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について

1861年 改革と試練の時代(歴史の転換期9)

刊行
著者等
小松久男(編)
出版社
山川出版社

内容の紹介

本書は、世界史の大きな転換期となった年代を取り上げて、そのとき各地域の人々はどのように生き、その時代をどのように見ていたのかを具体的な事例に即して考えてみようというシリーズの一冊です。1861年といえば、中国では清朝が英仏軍の北京進撃や太平天国の攻勢という危機に直面し、ロシアでは農奴解放をはじめとする大改革が進行する、オスマン帝国ではやがて憲法を起草する官僚ミドハト・パシャが地方行政で頭角を現し、日本ではロシア軍艦が対馬に居座って国際問題へと展開する、イタリアではようやく国家の統一がなると同時に多くのイタリア人が海外に移住するという、さまざまな事態が起こっていました。読者は1861年以降の展開を知っているわけですが、いったんこの年の各地にタイムスリップして、同時代の人々の思い、時代の空気にふれることができます。

執筆者のコメント

小松久男(世界言語社会教育センター)
私が担当した総論では、この時期にロシアの外交官として活躍したイグナチエフに注目しました。1861年前後、彼は対中央アジア政策の立案に関与したほか、清朝と英仏の間の仲介の見返りに露清間の北京条約を締結して沿海州を獲得、駐オスマン帝国大使としては改革派のミドハト・パシャと対抗、さらに樺太の国境画定をめぐって幕府の使節と交渉した人物であり、まさに英露間のグレートゲームの一方の主役と言えるでしょう。


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