「ポルトガルがマカオに残した記憶と遺産
―『マカエンセ』という人々―」 (3/6ページ)
内藤理佳(上智大学)
1. マカエンセ (Macaense, 複数形Macaenses) とは
2. マカエンセの歴史と現状
3. マカエンセの未来
4. マカエンセの伝統文化
4.1 祭礼行事
4.2 伝統料理―マカエンセ料理
4.3 ポルトガル語系クレオール語 ―パトゥア語
3. マカエンセの未来
<教育面>
・中国語(北京語)もしくは英語で教育を受ける若者が大多数となるだろう。
・ポルトガル語を母語とするマカエンセが激減するだろう。
<出自面>
ポルトガル人の血を引くマカエンセの数は減少。中国系のマカエンセが増加するだろう。
<精神面・文化面>
マカエンセのエスニック・アイデンティティから、ポルトガルとの深いつながり(ポルトガリダーデ)が消えていくだろう。
<社会面>マカエンセが中国国籍を選択する傾向が加速するだろう。
【新しいエスニシティの可能性】
・ポルトガルもしくは中国に偏った忠誠心・愛国心・関係性などを保有しない。
⇒マカオに生まれ育ち、マカオに住み、マカオに対する「愛国心」を持つ。マカオそのものとの精神的関係性・深い絆をアイデンティティの中核に置く。
=「中国のもうひとつの少数民族」
※マカエンセのエスニック・アイデンティティから「ポルトガリダーデ」が消失するとき、もはや彼らを「マカエンセ」という独立した名称で呼ぶことはできないのではないだろうか?
⇒ 若い世代のマカエンセの取捨選択にコミュニティの未来のゆくえが任されている。