーヤ)の習得などを行います。

授業は、日本人の教員だけでなく、シリアやエジプトなどアラブ人の教員も担当します。また会話など一部の授業には、アラブ諸国からの留学生が参加することもあります。こうした授業はアラビア語という言語だけでなく、アラブの文化についても学ぶことのできる貴重な機会となります。さらにエジプト、ヨルダン、オマーン、モロッコ、シリアの本学への派遣留学、シリアとを結ぶオンライン授業(国際共同教育)を通じて、実践的なアラビア語能力やアラブ世界への知見を養うことが期待されています。

言語で学ぶ地域 中東

イラン、そして、アフガニスタン、タジキスタンの公用語
ペルシア語

その響きの美しさから、「東洋のフランス語」とも呼ばれてきたペルシア語は、今日のイラン、アフガニスタン、タジクの公用語です。アラビア文字を使って書かれるため、「アラビア語とはどう違うの?」という質問がよく聞かれますが、言語区分の上ではインド・ヨーロッパ語族に属し、隣接する南アジアでは、ヒンディー語、ウルドゥー語がもっとも近い親戚にあたります。

ペルシア語は、その起源をアケメネス朝ペルシアまで遡ることができ、約三千年の歴史をもつ言語です。特に、現在に近い形で姿を現した10世紀以降、ペルシア語は、当時の主要な通商路であったシルクロードの共通語として、今日のイランから中央アジアにいたる地域で広く通用し、いわゆる「ペルシア語文化圏」を形成してきました。その一方で、豊富な文学伝統を花開かせてきたペルシア語は、地域の文化教養語としても一目置かれる存在にあり、幾多の詩人や哲学者たちを輩出し、東部イスラーム世界に大きな影響を与えてきました。ペルシア文学は、今も、ペルシア語を母語とする人たちの誇りであり、かけがえのない財産となっています。

日本国内では、国際関係や東洋史研究を行っている一部の大学でも、ペルシア語の講座が設けられているものの、独立した専攻科をもつのは、本学と大阪大の2校のみです。まず語学を身につけてから専攻地域・分野について学んでいくという、より現地に密着したカリキュラムは、東京外大が他大学と大きく異なる点といえるでしょう。

本学ペルシア語に入学した学生は、1年次で文法・会話・講読・作文の基礎を学び、その後は学生が各々の目的や特性、興味に応じて、各カテゴリから授業を選択して時間割を組み立てていきます。授業以外では、少数語科の特長を生かして、ネイティブの先生やイラン、タジキスタン、アフガニスタンからの留学生と接する機会も多く、イランへのショートビジットや留学生の派遣も行っています。11月の外語祭では、ネイティブの先生宅などに出向いて修行した1年生が慣れない手つきながら料理店を切り盛りし、2年生が中心となってペルシア語劇を上演するのが恒例となっています。

言語で学ぶ地域 中東

日本との関係が深まるトルコ。その公用語がトルコ語です
トルコ語

トルコは東と西が出会う国。カッパドキアの奇観の国。世界でも指折りの親日的な国。ブルーモスクの神秘の青が見られる国。同時にローマの円形劇場の遺跡にも立てる国・・・・・・。そんなトルコに住む人たちとじかに交流し、彼らの言葉や文化や宗教や、それに歴史や政治を深く理解するための鍵がトルコ語です。

そしてトルコ語を学ぶことは世界を学ぶことにもつながります。イスラムの国なのにEU(ヨーロッパ連合)に入ろうとしているのはなぜだろう。世界史で習った「オスマン・トルコ」が、何世紀にもわたって中東とバルカンに平和を保障していた秘密は?トルコ語は、このように過去においても現在においても、世界を客観的に理解するために欠かせない言語だったのです。 教科書は本学トルコ語オリジナルです。これを1年の1学期の間、週4コマ集中的に学習して文法の基礎を確立します。これは日本人のスタッフが担当しますが、あと2コマはトルコ人の専任が担当して、おもに会話とヒアリングを練習してゆきます。トルコにある協定校から常にふたり以上の留学生が来ていますので、彼らと身近に接する機会もあります。もちろんトルコへの留学のチャンスもあります。協定校への長期留学のほか、夏学期・冬学期を利用した短期留学も盛んです。

言語で学ぶ地域 中東

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