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 東京外国語大学「日本専攻」の歩み

3. 特設日本語学科の時代 資料群

目次
【資料:特設日本語学科の講義内容 (1984年度) (『特設日本語学科年報 八』より一部抜粋)】
【資料:昭和52年度行事記録 (『特設日本語学科年報1』1978年3月)】
【資料】『特設日本語学科の構想と問題点』(1969年9月)



【資料:特設日本語学科の講義内容 (1984年度) (『特設日本語学科年報 八』より一部抜粋)】
一年次「日本語」
○読解T 阪田雪子
 特設日本語学科編の読解教材「随筆・評論一」を用い、いわゆる精読で、文法・語い面の拡充をはかった。
 後期は「日本人の論理構造一 板坂元」(講談社現代新書)を用い、文意の把握に重点をおき読み進めた。
(…中略…)
二年度「日本語」
○読解T 窪田冨男
 次の七編を読む(取上げた順に記す)。
 葉桜と魔笛(太宰治)、絵本(田宮虎彦)、棒(安部公房)、若い娘(石坂洋次郎)、虫のいろいろ(尾崎一雄)、ジングルベル(安岡章太郎)、鳥(大江健三郎)
 一遍読了ごとに八〇〇字以内の感想文を提出させる。
(…中略…)
基礎教育科目
○日本文学基礎T 国松昭
 「日本文学入門」を用い、それに沿っていろいろな説明や関連事項の紹介、時に脱線という一年である。講義形式ではあるが、なるべく学生に読ませたり質問するよう心がけた。具体的内容は次の如し。
第一部 第一章 日本近代社会の成立
    第二章 日本文学の様式
    第三章 日本文学の特質と現状
    第四章 小説≠ノついて
    第五章 小説の受け止め方(この章は軽くした)
第二部 第六章 坪内逍遥 二葉亭四迷
    第七章 尾崎紅葉 寺田露伴
テキスト:東京外国語大学日本語学科編『日本文学入門』第一部、第二部
(…中略…)
言語学
○言語学概論(言語学概説)
 ことばとは何か、その実体を見る眼を養うことを目的として、記述言語学の立場から、言語の一般的性質、音声・語彙・文法などの単位と構造、その他について、これまでの研究を紹介しながら概説した。
 テキストは浅く広い記述がなされているので、多くを補ったため予定項目の三分の二にとどまった。
 テキスト:田中春美・他『言語のすすめ』大修館


【資料:昭和52年度行事記録 (『特設日本語学科年報1』1978年3月)】
4月15日 入学式、ガイダンス
6月3、4日 新入生合宿オリエンテーション(熱海市伊豆山)
6月22日 教官・チューター懇談会(第1回)
10月5日 日本語統一試験
10月19日、20日、21日 見学旅行(犬山、名古屋周辺)
11月30日 学長主催・外国人留学生懇談会(学内大会議室)
12月9日、13日 課外講義 筑波大学大学院地域研究科外人教師ロベルト・オラシオ・オエスト氏「私の留学体験について」
2月10日 教官・チューター懇談会(第2回)
2月18日、21日 課外講義 共立女子短期大学講師 矢野公和氏「文楽について」
2月20日 文楽鑑賞(国立劇場)
2月21日 卒論面接
2月22日 1、2年 日本語統一試験
2月23日、24日、25日 スキー(群馬県万座)
3月10日 特設日本語学科入学試験
3月14日 卒業生・修了生懇談会
3月16日 卒業式



【資料】『特設日本語学科の構想と問題点』(1969年9月)

『特設日本語学科の構想と問題点』(1969年9月)

まえがき
昭和43年4月に発足した特設日本語学科は45年4月に制度的に完成し、46年度には第1回の卒業生を出す予定になっている。しかるに、特設日本語学科が学内においてどのような位置を占めるか―たとえば英米語学科〜アラビア語学科と同列に並ぶのかどうか―は、いっこうに明らかになっていない。その端的な証拠の一つは、学則のどこを見ても特設日本語学科の文字が見当たらないことに見られる。留学生課程の歴史をふりかえってみるとき、新学科を設立するさい、当初においてその位置を明確に定めることが如何に重要であるかが痛感される。従来、いろいろな事情があって、留学生課程にたいする全学的認識ははなはだ不十分であった。特設日本語学科にたいする認識も現在のところ同様に不十分で、付属日本語学校と同一視するむきもあるのは遺憾である。このような現状は大学全体にとって好ましいことでなく、将来に禍根を残す怖れがある。このさい、われわれは、特設日本語学科とは何か、また将来どうあるべきかを理論的に検討し、本学におけるそのもっとも妥当な位置を定めたいと思う。(後略)

V日本語学科の構想
1.学生
 日本語学科には、その性格や目的から、日本人と外国人とを問わず広く学生を受け入れることが考えられるが、現在は暫定的に外国人学生だけを受け入れている。教育の方法上、日本人学生に対するのと外国人学生に対するのとでは異なる面をもたせた方がよい場合もあるが、このことは研究・教育の水準の高低を意味しないし、意味してはならない。
(@)外国人学生
現行の入学定員は外国人学生30名(国費・私費各15)である。国費留学生は政府の行なう選抜試験を経てくるが、本学入学時に一定水準以上の日本語能力が要求され、本学に入学できるかどうかは、本学科の判定による。能力不足の場合は、留学生課程1年次(45年度からは付属日本語学校)で学習し、一年後に改めて入学試験を受けなければならない。
私費留学生は、43、44年度には所定の有資格者のうち滞日中の者に限って応募できたが、近い将来、外国から直接応募できる方法が考慮されなければならない。
(A)日本人学生
日本人学生の受け入れは、本学科の設立が検討され始めた数年前から、常に無視できないこととして検討されてきた。それは日本語研究・日本語教育(外国語教育)の歴史の必然であり、日本語学科のあるべき姿やその基本的性格を考え合わせてみると、本学科のために欠くことのできない条件である。また、母国語を客観的に認識し研究することは、それ自体の意味をもつだけでなく、日本人の外国語の研究・教育にとっても歓迎すべきことであろう。
日本語教師の社会的必要性もある。しかも、単に母国語として日本語を話す者、あるいは外国語専攻者や国語国文の専攻者がそのまま教師として通用する時代は過ぎ、外国語としての日本語研究に専門的知識をもち、専門的訓練をつんだ者が要求されている。
(中略)
大学内存在としての本学科の自主性を高めるためにも日本人学生の受入れが望まれるが、また留学生の立場からみると、四年間を外国人だけのクラスで教育を受けることは、来日の効果や意味をおおはばに減殺することになろう。



    
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