Project MEIS at TUFS
活動記録 (学部・大学院班)

2008年(平成20年度)

 
09/03/31 「日本語で読む中東メディア」、2008年度は2557本を翻訳!

2008年度、「日本語で読む中東メディア」は、中東三語(アラビア語、ペルシア語、トルコ語)の現地新聞記事を合計2557本翻訳いたしました。

今後も翻訳活動を続けます。どうぞよろしくお願いいたします!

  
2008年度中東イスラーム関連の開講科目として以下を実施しました

【外国語学部】

総合科目 「国際関係の中の中東・イスラーム」
  酒井 啓子 月曜4限 2学期開講

総合科目 「中東を知る基礎講座」 リレー講義 2学期 水曜3限

    10/01 ガイダンス、受講上の注意事項など説明 酒井啓子
    10/08 イラクの現状を分析する 酒井啓子
    10/15 シリア・レバノン情勢:「鼓動するアラブの心臓」で何が起きているか 青山弘之
    10/22 イラン・イスラーム革命を振り返る  松永泰行
    10/29 中東から来た留学生と語ろう (コーディネーター 酒井啓子)
    11/05 離散60年後のパレスチナ難民 錦田愛子
    11/12 中東メディア報道からみるイラン 斎藤正道
    11/26 中東メディア報道からみるトルコ 山下王世
    12/03 現代トルコを理解するためのキーワード 新井政美
    12/10 中東メディア報道からみるアラブ  山本薫
    01/21 【ゲスト講義】風刺画から見るイランのメディア環境
    ギーティ・サファルザーデ氏 (ゴル・アガ編集長) コーディネーター吉枝聡子
    01/28 中東イスラーム諸国の立法体制とイスラーム 飯塚正人
    02/04 【ゲスト講義】ディアスポラのパレスチナ難民 ―新しい世代(Palestinian refugees in Diaspora: New Generation)
    ハーディー・ザッカーク氏
    (レバノン在住パレスチナ人、映画監督、セント・ジョセフ大学講師)

言語学特殊研究/南・西アジア地域言語論

    「現代ヘブライ語入門」 黒川 知文 月曜3限 1学期開講
    「ヘブライ語(2)」 黒川 知文 月曜3限 2学期開講
    「ウズベク語(1)」 島田 志津夫 水曜3限 1学期開講
    「ウズベク語(2)」 島田 志津夫 水曜3限 2学期開講

アジア言語研究V/南・西アジア地域言語論

    「アラブ・メディア研究(1)」 山本 薫 木曜2限 1学期開講
    「アラブ・メディア研究(2)」 森 晋太郎 金曜2限 2学期開講
    「ペルシア語記事翻訳」 前田 君江 水曜4限 2学期開講
    「ペルシア語記事翻訳」 斎藤 正道 水曜4限 1学期開講
    「トルコ・メディア研究」 山下 王世 木曜1限 1学期開講

アジア文化論V/南・西アジア地域文化論

    「西アジアの美術―イランの絨毯を中心に」ソレマニエ 月曜2限 2学期
    「イスラーム文化圏の建築と都市」 山下 王世 火曜5限 2学期開講

国際政治学/南・西アジア地域社会論

    「アメリカ・イラン関係」 松永 泰行 木曜2限 2学期開講

国際社会学/南・西アジア地域社会論

    「イスラム復興潮流をめぐる諸問題」澤江史子 集中 1学期開講

国際政治学/南・西アジア地域文化論

    「少数民族と離散民族の問題を考える」吉村貴之 水曜3限 2学期

【大学院地域文化研究科】

国際協力専修コース・比較政治論研究&地域研究コース・アジア政治経済論V共通科目

    酒井 啓子
09/02/04特別講義「ディアスポラのパレスチナ難民−新しい世代」を開講しました

 本プロジェクトが運営するリレー講義「中東を知る基礎講座」で、レバノン在住パレスチナ難民2世の映画監督、ハーディー・ザッカークさんのドキュメンタリー作品『無期難民(Refugees for Life)』の上映と、 特別講義を実施しました。ザッカークさんは今回、アジア・アフリカ言語文化研究所主催の国際ワークショップ「映像で見る紛争犠牲者たち−1990年代以降のパレスチナ、ユダヤの語りから」 の講師の一人として来日されました。

