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について

〈焼跡〉の戦後空間論

刊行
著者等
逆井聡人(著)
出版社
青弓社

内容の紹介

焼跡や闇市を表象する小説や映画、批評を検証することを通して、私たちがもつ戦後日本という歴史認識や国土イメージをあぶり出す。「戦後日本」という枠組みから「冷戦期日本」という歴史認識へのパラダイムシフトを提起する挑発的な日本論。

監訳者のコメント

逆井聡人(世界言語社会教育センター)
本書は、連合軍占領下の日本における都市空間の表象を扱ったものです。特にこの敗戦直後という時代を語る際に頻繁に登場する「焼跡」・「闇市」という空間に焦点をあてて論じました。これまで長い間「焼跡」・「闇市」は、「戦後日本」の始まりの空間として参照されてきました。しかしながらよくよく考えてみると、どちらも1945年8月15日に突如として現れた空間ではありません。「焼跡」は米軍の戦略爆撃の被害の跡ですし、「闇市」は一九三九年に始まる統制経済の副産物です。この空間を見れば見るほど、それ以前からの断絶よりも、連続性の方が見えてきます。しかし、当時から現在までのメディアを見渡してみると、この空間の連続性への言及は周到に回避されてきたことが分かります。では、その不可視化された連続性を暴露することで何が現れるのでしょうか。それは、日本が「戦後」と呼ばれる時代の間、絶え間なく戦争に関わってきたという事実です。したがって本書は、文学や映画、批評言説を対象にしながら「戦後日本」と引き続く戦争(=冷戦)との関係を考察しました。お手にとっていただければ幸いです。


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