2016年度 活動日誌

3月 活動日誌

2017年3月
GJOコーディネーター 木林 理恵

今月も州立大学の学部の授業はありませんでしたが、GJOでは、入門・初級・中級以上とそれぞれのレベルに合わせた課外活動を企画し、週1回ずつ、会話を中心とした授業を行いました。

また、今月初めには、東京外国語大学との交換留学のための選考試験があり、10人以上の留学希望者が試験を受けました。各学生の熱意に触れると、日本に行ったり、留学したりする手段がもっとあればいいなあと思わされます。

さて、21日(火)から、国立技術教育センター(Centro Federal de Educação Tecnológica Celso Suckow da Fonseca、CEFET)高等部での授業が始まりました。1回2時間、週2回(火・金)で、一年間で終わるコースです。リオ・デ・ジャネイロ州立大学GJOの活動の軸として、中等教育での日本語教育の実施があります。今までは州立大学の付属校だけで行っていましたが、州立大学とCEFETが提携し、新たに日本語コースを開講できることになりました。高校生くらいの世代は、興味があっても日本語を勉強する機会がほとんどないそうで、CEFETの先生たちも高校生を対象とした授業の開講を喜んでくださいました。午前と午後のクラス合計40人の枠に、300人以上の希望者があり、抽選で受講者を決めるのがたいへんだったと聞きました。

日本語を勉強するためには、まずは、文字を覚えないといけません。日本語の50音をポルトガル語表記にするのは複雑で、ひらがなを見て発音を覚えるのが一番良いと感じました。そこで3月は、ゆっくり、ひらがなの書き方を練習したり、単語を聞いて書きとったり、日本語の音と文字に慣れることを行いました。

生徒たちはおとなしく、非常にまじめに話を聞き、聞き取った日本語をきちんと繰り返して発話します。また、こちらの学校教育では書き取りをやらせるため、生徒たちはノートをとることに慣れているようです。1クラス20人と言語を学ぶには多めの人数ですが、スムーズに授業を進められそうです。

CEFETでの授業は、日本語を教える側の人たちにも開かれたものにしたいと考えています。州立大学の教職課程の学生は必修項目として授業見学があるので、その学生たちには参加してもらいますが、彼らだけでなく、日本語の授業を見たいという方に気軽に見学に来ていただけるようにしようと思っています。

2月 活動日誌

2017年2月
リオ・デ・ジャネイロ州立大学日本語教育コーディネーター
木林 理恵

今月に入っても、州立大学は新学期を始めることができないでいます。リオ・デ・ジャネイロ州の財政問題は続いており、解決の見通しがたっていません。

そんな中、日本語科では3日(金)に、新入生へのコース説明会、及び、在学生向けに日本への留学に関する説明会を行いました。リオ・デ・ジャネイロ州立大学から日本の大学に留学するには、東京外国語大学と協定しているプログラムの他に、大使館(領事館)推薦のプログラムがあります。説明のために領事館の担当者にも来ていただいたので、そこそこ大きな会になりました。新入生を含め30人くらいが参加し、熱心に説明を聞き、質問をしていました。このとき、新入生にはひらがな・カタカナの宿題を渡し、しばらく自習をしてもらうことにしました。

とはいえ、日本語に触れる機会をなるべく提供したいので、正式な授業ではないのですが、レベル別の課外活動を月末に行ないました。中上級向けの活動は、留学プログラムの試験を受ける学生が多く参加したので、テスト対策のようなものになりました。初級向けの活動では、今までの復習の他に、自分が思う「今年の漢字」を書いてもらいました。「食」と書いた学生がいたのですが、彼女はダイエットをがんばりたいそうです。食を楽しむわけではないところが、面白い発想ですね。また、入門(新入生)向けの活動には6人の参加者がいてほっとしました。みんなしっかり自習しているようで、ひらがな・カタカナの確認をしたら、だいたい答えられていました。

こういった課外活動はどこまで行なってよいのか難しいところがあります。遠くに住んでいる学生はどうしても参加しにくいですし、構内に人が少ないときはセキュリティに不安がある可能性もあります。でも、様子を見ながらできる限り定期的に活動できればと考えています。

一方で、他の高校でも日本語教育を行なう話はうまく進み、来月からCEFETという国立高校で新たに日本語コースを開講することになりました。州立大学の付属校とはまた違う雰囲気の生徒たちらしいので、どんな授業になるか、楽しみにしています。