 「1948年のイスラエル建国によるパレスチナ人の故国喪失と難民化という出来事をアラビア語で“ナクバ”と言うが、 パレスチナ人にとっては毎日が“ナクバ”だ」「難民になるということは家族がバラバラになるということ。私の父親は48年に難民になったパレスチナ人だが、親族はカナダやアメリカなど、世界中に散らばっている」 「1982年のレバノン戦争でPLOがイスラエルによってレバノンを放逐された後の状況悪化を受けて、数多くのパレスチナ難民がレバノンから欧米に移住したが、 自分の映画でもドイツで暮らす彼らのほとんどが撮影されることを拒否していたように、滞在許可が取れない、仕事が無いなどといった様々な問題に直面している」

 「私の映画ではレバノンからドイツに渡ったパレスチナ難民の若い世代の中から、二人のモデルを提示している。ひとりの女性は『私はドイツ人』だと断言するけれども、 いとことの結婚を選択することでアイデンティティを保とうとしており、実際にどこまでドイツ社会にインテグレートされているのかは疑問だ。もう一人のモデルである青年、ハーディーは『パレスチナに戻って闘いたい』と語る。彼はドイツで滞在許可がとれず、不遇だと感じている」といったザッカークさんの講演を受けて、 学生の間からは「監督は自分をレバノン人だと思うか、パレスチナ人だと思うか」「難民第一世代の人たちのアイデンティティについてはどうか」といった質問が相次いだ。

 講義後には大学構内のカフェテリアで、アラビア語やパレスチナ問題を専攻する学生や本学教員らと、アラビア語(時々英語)による交流会も行われた。

  

09/01/21「風刺画から見るイランのメディア環境」に実施協力

講演会「風刺画から見るイランのメディア環境」の実施に協力しました。

日時:2009年1月21日(水)終了しました
13時10分〜14時40分 
於:研究講義棟115号室
主催:ニーズ型プロジェクト「中東とアジアをつなぐ新たな地域概念・共生関係の模索」
コーディネーター吉枝聡子氏
通訳:アレズファクレジャハニ氏

スピーカー:ギーティ・サファルザーデ氏 (ゴル・アガ編集長)

09/01/11緊急集会「イスラエルによるガザ侵攻を考える」を実施しました

2009年1月11日、中東イスラーム研究教育プロジェクトは、如水会館にて緊急集会「イスラエルによるガザ侵攻を考える」を実施しました。急な呼びかけにもかかわらず、一般市民の皆様を中心に研究者、NGO関係者、メディア関係者等、270名余のご参加をいただき、熱気溢れる会となりました。ご参加、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。当日のプログラムは次の通りです。

日時:2009年1月11日(日) 11:00 〜 15:00(10時40分開場)
於:如水会館 1階 如水コンファレンスルーム
(参加費:無料、最大100名まで)終了しました
東京都千代田区一ツ橋2−1−1
アクセス http://www.kaikan.co.jp/josui/company/access.html

 

当日の概要

  全文はこちらで読めます。【PDF】 <-- UPしました。

*プログラム

東京外国語大学・中東イスラーム研究教育プロジェクト主催
緊急集会「イスラエルによるガザ侵攻を考える」

1. イスラエルによるガザ侵攻はなぜ起きたのか
報告:錦田愛子
(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・非常勤研究員)

2. アラブ世界のメディアは事態をどう報じているか
報告:山本薫(東京外国語大学・助教)

3. ガザ攻撃−繰り返されるイスラエルの武力行使
講演:川上泰徳(朝日新聞・編集委員)

4. イスラエルのガザ侵攻を読む−「戦争ゲーム」としてのガザ虐殺
講演:臼杵陽(日本女子大学・教授)

