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 学園紛争 〜東京外国語大学における経過と特徴〜

V. 東京外国語大学における学園紛争の特徴 〜学内改革としての「学園紛争」〜



 「学園紛争」には、戦後の大学昇格以降もつづく旧専門学校的性格からの脱却を目指す学内改革としての一面もありました。紛争中の1968年12月12日、小川学長・教授会代表委員会「全学生諸君への提案」のなかで、以下の「本学の制度改革の方向と将来へのヴィジョン確立について」が示されます。

 本学の制度改革の方向と将来のヴィジョン確立について
新制大学発足以来二十余年を経た今日、ようやく大学のはらんでいる諸矛盾があらわになり、それへの批判が学生諸君の自己主張という形で展開されていることは、衆目の認めるところである。
もちろん、わが国の大学制度そのものの改革について論ずることはこの提案のなしうるところではない。しかし、本学独自の立場で可能な事柄については、できるかぎりその方向を明らかにしておかなければならない。
それは、大学の管理・運営にかかわる制度上の問題と、カリキュラム編成、将来の研究・教育体制のヴィジョンを含む本来的にアカデミックな問題との二つに分けて考えられるであろう。(…中略…)

 改革委員会の議論とその後
 これを受け学内封鎖解除後の1969年4月には、改革準備委員会(第一委員会)において本学の改革の方向性が検討され、6月に全学教授会に「学内改革案」として示され、8月改革準備委員会第一委員会答申がまとめられます。鐘ヶ江学長事務取扱を委員長とし7名の委員で構成された改革準備委員会は、教授会の意見聴取、教官へのアンケート分析を踏まえ具体案をまとめました。答申案では、本学独自の理想像や大衆教育の可能性を探るとともに、専門分化した既成の学問分野の限界が、きびしく問われている事実に鑑み、 それらの弊害をできるだけ克服したあたらしい知識形成の場としての大学像を求めることが謳われ、「専門学校の継承として狭義の語学(語術)教育を教育体系の中心に置いてきた点に根本的欠陥がある」と主張されました。
 改革の具体案として、カリキュラム改革や従来の語学科の廃止と六専攻地域の新設が検討されます。カリキュラム面では、基礎教育科目が新設され、社会科学概論、文化人類学、国際関係論などの学際領域が拡充されました。1977年には「本学外国語教育の成果の上に立って現実社会をトータルに捉え、 且つ分析する道を開き応用学としての地域学の確立を意図する」大学院地域研究研究科の設置を行ないます。
 語学科の廃止と専攻地域の新設は1995年改革で結実します。

    
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