1月 活動日誌

2017年1月
リオ・デ・ジャネイロ州立大学日本語教育コーディネーター
木林 理恵

リオ・デ・ジャネイロ州立大学は、1月17日(火)に後期入学の新入生を迎えました(今学期は、2016年度の後期にあたります)。上級生の中には、合格者名簿から新入生のfacebookを探して連絡をとり、参考書は何を買った方がいいとか、アドバイスをしてくれている人もいるそうです。

一方で、州と大学が抱える諸問題があり、授業開始は2月からに延期されました。ただし、この延期期間にワークショップや講演会といったイベントを開くことになり、日本語科でも1月27日(金)に「Japonês Básico em 50 minutos」(50分で覚える日本語の基礎)というワークショップを行いました。

周知期間が短かったので、どのくらいの人が来るかドキドキしていましたが、当日は70人以上の参加者があり、大盛況でした。人数が多いためひとりひとりに発話してもらうことはできず、簡単な日本語をとにかく繰り返したくさん聞いてもらいました。扱ったのは、あいさつ、「私は(名前)です」「好きです・嫌いです」の3つです。野菜や果物、アニメのキャラクターや俳優を見せて「好きですか」「嫌いですか」と質問し、手を挙げてもらうことにしました。ワンピースのような人気のあるアニメは、好きな人も嫌いな人も大勢いて、なかなか面白かったです。最後はひらがなシートを使ってビンゴを行い、楽しく終わることができました。

参加者が多かったこともあり、今後も同様の企画を検討しています。次回は、参加者がたくさん発話するようにできればと思います。

2017年1月27日(金)開催 ワークショップ 「Japonês Básico em 50 minutos」(50分で覚える日本語の基礎)参加者

12月 活動日誌

2016年12月
リオ・デ・ジャネイロ州立大学日本語教育コーディネーター
木林 理恵

付属校での最後の授業に、NHKラジオの方が取材に来ることになりました。教材として使っている「NHKやさしい日本語」の特別番組を年末に放送する予定だそうです。この来訪に合わせて、スキットの発表会や、今まで勉強した日本語を使って楽しく遊ぶゲームを準備していましたが、そうはうまくいきませんでした。まず、月曜クラスは、12日(月)が24時間限定ストライキの実施日になり、最後の授業ができなくなってしまったのです。そして、木曜クラスは8日(木)が最後でしたが、その日の昼に銃撃事件が起こり、校長が生徒たちに早く帰るよう指示を出していました。そのため、日本語授業の出席者も少なく、通常は2時間の授業を1時間で切り上げることにしました。ただ、少ない時間でも、今までの内容を復習し、楽しくスキットを演じることができたのは良かったです。生徒たちの感想は、NHKワールド「ラジオ日本」の特集で12月26日に放送されました。
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/pt/radio/japanese/201612150600/

また、今月は、新たに日本語コースを始める場所として、CEFETという学校を訪問しました。CEFETは、国立の理系高校と聞いていたのですが、実際に訪問して話を伺うと、大学レベルのコースもある大きな学校だとのこと。国際的なことに関するアンテナをはっているようで、日本語授業を行いたいという話を前向きに受け入れていただきました。今後、実現に向けて動いていくことになると思います。

11月 活動日誌

2016年11月
リオ・デ・ジャネイロ州立大学日本語教育コーディネーター
木林 理恵

リオ・デ・ジャネイロ州立大学GJOの活動の軸として、中等教育での日本語授業の実施があります。大学入学以前の生徒たちに日本語教育を行うことは、州立大学の日本語科で長年考えられ、試されてきたことでした。先月から、州立大学の付属校(CAp UERJ)で日本語の授業を始めることができましたが、今月はさらに、一カ所だけでなく複数の学校で日本語の授業を実施できないかを探りました。幸い、別の高校にも話を持って行く道筋が見つかり、その打ち合わせのために、モデルとなる日本語コースの作成や、訪問日の調整を行いました。

付属校(CAp UERJ)の授業は、現在、1クラスにつき週一回だけですが、だんだん言葉を覚えてきたせいか、生徒たちは積極的に日本語を話し始め、スキットの役割練習を進んでやるようになりました。

また、今月、州立大学では、様々な事情から、一日限定、あるいは半日だけといった単発的なストライキがしばしば行われました。ストライキのときは、基本的に、大学の授業はありません。しかし、日本語科の先生方と相談し、ストライキの有無にかかわらず、GJOでの授業は行うことにしました。この地域ならではの複雑な事情はありますが、日本語を学びたいという学生さんたちを可能な限りサポートできればと思います。

