【学長メッセージ】今年度、長期留学を予定している皆さんへ

2021.05.26

新型コロナウイルス感染症の拡大が続くなか、本学は、派遣留学を予定している皆さんに対して、
(1)派遣留学先の国・地域が日本からの入国を制限していないこと、
(2)派遣留学先協定校が留学生受け入れプログラムを実施していること、
(3)派遣留学先の国・地域の海外安全情報の危険レベル及び感染症危険レベルが共にレベル1以下であること、
以上3点を現地渡航の条件とし、その可否についてプログラム開始約3か月前に判断することとしています(→詳細 https://www.tufs.ac.jp/student/NEWS/study_abroad/210311_1.html)。また、派遣留学以外の休学留学・自由留学についてもこれに準じて判断をお願いしています。

日本国政府が、感染症危険レベルを世界全域でレベル3、またはレベル2と判断している中、事実上すべての留学がストップしています。5月中旬には、変異株の拡大の影響で、これまでレベル2であった複数の国がレベル3に引き上げられました。国内各地でも厳しい状況が続いています。人の自由な往来の復活にはまだ時間がかかると予測されます。しかしその一方で、ワクチン接種の進捗により、光も見えてきました。国外ではワクチン接種が進んだ結果、人の移動を再開させつつある国もありますし、国内でもワクチン接種が加速化しつつあります。

こうした状況の中、8月後半~9月にかけて始まる海外大学への派遣留学の可否を決める「3か月前」が迫っており、派遣留学予定者の皆さんの心配な思いに心が痛みます。残念ながら、ワクチン接種による事態の改善も、8月後半~9月の第一学期のための渡航までには難しいと判断せざるをえません。大学生の皆さんにワクチン接種の機会がまわってきても、1回目の接種から十分な抗体ができるまでには概ね6週間かかるためです。政府によるレベル引き下げの兆候もみえません。

しかしながら、2022年1月~2月に始まる海外大学の第二学期までには、少なくともワクチン接種の拡充による事態の改善は見込めるのではないかと考えています。このため、2022年1月以降の留学について、本学は、感染症危険レベルによらず、ワクチン接種の完了により留学の可否を決める方向で、要件の変更を予定しています。変更後の要件の骨子は以下の通りです。

(1)派遣留学先の国・地域が日本からの入国を制限していないこと[変更なし]

(2)派遣留学先協定校が留学生受け入れプログラムを実施していること[変更なし]

(3)ワクチン接種を済ませ、抗体のできるまでの期間を満了していること[新規]

(4)派遣留学先の国・地域の海外安全情報の危険レベルがレベル1以下であること(新型コロナウイルスを起因とする感染症危険レベルは問いません)[変更]

以上を踏まえ、現在、8月~9月からの派遣留学を予定されている皆さんには、当面は延期し、2022年1~2月から半年間の留学を選択肢として考えていただきたいと思います。秋からの留学に向け準備をされてきた皆さんに対し、こうした提案をすることは断腸の思いですが、「プログラム開始3か月前」の期限を迫る今、以上の見通しをもって準備をしていただきたいと思う次第です。なお、現地渡航の際の必要な手続きや書類については、改めてお知らせいたします。休学留学・自由留学の要件も、原則として上記の条件と同様とする予定です。

とはいえ、2022年1月からの留学についても、問題がないわけではありません。まず、派遣留学予定の多くの方が採用されている日本学生支援機構(JASSO)の奨学金については、現時点では支給要件に変更がなく、感染症危険レベル2以上の場合、支給されない見込みです。また、留学先の医療状況はさまざまであり、ワクチン接種を済ませたのちに渡航したとしても、変異株の状況などをみると不安は尽きません。現地の医療状況について十分に調査し、また、ご家族・保護者の方ともよく話し合ってご判断いただきたいと思います。

留学を夢見て、そのために準備をしてきた皆さんの思いは、痛いほどわかります。一刻も早い出発を願う気持ちは同じです。しかし、入国に際しワクチン接種証明を求める国は、今後増えていくとみられています。また、ワクチン未接種の場合、実際の感染への懸念も拭えません。どうか「来年1月からの留学」いう選択肢に向け、前向きに考えていただくようお願いする次第です。

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東京外国語大学長
林佳世子

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