東京外国語大学
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活動報告

白熱外交官シリーズ第4回「外交官生活40年―世界で見たこと考えたこと―」

2016.06.03

開催概要

外交官生活40年―世界で見たこと考えたこと―」講師:椿秀洋(前ボリビア大使)

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40年の外交官生活の集大成-前ボリビア大使が中南米勤務を中心とする外交官の実体験を披露。

椿大使は、メキシコ、アルゼンチン等スペイン語圏諸国を中心とする在外公館に勤務した。また、日本国内では外務省の他、総理官邸やUNDP東京事務所にも勤務している。今回の講演会では、約60人の聴衆に対し、この幅広い経験が披露された。

講演は、中南米諸国の他、スペイン、米国、そして日本での勤務についても説明があった。
ここでは中南米諸国に的を絞った内容を紹介する。
(1) ベネズエラ:1978-80年に勤務した。この国を去るときには、再び勤務したいとは思わなかったが、結局は1999-2002年に2回目の勤務をすることとなった。同国は産油国としてOPECの原加盟国である。エンゼルの滝などの雄大な自然を有する国でもある。政治の面では今は亡きチャベス大統領の動きが印象的であった。フィデル・カストロ・キューバ国家評議会議長に対するものおじしない態度には特別な印象を得た。
(2) アルゼンチン:西欧がすっぽり入るほど広大な面積を有する国である。豊富な資源に恵まれてはいるが、経済的困難にも直面した。
(3) メキシコ:二国間関係では、日本が世界で最初に平等条約を締結した国である。歴史的には、アステカ、マヤという高度の文明を有した国であることは良く知られている。米との関係で、かなりの国土を失ったという不幸な歴史も有する。
(4) キューバ:赴任前の偏見と先入観が打ち砕かれた国である。経済的には貧しい国であるが、物質的豊かさより精神的豊かさを求める国であった。また、米国情報機関のいい加減さも実感した。
(5) ボリビア:最後の勤務先である。長年の外交官生活の積み重ねもあり、経験と知識と語学力と人脈を最も生かせた勤務であった。先住民の社会的包摂を十分実感できた。日本との二国間関係では、中南米で最初の官約移住がなされた国であり、また、5番目に日系人が多い国でもある。

なお、講演後の質問内容は、講師の最後の勤務地ボリビアに集中したものになり、講師が有する最新の情報を得たいとする聴衆の気持ちが読み取れた。今回のごとく実体験に基づく生の情報に接する機会は貴重なものであり、聴衆の期待にも応えられたことであろう。


開催日

2016年6月3日(金)

概要/内容

■日時: 2016年6月3日(金)14時30分~16時(受付開始14時より)
■会場: 東京外国語大学 アゴラグローバル3階 プロジェクトスペース
(アクセス・キャンパスマップ)http://www.tufs.ac.jp/access/
■講師: 椿 秀洋(つばき ひでひろ)氏
■講演テーマ: 「外交官生活40年 -世界で見たこと考えたこと-」
■使用言語: 日本語

■申し込み: 講演会参加ご希望の方は、お名前、ご所属、ご住所、E-MAILアドレスをお書き添えの上、メールにて、社会・国際貢献情報センター事務局(icsic@tufs.ac.jp)宛にお申込みください。

主催 東京外国語大学 社会・国際貢献情報センター

<講演概要> 東京外語大卒業後、外務省に入省し、米国、アルゼンチン、メキシコ、ベネズエラ、キューバ、スペイン各国の日本大使館に勤務した後、在バルセロナ総領事や駐ボリビア大使を務め、さらには国連開発計画(UNDP)東京事務所長として勤務した経験や、総理大臣官邸で総理大臣、官房長官、首脳をはじめとする各国要人に間近に接した経験に触れながら、世界に羽ばたく東京外語大生に熱いエールを送る。