フィリピン──強権を求めた「新生」への希望
- 刊行
- 著者等
- 日下 渉
- 出版社
- 岩波書店
内容の紹介
既得権益層に対する不満や怒りは、「悪しき他者」の打破、「善き市民」の利益を夢見た。新生への希望は、「民主的な強権」や「独裁ノスタルジア」へと結実し、時に暴力や失望を生みだす。それでも変化を恐れないフィリピンの人々の果てなき情熱はどこへ向かうのか。フィリピンの挑戦が照らし出す民主主義の過酷なドラマ。
著者等のコメント
日下 渉(大学院総合国際学研究院/教授)
フィリピンでは、自由民主主義のもとでエリート支配と不平等が続いてきたため、望ましいフィリピンを実現するためとして、強権的なリーダーに期待が集まりやすいです。この本は、現代フィリピン政治を、高度経済成長のなかで生まれた「新時代のフィリピン人」に着目して論じています。とくに、暴力と分断に特徴づけられたドゥテルテ政権期を、希望と絶望が錯綜した現地の実態に沿って、白か黒かではなく、できるだけグレーに描き出そうとしています。また同時に、暗闇の中から次第に光が強まっていく様子をも描こうとしました。もしかしたら、フィリピンはこの陰鬱な時代を一足先に抜け出したトップランナーなのかもしれません。 なお、「おわりに」では、新時代のフィリピン人の象徴としてSB19を取り上げて、彼らの歌う希望、信仰、苦しみ、孤独、苛立ちなどついて書いています。彼らの世界観を深く知りたいと願うP-POPファンにも、手に取ってもらえればうれしいです。
