5月20-22日に行われた第二回山形県高畠町スタディツアーには、MIRAI生から小林(真)、小田、洪が参加してきました。1日目を洪、2日目を小田、3日目を小林が担当して内容を振り返ってみました。高畠の皆様との交流で刺激を得た部分はそれぞれですが、徒然に思いを綴ってみたので、スタディーツアーの熱が伝われば幸いです。

1日目

活動内容

高畠町教育長とのMTG(高畠中高生の挑戦「高畠モザイクアートプロジェクト」の計画を聞く)

coco de cachette Izumiya さん新店舗見学

「あん」創作フレンチ・イタリアンでディナー

最初に訪れた高畠町役場でのMTGでは、高校生と創り上げる課外企画についてお話を伺いました。万人単位での人を巻き込みたいという企画の規模感に驚きましたが、この規模だからこそ大人側も真剣に取り掛からないと達成できない目標であるというのが印象的でした。大人たちの本気度が伝われば、高校生たちにとっても、そうした企画に同じ目線で参加できる高揚感がプラスに働くのではないかと思います。

coco de cachette Izumiya さんは前回建設途中でしたが、今回ついに新しく完成した店舗にお邪魔することができました。

次世代リーダー人材育成塾修了生の戸田さんは、「私を豊かにできる場所」というテーマでお店をつくられているとのことでした。この「私」には戸田さんご自身だけでなくそこで働くチームメンバー、そしてお店を訪れるお客さん一人一人皆が「私」に含まれるというところが印象的でした。お店の周りには名前の通り(cachette=隠れ家、かくれんぼの意)秘密の小屋が現れたり、大きな庭があたり一帯を囲んでいたり。そうした空間全体を訪れる子どもたちに、自由につかえるなら何をする?と投げかけたりするそうです。学生時代を与えられた娯楽(施設)だけで遊ぶのではなく、主体的な余暇の使い方を意識していけるように仕掛けるというお話がとても印象深かったです。

2日目

活動内容

瓜割石庭公園

魚竹さんのキッチンカー見学

義民高梨利衛門の慰霊碑(高畠町二井宿小学校裏)

高畑鉄道旧駅庁舎

鈴木さん、柿木さんとMTG@ゆうきのさと

そば打ち体験(菊池さん)

瓜割石庭公園ではボランティアのガイドの方に人力で行われていた石の切り出し方などを写真を交えてわかりやすく説明していただきました。午後にはその高畠石をふんだんに使った旧駅舎も見に行きました。

戸田さんと同じく人材育成塾修了生の竹田さんのお魚屋さん「魚竹商店」にお邪魔しました。前回3月に訪問した時にはまだなかったキッチンカーを見せてもらいました。町内外でのイベントに出店し、イカ焼きやホタテ焼き(時にはお酒も!)を販売しているそうです。戸田さんのお店もそうですが、語っていた「夢」が具現化していくのをみるとこちらも自然とわくわくさせられました。

2日目は商工観光課の鈴木さん、地域おこし協力隊の柿木さんを交えて意見交換を行いました。特に盛り上がった話題を紹介します。

  • 文系のイノベーション人材とは(外大の強み多文化共生をイノベーションにつなげる)
  • 社会人がいまさら行きたくなる大学とは(専門が蛸壺化している現在の大学では「深ぼり」することは十分でも「探索」することは足りていないのでは?)

個人(小田)的に面白いと思った点は、皆さんが「面白い」研究をしている専門家を「繋ぐ」ことに意義を見出しているという点です。私はどちらかというと自分の研究に没頭するタイプであり、それに楽しさを見出しています。しかし、もう少し引きのアングルで物事を見て、社会や他の学問領域とのつながりを意識する方が楽しい人がこんなにもいることが新鮮でした。

その後、有機農業を実践している菊池さんに学びつつそば打ち体験を行いました。自分たちで打ったそばと、高畠の野菜をふんだんに使った晩御飯は心もお腹もいっぱいになりました。

3日目

活動内容

亀岡文殊

高畠町役場(商工観光課)でのミーティング

熊野大社

大立洞窟

猫の宮、犬の宮

浜田広介記念館

3日目、学生は小林のみが残り、高畠町の名所を中山副学長の運転するレンタカーで探訪しました。午前中に町役場商工観光課に伺い、鈴木さん柿木さんに加え鈴木亨商工観光課長ご同席のもと、高畠町と我々でどのようなコラボレーションができるか話し合いました。ここでは、その際に私小林から提案させていただいた2つのことを紹介します。

  • 学部スタディーツアーのさらなる展開
  • 地域の中高生に対する街歩き型謎解きゲーム制作ワークショップ

1つ目は、学部スタディーツアーの発展案です。かねてより東京外大では高畠町含む諸地域で学部生が参加するスタディーツアーを実施しています。特に高畠町を訪れた学部生は満足度と再訪率が高いとのことでした。一方で、学部生たちと高畠町の関係がそれきりになってしまうということが課題としてありました。そこで、現在町で別途計画されている外国人労働者・移住者への町案内プログラムに学部スタディーツアーを絡ませることはできないかと提案しました。この案は、高畠町をスタディーツアーで実際に町を訪れた学部生たちが、今度は自分たちが外国人労働者・移住者に町を紹介するというもので、学部生にとってはスタディーツアーの学習成果のアウトプットになりつつ、町としては関係人口の維持や産学官連携による多文化共生の実践となりうるのではないかと考えました。

2つ目は、中高生を巻き込んだ新たな学び(活動)についてです。具体的には、上述のモザイクアートプロジェクトの後に、中高生に提供するプロジェクトとして「街歩き型謎解きゲーム」の制作を提案しました。昨今、観光振興のツールとして謎解きゲームを活用することが流行しています。簡単に言うと、ラリー形式で観光名所を周遊し、行く先々で提示される謎を解いていくことで物語と次の目的地が示されるタイプの謎解きゲームです。実は高畠町でも一度企画が立ち上がったものの残念なことに潰えてしまったということでした。そこで、その謎解きゲームを中高生とともに作るワークショップはどうかと提案した次第です。私小林はゲーミフィケーションを専門のひとつとしており、また謎解きゲームの制作経験もあるので、ワークショップを開いて謎解きゲームの作り方を伝えることができます。街歩き型謎解きゲームの制作を通して、中高生は地域の歴史やゲームデザイン思考を学ぶことができるため、探究学習に適しているのではないかと考えています。

午前中にこのような話し合いをしたため私としては完全にやる気になっており、その後の各所の地域探索も、地域に詳しくない人に案内するならどこか、ゲームの物語に組み込むなら何のテーマがいいかといったことを考えながら歩き回っていました。コラボ企画はぜひ実現させたいですね!