2017/1/27 講演会

「ポルトガルがマカオに残した記憶と遺産
  ―『マカエンセ』という人々―」  (4/6ページ
内藤理佳(上智大学)


1. マカエンセ (Macaense, 複数形Macaenses) とは
2. マカエンセの歴史と現状           
3. マカエンセの未来
4. マカエンセの伝統文化
 4.1 祭礼行事
 4.2 伝統料理―マカエンセ料理
 4.3 ポルトガル語系クレオール語 ―パトゥア語


 4.マカエンセの伝統文化 

 ポルトガル式の教育や宗教観をベースとしながら、広東文化ならびにアジア近隣諸国の文化・生活習慣を受け継ぎ発展した、独特の折衷文化
 

 4.1. 祭礼行事

中国式(道教・仏教)祭礼:春節〔旧正月〕、天后祭(旧暦3月23日)、酔龍祭・潅仏祭・譚公祭(旧暦4月8日)、中秋節(旧暦8月15日)など
 
ポルトガル式(キリスト教)祭礼: パッソスの聖体行列(2~3月)、ファティマ聖母の行列(5月13日)、クリスマス(12月25日)など
 

 4.2. 伝統料理―マカエンセ料理

  マカエンセの家庭に伝わる伝統料理。ポルトガル人が辿った「大航海」ルートの集大成、すなわちポルトガル料理をベースにして、アフリカ、インド、マレー(インドシナ)、広東料理の原材料やスパイス、料理法を加えた究極の「フュージョン料理」。かつては各家庭の秘伝のレシピとして門外不出のものであったが二十世紀後半に商業化、現在は海外からの観光客にも人気を誇る。
 
・基本調味料・・・バリシャオンBalichão(マレー料理のブラチャンblachang)、スタテsutate(醤油)、オリーブオイルなど
・料理名にパトゥア語(後述)が多用されている
・おもな料理 

   
  
【写真提供:カルロス・アルベルト・アノック・カブラル】
 

- ミンチー Minchi 豚ミンチ肉を中華鍋でオリーブオイル・醤油などで炒め、フライドポテトを加える
- ラカサー Laccasá ライスヌードルの炒麺もしくはスープ麺
- チャウチャウ・パリダ Chau-chau parida ショウガと鶏肉の料理
中国語で産後の女性の滋養強壮のために良いとされたショウガを使った料理であるとからつけられた名前と考えられる。チャウchau炒は中国語で「炒める」、パリダ paridaはポルトガル語で「産後の女性」を指す →二言語から作られた料理名

 
カルロス・アルベルト・アノック・カブラル著
「Comê qui cuza? 食乜野?What to Eat? 何を食べようか?」日本語版(2016年)  

 
 

 

              
              
              
              
              

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