カンピナス(ブラジル)で開催された日本留学フェアに参加しました

2016年11月23日(水)、本学はブラジル・サンパウロ州にあるカンピナス州立大学で開催された日本留学フェア(主催:筑波大学)に参加し、本学への留学プログラムの説明と本学がリオ・デ・ジャネイロ州立大学(以下「リオ州立大学」)内に設置するGlobal Japan Office(GJO)の活動紹介を行いました。同オフィスは、日本研究・日本語教育の実施拠点として、ブラジル全体におけるネットワーク拠点の役割を果たすために、2016年3月に開設されました。本学は同留学フェアにおける全体説明会のトップバッターとしてプレゼンを行いました。参加大学6校中、唯一ポルトガル語で行ったこともあり、参加学生にとってわかりやすくインパクトのあるプレゼンになりました。また、本学のプレゼンの中で最も注目を集めたのは、本学が実施する大学の世界展開力強化事業(中南米)「日本と中南米が取組む地球的課題を解決する文理協働型人材養成プログラム(La-CEP)」でした。La-CEPとは、中南米諸国で取り組むべき地球規模の課題を解決するため、実践型グローバル人材を養成することを目的とするプログラムです。一ヶ月間の日本語・日本事情教育と日本企業等でのインターンシップが含まれ、月額80,000円の奨学金に加え、往復の渡航費も支給されます。我が国に留学したいけれども、金銭的な不安を抱える多くのブラジル人学生にとってはとても魅力的なプログラムに映ったようでした。その結果、午後に行われた個別相談会においては、予想を上回る多くの学生が来場し、本学ブースは大勢の学生で賑わい、終了時間ぎりぎりまで資料をもらいに来る学生や、説明を聞きに来る学生が後を絶ちませんでした。また、本学の留学促進マスコットキャラクターのトビタくんも大変な人気で、彼を目にした学生らは「Que bonitinho!(なんてかわいいの!)」と口を揃えて言っていました。

10月 活動日誌

2016年10月
リオ・デ・ジャネイロ州立大学日本語教育コーディネーター
木林 理恵

リオ・デ・ジャネイロ州立大学では、しばらくストライキが行われていたため、現在、大学のスケジュールが変則的になっています。例えば、12月に学期が終わった後は夏休みで、通常は3月から新学期が始まりますが、ストライキ期間中の空白を調整するべく、来期は少し早めに1月から学期が始まります。

州立大学の付属校で10月から予定していた日本語授業も、このストライキの影響を受けました。まずは高校生を対象に授業を、と考えていたのですが、高校のカリキュラムはいっぱいいっぱいで、生徒が課外授業を受ける余裕はなく、受講希望者があまり集まらなかったのです。そこで、対象を中学生に変えて希望者を募集し直し、20日(木)から授業を始めることになりました。現在、1クラス7人程度で、週1回の日本語授業を行っています。

州立大学には教職課程があり、奨学金を受けた学生が外国語を教えるというシステムがあります。この授業も、生徒に教えること自体は、教職課程に在籍する学生が担当しています。

9月 活動日誌

2016年9月
リオ・デ・ジャネイロ州立大学日本語教育コーディネーター
木林 理恵

日本人のコーディネーターは、9月下旬に、リオ・デ・ジャネイロ州立大学に赴任しました。

州立大学の日本語科の語学クラスは4つあり、初級前半、初級後半、中級、上級に分かれています(その他、外語大と同じように、文学や社会学、語源学等の授業があります)。また、これから新しく、付属高校で日本語の授業を開始します。そこで、9月は主に、①州立大学日本語科での補講授業、②付属高校での日本語プログラム、についての打ち合わせを行いました。

①については、各クラスの学生のレベルに合わせて、10月から会話の授業を行うことになりました。いくつかの授業を見学させていただきましたが、日本から遠く離れた場所で、接点も少なさそうな環境で、学生さんたちは頑張って勉強しているなあと感心しました。日本語の勉強をより楽しんでもらえるよう、努めたいと思います。②については、10月17日(月)からの開講に向けて、担当の先生方と大まかな授業の流れを決めたり教材研究をしたりしています。教材は、NHKの「やさしい日本語」のポルトガル語版(http://www.nhk.or.jp/lesson/portuguese/)を使用する予定です。高校生たちにも日本語や日本に興味を持ってもらえるよう、いろいろ工夫をしていきたいと思います。

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