東京外国語大学
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活動報告

地域講演会「中国はいずこへ向かうのかー歴史研究者の眼からー」

2016.12.16

開催概要

「中国はいずこへ向かうのか」講師:佐藤公彦(本学名誉教授)

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講演は、冒頭、激動の世界情勢に触れ、その後、中心テーマである中国、そして、台湾及び香港、最後に南シナ海問題に焦点を当てつつ進められた。

現在、国際情勢は大きなうねりの中にあり、その中で、中国の動向は、単に一か国の政治状況という観点からのみでとらえられるものではなく、国際情勢全般の中で重要性をもつものである。講師は、中国政権が江沢民、湖錦濤から習近平に移行していく中で、その姿勢も国際協調主義から自国中心主義に移りつつあるという状況を深く掘り下げ、毛沢東時代への逆戻りとも言えるかもしれないとしつつ、難しい状況にある台湾及び香港との関係を詳細に述べた。この中で、一国二制度が完全に維持されているとは言い難いという現状に踏み込んだ点は興味深かった。習近平の下では「七不講」や「八タブー」という厳しい統制があり、当分は現体制の継続が見込まれるというのが講師の見方である。
南シナ海問題では、漁業・地下資源やシーレーンという点で確たる地位を占めようとする中国の目論見についての説明も行われたが、これは東南アジア情勢を判断するという点でも重要なものであった。

米国では、次期大統領としてトランプ氏が確定し、世界の動きも中国の動きもなかなか読みとりにくいものとなっている。このような先行き予想困難な状況の中で、佐藤講師は、敢えて、中国をテーマとする講演を行った。しかし、同講師の長年の経験から来る情勢判断は中身の濃いものであったと言えよう。

佐藤講師は、昨年3月東京外国語大学を退官したが、長年、中国関係を手掛けてきた正に中国の専門家であり、今回の講演は、講師の長い経験に基づく重みのあるものとなった。聴衆も約90名という多数にのぼり、講演後の質疑応答では、「習近平体制がいつまで持つか」、「高齢化社会に突入する中国はどうなるか」、「多民族の問題はどうなるか」、という質問に、講師は、歴史学者としての眼からの明確な回答を出していた。

今回の講演は、日本にとっても身近で関心の高いテーマであり、十分聴衆を引き付けるものとなったと思われる。

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開催日

2016年12月16日(金)

概要/内容

■日 時: 2016年12月16日(金)、14時30分~16時00分(受付開始14時より)
※入場無料、要・事前申込み
■会 場: 一般社団法人 日本倶楽部(大会議室)
     〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-1-1 国際ビル8階
     JR京浜東北線・山手線「有楽町駅」国際フォーラム口より徒歩2分
     東京メトロ有楽町線「有楽町駅」直結 (D1・B3出口)
     都営地下鉄三田線・東京メトロ日比谷線「日比谷駅」直結 (B3・B4出口)
【アクセス・地図】http://nihonclub.top-page.jp/access/

■講演テーマ: 「中国はいずこへ向かうのか―歴史研究者の眼から」
      
■お申込み: 講演会参加ご希望の方は、お名前、ご所属、ご住所、E-MAILアドレスをお書き添えの上、メール( icsic@tufs.ac.jp )または本ホームページ「Web申込みフォーム」よりお申込みください。
■締 切: 2016年12月12日(月)
※事前登録のみ、当日会場でのお申し込み不可

主催 東京外国語大学 社会・国際貢献情報センター(ICSIC)

<講演概要>
習近平主席の中国がどこへ向かうのか。台湾の総統・立法院選挙の実見の話から、向日葵運動や台湾人の対中国観、中国の台湾への姿勢、南シナ海問題、そして香港の雨傘運動から立法院宣誓問題を見渡し、内政問題として習近平体制を分析する。

大学HP URL
http://www.tufs.ac.jp/event/general/1212_1.html