①固有語...日本語でいえば和語にあたる。朝鮮語固有の単語 머리 [mɔri モリ](頭)・하나 [hana ハナ](ひとつ)・ 하다 [hada ハダ](する)・밥 [pap パプ](ご飯) ②漢字語...漢語にあたる 산 [san サン](山)・책 [tʃhɛk チェク](本)・일 [il イル](一)・ 공부 [koŋbu コンブ](勉強)・민족 [mindʒok ミンジョク](民族) ③外来語...主として英語など他の言語起源の単語 컴퓨터 [khɔmphjuthɔ コムピュト](電算機)・ 빵 [?paŋ パン](パン)・미팅 [mithiŋ ミーティン](合コン)ごく基本的な動詞や身体名詞などは多くが固有語であるが、漢字語の頻度も相当に高く、新聞など固い書きことばでは50~60%以上を占める。文学作品では固有語の割合が高くなり、85%を越すこともある。外来語の使用頻度は日本語ほど高くはない。上の3つの要素の合成語も存在する。
なお、朝鮮語では漢字は音読みだけで、訓読みはしない。また漢字1字につき読み方は1通りであるものが多い。
固有語と外来語は漢字で表記できないが漢字語だけは漢字でもハングルでも表記できる。韓国では新聞や一部の学術書は漢字混じりの表記を採用しているが、小説や手紙などはハングル専用の表記がなされることが多い。共和国では全てハングルだけが用いられている。ハングル・漢字共に必ず1文字1音節なのでどちらで書いても文字数そのものは変わらない。
漢字語の中には철학<哲學>[tʃhɔr(h)ak チョラク]など日本の漢語起源の単語も非常に多い。それらに混じって、中には日本で訓読みする単語をそのまま朝鮮漢字音で読んだ漢字語も存在する:
엽서[ヨプソ]<葉書>・소포[ソポ]<小包>・취급[チュイグプ]<取扱> 인하[イナ]<引下>・건물[コンムル]<建物>・수속[スソク]<手續> 입구[イプク]<入口>・입장[イプチャン]<立場>・주식[チュシク]<株式>漢字語の中には同じ漢字から成っていても日本語と意味の異なる単語がしばしば見られる:
공부[コンブ]<工夫>(勉強)・의논[ウイノン]<議論>(相談) 내일[ネイル]<來日>(明日)・세수[セス]<洗手>(顔を洗うこと) 대신[テーシン]<代身>(代わり)・모양<模様>(形・ようす)
小説など文学作品ではとりわけ擬声擬態語の使用頻度が高い。例えば李浩哲(イー・ホチョル)作「裸像」では全277文のうち擬声擬態語を含む文は36.5%に達する。単語数でも2319語のうち192語、8.3%の単語が擬声擬態語なので、およそ12語に1語は擬声擬態語ということになる。一般に日本語の小説と比べても朝鮮語の小説における擬声擬態語の頻度は非常に高い。これら擬声擬態語の使用で必ずしも非常に話しことば的な文体になるというわけではないことも注目される。また유유히<悠々->[ユユヒ]のような、擬声擬態語に準ずる漢字語も存在する。