第107回ASCセミナーは、当センターに所属の特別研究員・レイバン・キティンジ=キニュア博士に「ケニアのZ世代による2024年の抗議行動とその余波」についてお話いただきます。
ハイブリッド開催ですので、Zoomでもご参加いただけますので、事前登録をお願いします。
題名:
「ケニアのZ世代による2024年の抗議行動とその余波――民族的パトロネージの民主主義国における待機状態とデジタル・ストーリーテリング」
概要: 2024年にケニアで発生したZ世代主導の抗議行動は、同国の政治史における裂け目となり、根強い民族政治の構造と国家が支配するナラティブに対する挑戦となった。財政法案が即時撤回され、内閣が解散されたことは重要な勝利であったが、その後の状況を見ると、パトロネージ政治と民族的結束により形作られる体制のもとで、分散的・指導者不在・部族不在の運動を維持することには構造的な脆弱性が存在することが明らかになった。
本報告では、Z世代の抗議行動をアルシンダ・ホンワナが提示した「待機状態(waithood)」の概念に位置づける。この概念は、失業、不安定な状況、排除によりアフリカの多くの若者が陥っている、長期化した社会経済的な宙ぶらりん状態をとらえたものである。
ケニアの若者にとって、2024年財政法案の懲罰的な課税制度はこの状況を明白にし、経済的・政治的包摂をあまりにも長く「待ち続けた」世代を奮起させるものだった。こうして抗議行動は、待機状態を集団的に拒否するものとなり、国家からの認知と国家に対する説明責任を求めるものとなった。
同時に本研究では、抗議行動を動員し、持続させた戦略として、デジタル・ストーリーテリングの重要性を強調する。TikTok、YouTube、ポッドキャスト、ミームを通じて、ケニアの若者たちは個人的な苦闘を語り、市民としてのアイデンティティを再構築し、民族の境界を超えた抵抗の道徳的共同体を築いた。
そしてこれは現在も続いている。証言から風刺、噂に至るまでのデジタル・ストーリーテリングは、抗議行動をオンライン上で持続させ、その記憶と緊急性が街頭を超えて確実に持続するようにした。待機状態とデジタル・ストーリーテリングを前面に押し出すことで、本研究は、Z世代の抗議行動が単発的な異議申し立て以上の意義を持つと論じる。これらは、ケニアの民族政治的な秩序に挑戦する若者の政治的動員の新たな形態であり、デジタルを介した市民的帰属を通じた民主的な参加を再定義する可能性を秘めたものである。
キーワード:Z世代の抗議行動、待機状態、デジタル・ストーリーテリング、デジタル・アクティビズム、民族的動員、集団行動の問題、若者の政治動員、ケニア
◆講演者: レイバン・キティンジ=キニュア博士(東京外国語大学 現代アフリカ地域研究センター・特別研究員)
◆日時:2025年11月6日(木) 17時40分~19時10分(6限)
◆場所:ハイブリッド方式 対面(東京外国語大学 研究講義棟 1階 109教室)& オンライン(Zoomミーティング)
アクセス:https://www.tufs.ac.jp/abouttufs/contactus/access.html
◆使用言語:英語
◆参加費:無料
【参加をご希望の方は、こちらより事前にお申し込みください。】もしくはQRコードより事前申し込み願います。
定員:対面100名 ・ オンライン300名
申し込み〆切:2025年11月6日(木)正午 ※ 定員に達し次第締め切らせていただきます。
※ Zoom情報は事前登録の際に登録したメールアドレス宛てに返信メールとして送られます。
◆共催:日本アフリカ学会関東支部