この度、MIRAI-4期生の井上 共誇さんが、以下のとおり論文を発表しました。

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発表日:

2025年10月17日

区分:

口頭

発表した学会:

2025 Multi-ConTEXT International Graduate Conference: "Comparison and Convergence in English Studies"

題目名:

Confronting the Limits of Interpretation in the Age of AI: Reimagining "The Beast in the Jungle" in Bertrand Bonello's La Bête

概要:

10/17、10/18、韓国清州にある国立忠北大学の English Department で開催された学会へ行ってきました。韓国国内以外からも、アジア、ヨーロッパ、アメリカの英語学、英文学だけでなく、コンピュータサイエンス、アダプテーションスタディなど様々な分野を専門とする大学院生が発表を行いました。 私は自身の研究テーマである作家ヘンリー・ジェイムズによる中編小説 "The Beast in the Jungle" と、そのアダプテーション映画 La Bête (邦名『けものがいる』)についての比較考察を行いました。AIに支配され感情が排除された映画の中のディストピア的社会が、現代社会に生きる私たちがすでに直面している現実として描かれている可能性を探ることで、アルゴリズムに依存し、効率や快適さを優先するために最適解を安易に求めること、明快な答えを簡単に求めることへの危険性について考える機会を、これら両作品は与える機能を持っているという点を論じました。

発表の動機:

私はこの発表で、文学、映画、そしてテクノロジーという異なる領域をつなぎながら、「解釈することの倫理」について考えたいと思いました。作品を理解するとは、意味を一方的に"解き明かす"ことではなく、わからないまま共に立ち止まることだと思っています。固定された枠組み内での解釈を超えた「開かれた読み」を通して、AI時代に生きる私たちが見失いつつある、人間の複雑さや曖昧さを見つめ直すことは非常に意義があるのだと、この発表を通じて伝えられていたら嬉しいです。

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本人コメント:

韓国の教育省が行なっている教育支援プロジェクトの一つ、Brain Korea21によって主催された学会で、国際的、学際的な雰囲気の中で和やかでありつつもレベルの高い議論が行われ、非常に多くの刺激を受けました。学会後の打ち上げパーティでは伝統的な高麗人参料理を食べながら、参加した大学院生たちと日本のアニメやキャラクターの話、韓ドラやK-POPの話題で盛り上がり、うち解けた楽しいひとときを過ごしました。また、発表者の中で5人だけに与えられる Outstanding Paper Award を頂き、大会最後のセレモニーで表彰を受けたことは忘れられない思い出になりそうです。(賞金10万ウォン、頂きました:D)