この度、MIRAI-4期生の大竹 美由紀さんが、以下のとおり論文発表を行いました。
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発表日:
2025年1月31日
区分:
論文
発表した書籍:
『言語・地域文化研究』 第31 号
題目名:
ジェロンテクノロジーの使用と親子の孝行関係から見る家族介護の限界 ―広州市海珠区の一家庭を事例に―
概要:
高齢者向けテクノロジー(ジェロンテクノロジー)が子どもと高齢の親との親子関係に与える影響、および家庭における実際の利用状況を明らかにするため、中国・広州市海珠区において、介護見守りカメラを利用している1家族を対象に、インタビュー調査および観察調査を実施した。
その結果、介護見守りカメラは、高齢の親の安全を遠隔から確認できることや、家政婦(介護者)の業務を見守ることができる点で有用であることが明らかとなった。一方で、高齢の親が望んでいた親子間の相互コミュニケーションの機会を減少させる側面も認められた。
さらに、本研究では、中国の介護家庭においては、伝統的な孝(親孝行)の規範の影響により、子どもが強い意思決定権を持つため、高齢の親の意向が十分に反映されにくい構造が存在することも明らかとなった。このような状況のもとでは、在宅介護において孝の規範の下で高齢者向けテクノロジーを利用しても、高齢者自身の満足度の向上には必ずしもつながらないことが示唆された。
発表の動機:
中国におけるデジタル機器を使用した家族介護について儒教研究では「年老いた親を敬う心や親孝行意識が薄まってしまう」と危惧されてきた。しかし、執筆者はフィールドワークを通して利用者家族や高齢者の視点から機器の存在意義を捉えようとすると、機器利用の土台には規範としての親孝行意識が存在していることに気づいた。そのため、家族のデジタル機器利用と親孝行意識の関係を実際の現場に沿った形で調査分析した研究が必要だと考え、その第一歩として本研究を行った。