5. ガザ(2008-09)、レバノン(2006)と国際環境
講演:黒木英充
(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・教授)

6. 殺された人間はすべて“テロリスト”である−虐殺を合法化する「対テロ戦争」の論理
講演:飯塚正人
(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・教授)

7. イスラエルのガザ攻撃を巡る問題−日本の報道で語られないこと
講演:酒井啓子(東京外国語大学・教授)

8. 全体討議

【前半】

  集会前半ではまず、錦田愛子研究員が詳細な資料を提示しながらパレスチナ問題の経緯と今回のイスラエルによるガザ攻撃の推移を報告し、 イスラエルによるガザの経済封鎖、イスラエルとハマースの軍事力の不均衡といった背景を指摘した後、ガザの貧困や占領の継続、 さらに言えば「ナクバ」、すなわち1948年のイスラエル建国にともなうパレスチナ人の難民化という根本的な問題の解決なしには、本当の意味でのガザ問題の解決も、 イスラエルとパレスチナ間の紛争の解決も見込めないと締めくくった。
  次に山本薫助教は、本プロジェクトの事業のひとつである「日本語で読む中東メディア」のHPに蓄積されている、 過去数年分のアラビア語からの翻訳記事を分析し、特に2007年6月にハマースがガザ地区を制圧して以降、 イスラエルが封鎖によっていかにガザ地区を締め上げていったか、またそれによってハマース及びガザ市民が追い詰められていった過程を、 実際の記事を時系列的に引用しながら報告し、その中で今回の攻撃がすでに半年前、ハマースとの6ヶ月間の停戦に合意した頃からすでに イスラエル首脳部のオプションに含まれていた事実が指摘された。また、ガザ攻撃をめぐるアラブ諸国間の分裂ぶりについても指摘がなされた。
  続いて日本女子大学の臼杵陽教授は、今回のイスラエルによるガザ攻撃をファタハ政権も周辺アラブ“穏健派”諸国も黙認しているという事態の異常さを指摘し、 またイスラエルが今回の攻撃のために用意した作戦名の象徴性の分析から、ガザでの虐殺が「戦争ゲーム」としてイスラエル側に捉えられているのではとの解釈を行った。 また今回の攻撃は2月に控えたイスラエル総選挙向けのキャンペーンではないかと取り沙汰されていることについては、それ以前からの周到な計画性を持っていると指摘、 また今回の作戦の軍事的「成功」がイスラエル世論の圧倒的な支持を引き出していることに憂慮を示した。最後には前田哲男『戦略爆撃の思想―ゲルニカ・重慶・広島』を 引き合いに出しつつ、われわれはゲルニカ→重慶→広島という一連の流れに「→ガザ」を加えなければならなくなるのであろうか、と問いかけた。
  その後、朝日新聞編集委員の川上泰徳氏から、これまでのパレスチナ取材を通じて見えてきたハマースの実態や、 ヨルダン川西岸地区の荒廃ぶりなどを、複数の写真を交えて報告いただいた。川上氏は、ハマースには政治部門と軍事部門のほか、 保育園などの教育施設や病院を運営するといった慈善団体の顔もあること、 2006年1月にパレスチナ評議会選挙で勝利して以来の国際的な経済制裁の下でもハマース支配が崩れなかったのは、 パレスチナ人が和平に対する展望を抱けないからだということ、今のイスラエルによるガザ攻撃は、 パレスチナ人の抵抗精神の拠り所となっているハマースのガザをつぶす試みであるということなどを指摘した後、 現在出されているエジプト停戦案に触れつつ、今はとにかく流血を止めるべきであり、 アラブ世論もハマースもパレスチナ民衆の犠牲を防ぐことを第一に考えるべきであると主張した。

