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 八杉貞利の研究業績

(1)八杉貞利の研究業績

 八杉貞利は体系的なロシア語教授法の確立を進め、1916年に出版された『露西亜語学階梯』は「発行以来三十余年間わが国における唯一の体系的なロシヤ語教科書」となりました。 また辞書の編纂にも尽力し、1919年には同僚であった鈴木於菟平らと共同してアレクサンドロフの露英辞典を和訳し、『新譯露和大辞典』を出版します。その後1935年に出版した『岩波露和辞典』は、見出し語・例文も豊富で出版後20余年で81,600部に上るなど、ロシア語学習・研究には欠かせない辞書となりました。

 

(写真)1916年ロシア語学科_2列目6番目から八杉貞利、鈴木於菟平、トドロヴィッチ

(2)東京外国語学校の退職

 日中戦争のはじまる直前の1937年3月に停年退職した八杉は、「文部省直轄諸學校ノ教育ニ関シ功勞顯著ナル者」として「東京外國語學校名誉教授」の名称を授与されます(1945年まで非常勤講師を務める)。戦後1950年に日本ロシヤ文学会が創立されると、八杉は会長に推され、ロシヤ語の普及・ソヴィエト研究の発展に貢献しました。
 1960年、八杉は80歳を超してなお辞書編纂に尽力し、『岩波ロシヤ語辞典』を出版します。翌年には朝日新聞社より朝日文化賞を、1964年にはソヴェト連邦レニングラード大学より名誉博士の称号を受け、1965年にはロシア語研究の進展に寄与した功労により銀盃一組を下賜されます。
 そして1966年2月、脳軟化症のため満89歳で死去しました。

(写真)晩年の八杉貞利。

業績一覧

年代

著作

1899

「フランツ・ボップの生涯と学説」(『言語学雑誌』第1巻第1)

スウィート「英語の実際的研究」(『言語学雑誌』第1巻第2)

1900

「アイヌ語断片」(『言語学雑誌』第1巻第6)

1901

『ストロング氏言語史綱要』(東京専門学校出版部)

1906

『詩宗プーシキン』(時代思潮社)

1916

『露西亜語学階梯』(大倉書店)

「露国の知識階級」(論文集『露国研究』所収、同文館)

1932

『新集初等ロシヤ語読本』(大倉書店)

1935

『露和辞典』(岩波書店)

「スラヴ諸語の動詞の体の意義について」(『藤岡博士功績記念言語学論文集』所収、岩波書店)

1936

「ロシヤ文学史」(古代の部)( 『世界文芸大辞典』第7巻所収)

1937

『露西亜語会話の実例と練習』(共著、太陽堂)

『日露会話と作文』(白水社)

1939

『ロシヤ語文法』(白揚社)

「ロシヤ語発達史」(『還暦記念論文集(ロシヤ文化の研究)』所収、岩波書店)

『露西亜語文法会話』(大阪屋号)

1941

『ロシヤ語発音学』(三省堂)

1943

『初等ロシヤ語読本』(大倉書店)

1947

『ロシヤ語講座』(橘書店)

『基礎ロシヤ語』(大学書林)

1948

『智恵の悲しみ』(翻訳、世界文学社)

1953

『ロシヤ文法』(共著、岩波書店)

1957

『改訂初等ロシヤ語文法』(第一出版株式会社)

1960

『岩波ロシヤ語辞典』(岩波書店)

1961

『八杉ロシヤ語教本』(第一出版株式会社)

1966

しや酒(歌集)

1967

『故山日記(遺稿)


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≪目次≫
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U 八杉貞利の研究業績
V 八杉貞利資料群について


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