残暑お見舞い申し上げますー。ほんとに暑すぎる夏ですね。さて、ちょうどお盆の大学夏季休業期にあたりましたが、パプアニューギニアの貝貨の研究をしている科研メンバーF先生を訪ね、他のメンバー4名でラバウルに行ってまいりました!
タテの移動なので時差はたった1時間なのだが、乗り継ぎが悪く、往復にたくさんの時間がかかってしまった。しかしとても珍しいおカネのあり方を初めて実地で見て、ほんとうに興味深かった!行きの乗り継ぎのポートモレスビー(首都)で国立博物館の見学をしたのだが、そこの展示に貝貨を輪にしたモデルを発見!
しかし、よくあるように「昔は貝殻がおカネだった」という話しではなく、法定貨幣である「キナ」とともに上記の「タブ」が現在まで並行して使われているというのが、とても珍しい。実際、下記のように市場(マーケット)で普通に購入することもできるのである。
とはいえ「キナ」と「タブ」では使われる状況、つまり人びとがおカネによってつくる人間関係に違いがあるそうだ。普通の売買には「キナ」が多用され、「タブ」も使えなくはない。一方、結婚や葬儀など大切なライフステージに関わるときには、もっぱら「タブ」が用いられるようだ。
しかもこの「タブ」、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのドイツによるニューギニア支配の時代からすでにあったとのことで、タブがあまりに強いためドイツ人が業を煮やし、やがて使用を禁じたほどである。なんとも頼もしい。少し踏み込んで考えてみたい素材である。
一方、ラバウルといえばやはり戦争との関わりも見逃せない。戦跡の地下壕なども少し見て回ることができ、短いながら鮮烈な体験を得た。「ラバウル小唄」を知っている人も多いだろうか。とはいえ戦争に関わった人からすれば、「何がまた来るまでは、だ。二度と来るものか」(麻生徹男『ラバウル日記』)という方が本音だろうー。