【後半】

  後半では最初に黒木英充教授がハマースとヒズブッラーについて、@1980年代に生まれた抵抗運動A超ハイテクのイスラエルに対する熟練ローテクの軍事技術 B宗教・ナショナリズム・統治力のより合わせといった、両組織の類似点を指摘した後、Cロケット砲やイスラエル兵の人質という戦端の口実 D両組織を非難するも国内世論の激しさに驚くという“穏健派”アラブ諸国の反応E空爆から地上戦へという戦況の推移Fイスラエル軍による国連施設・要員への攻撃 といった、今回のガザ攻撃と2006年夏に行われたイスラエルによるレバノン攻撃の類似性を指摘した。 そしてイスラエルにだけ自衛権を認め、ハマースやヒズブッラーという「テロ組織」の支持者の犠牲は「自業自得」だとする「国際社会」の偽装正義や、 「バランスをとる」ことに腐心する報道、「対テロ戦争」の論理に同乗する日本のあり方を批判した上で、その「国際社会」も変わりつつあると締めくくった。
  続いて飯塚正人教授は9.11以降のテロとの戦いという一連の流れの中で今回の事態を捉え、 イスラエルの行為は米がアフガンでやっていることと同じであり、米には批判できないと指摘、 またアラブ諸国での世論調査の結果を示しつつ、アラブの市民が考えるテロと、欧米でのテロはそもそも食い違っており、 前者にとってはイスラエルのパレスチナに対する暴力こそがテロであり、それと戦うことは彼らにとっても「テロとの戦い」ということになると指摘した。 そして、誰がテロリストかというのは自明ではなく、テロリストというのはレッテルに過ぎないこと、 テロ組織を指定することでそのメンバーや支持者をテロリストとして規定し、それを攻撃する、 あるいは殺してしまった人間はテロリストだった事にする、といった無茶な論理が9.11以降の世界に広がり、日本にもその論理が入り込んでいると批判した。
  最後に集会の発案者である酒井啓子教授は、2008年12月27日から2009年1月8日までのイスラエルによるガザ攻撃に関する378件の日本の新聞記事を分析し、 「原理主義」や「ロケット弾」といったハマース側への言及に対し、「占領」や「封鎖」といった、 イスラエルがガザ地区に対して行ってきたことへの言及が極端に少ない点を問題視した後、攻撃をするのも止めるのもイスラエル側の事情や決定次第、 というような強い者勝ちの論理を「リアリズム」だとして受け入れている日本のマスメディアの問題点を指摘し、 こうした国際政治の根本枠組みを変える必要性があると訴えた。また2005年夏にイスラエル軍はガザ地区から一方的に撤退したが、 それによって「占領」が終結したわけではない、と強調し、集団討議でもこの点について各専門家から「パレスチナ自治政府ができたからといって 占領が終わったわけではない」「イスラエルの戦略は、アパルトヘイト体制を維持するために事実上の占領状態を作り出すことにある」 「国際法上も占領状態は続いており、占領者としてイスラエル政府はガザ市民を保護する義務がある」といった指摘が相次いだ。 (文責:山本薫)

市民講座「やさしく知ろうイスラーム」の実施に協力しました

「やさしく知ろうイスラーム 2008」(全4回)終了しました

    2008年9月18日
    モスクと教会堂:ふたつの宗教空間を比較する
    山下王世 
    東京外国語大学大学院地域文化研究科 助教

    2008年10月16日
    キリスト教とイスラーム(1)
    八木久美子
    東京外国語大学外国語学部 教授

    2008年11月20日
    シーア派と現代イラン
    斎藤正道
    東京外国語大学 非常勤研究員

    2008年12月18日
    キリスト教とイスラーム(2)
    八木久美子
    東京外国語大学外国語学部 教授


  • 毎月木曜日6時半〜8時半
  • 会場 目黒本町社会教育館(目黒本町2-1-20)ただし11月20日のみ中央町社会教育館(目黒区中央町2-4-18)
  • お問い合わせは、目黒区社会教育登録団体「やさしく知ろうイスラーム」(宮沢一昭代表:090-4928-6244)にお願いいたします。

過去の活動報告
 
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