このたび、現代アフリカ地域研究センターとNPO法人FENICS、日本アフリカ学会関東支部の共催、また日本文化人類学会次世代ワーキング・グループの協力によってFENICSサロン×ASCセミナーを開催する運びとなりました。
FENICSサロンはフィールドワーカーの活動を発信する機会、ASCセミナーは現代アフリカ地域研究センターが、現代アフリカの諸問題に関する研究の拠点として現代アフリカに関わる研究・教育活動の促進とネットワークの構築のために開催している機会です。そして文化人類学会次世代支援WGは今期、コロナ禍でフィールドワークに行けない若手研究者にエールを送るべく「フィールドに行けない人類学(者)」シンポジウムを企画しており、本サロン/セミナーも活動の関連事業として位置づけています。
本セミナーでは、当センターの村橋勲特任研究員が、2021年2月に発表した単著『南スーダンの独立・内戦・難民 希望と絶望のあいだ』について解説します。
長い内戦の後、新しい国家の誕生とともに期待の膨らんだ南スーダンをフィールドにした著者。だが、間もなく新たなコンフリクトが次々と生じ、人類学者が調査のために滞在できる状態ではなくなった。自らもウガンダへ退避した経験* をし、フィールドの人々も隣国へ難民として逃げ出すことになった。その後、彼らを追って、ケニアやウガンダの難民キャンプに赴くことになる。調査開始時に想像していた民族誌の世界とは異なる、他国で「難民」になる人々の生活を描くことになった。
2021年2月、博士論文をもとに発表された本書について、ご本人からご紹介いただき、二人のフィールドの異なるコメンテーターも迎え参加者とともに議論したい。著者はアカデミアだけでなく、報道カメラマンとしての経歴ももつ。着眼点、フットワーク、追い続けるエネルギー。このコロナ禍、著者の切り開いてきた道筋に、刺激され力を得る若手研究者も多いはずである。
*FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ6巻『マスメディアとフィールドワーカー』(古今書院)に書かれている。
合評会:村橋 勲 著『南スーダンの独立・内戦・難民 希望と絶望のあいだ』(昭和堂、2021年)
司会:椎野 若菜 氏(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・准教授)
挨拶:武内 進一 氏(東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター・センター長)
講演者:村橋 勲 氏(東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター・特任研究員)
コメンテーター:久保 忠行 氏(大妻女子大学比較文化学部・准教授)
村尾 るみこ 氏(総合地球環境学研究所・研究員)
◆日 時:2021年7月16日(金)19:00~20:30(JST)
◆場 所:Zoomでのオンライン開催
◆使用言語:日本語
◆参加費:無料
◆参加をご希望の方は、こちらより事前にお申し込みください。定員:300名。申し込み〆切:2021年7月14日(水)。定員に達ししだい締め切らせていただきます。Zoom情報は7月15日(木)に登録メールアドレス宛てにお送りします。
◆共催:NPO法人FENICS、東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター、日本アフリカ学会関東支部
◆協力:日本文化人類学会次世代支援WG
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【報告】
セミナーは定刻通り開催され、参加者は77人でした。村橋氏自身の発表に続き、コメンテーター久保氏と村尾氏よりそれぞれ異なる視点から指摘があり、活発な議論となりました。