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Research Activities研究活動

研究プロジェクト

タイ少数民族における持続可能なコミュニティ協働型言語・文化ナレッジベースの構築

中山 俊秀 (東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所)

【研究課題】タイ少数民族における持続可能なコミュニティ協働型言語・文化ナレッジベースの構築
【研究費の枠組み】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2020-年10月27日 〜 2024年03月31日
【研究代表者】中山 俊秀 (東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所)
【研究分担者】西井 凉子(東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所)、冨岡 裕 (神田外語大学, 外国語学部)
【研究目的】

本研究は、タイの黒タイ族の消滅の危機に瀕する伝統言語・文化について、コミュニティ自身の視点と価値観を組み込んだ真正な記録を作り、学術研究と言語・文化の保持・再活性化の双方の基盤として活用できる包括的ナレッジベースを構築することを目的とする。本研究の活動は研究活動の全面に渡ってコミュニティにおける密接な協働によって進める。これは、もっぱら外部研究者が先導・管理してきた従来のアプローチに内在する弱点・問題点への反省に基づいた新たな再活性化モデルに基づく試みであり、学術的な記録の質と価値の向上のみならず、再活性化活動の自発性と持続可能性を向上させる上での効果が期待できる。

【キーワード】言語再活性化 / タイ / 黒タイ / 危機言語 / 言語ドキュメンテーション / タイ少数民族 / 黒タイ族 / 消滅危機言語


【研究成果報告】

本研究は、タイの黒タイ族の消滅の危機に瀕する伝統言語・文化について、コミュニティとの協働を通して、学術研究と言語・文化再活性化という社会活動の双方を支える包括的ナレッジベースを構築することをめざすものである。2022年度には、2021年度までに収集した伝統的文化・言語に関する知識データ、映像資料等を基盤にナレッジベースとしてまとめる作業を完了する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの蔓延後の混乱のため、タイへの渡航、コミュニティーへの訪問手配が困難な状況が続いたため、本研究を推進する上で不可欠なコミュニティベースの活動(現地調査及びコミュニティメンバーとの共同データ収集および共同研究)については、こちらが出向いての活動は行うことができなかった。しかしながら、海外共同研究者との連携は密に行い、現地コミュニティーでのトレーニングおよび調査活動(言語構造・文法、言語使用の実態、伝統的儀式・儀礼・伝統技術・伝統的世界観・価値観・倫理、コミュニティーの歴史に関する聞き取り調査)についても可能な限り進めることができた。特に、伝統的服装、食文化、踊りなどの芸能、民話についての情報収集についてはコミュニティーメンバーらが積極的に取り組み、進捗が得られた。こうした次善策により、限定的ながら研究を進めることができた。しかしながら、全体計画の進捗は遅れていることは否めないため、研究期間を延長して研究を遂行することとした。