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2026年3月 アーカイブ

2026年3月17日

生態学との対話(少しカタい話)

短い2月はあっと言う間に終わって、3月もなかばすぎである。この間にあったことで書いておきたいのが、「思想史と生態学の対話」、すなわち2月のなかば過ぎに(拙ブログとの関連では徳島出張の直後に)行われた小さな、しかしとても充実した研究会のことである。午前中は神戸市外大のO先生が字幕を入れたドキュメンタリー『なぜ新型ウィルスが次々と世界を襲うのか:パンデミックの生態学』(2022年、フランス、マリー=モニク・ロバン監督)を観て、午後は思想史研究者と生態学研究者が短い報告を重ねた。映画はたいへんに面白く(そして生態学者たちの評判も上々で)、午後の諸報告テーマは多岐にわたり時間は限られていたものの、かなり興味深い議論が交わされた。
事の起こりは昨年2025年10月の社会思想史学会のセッションで、数理生態学者リチャード・レヴィンズの仕事を思想史側が受け止める試みであった。これも小規模ながらなかなかに面白く、そのときに聞いてくださった方々ともう少しゆっくり話そうということになった。それで今度は生態学の専門家とご一緒に、となったのだ。すこしづつ歩みを進めて、いつか何かの形にできたらと願っている。

研究会報告の一つが、最近刊行されたばかりの『マングース・ヒストリー:ひとつの島を守るということ』(東京大学出版会、2026年)に関するものであった。CoverMangooseHistory.jpeg

人間社会の都合で外部から奄美大島に持ち込まれた「外来」のマングースが生態系を破壊するため、その根絶が何十年にもわたって取り組まれ、最近になってついに根絶に至ったという「世界的快挙!」(ー帯の文言)の話しなのだが、小著ながら考えるポイントが満載である。たとえば、マングース対策事業が事業仕分けにかかり、「根絶させたら失業するから根絶させないんでしょう」と対策事業の引き延ばしを勘繰られたというエピソードには、研究会での報告時にも報告者に共感して強い憤りを覚えたが、生態学の問題はそんな風にも人間社会や経済と分かちがたく結びついている。奄美や沖縄については、まったく別の観点から考えてきたが、生き物の視点から照らし返してみると、かなり違った景色が見えてきそうである。


2026年3月24日

いくつもの旅立ちを送る

「暑さ寒さも彼岸まで」をかろうじて保ってようやく春らしくなった先の連休、20日は外大の卒業式であった。桜は開花したもののあいにくのお天気。しかし華やかな晴れ着姿の卒業生たちは晴れやかに、学びの日々から旅立った。おめでとうございます。身体を大事に、自分の生を歩んでいかれたし!

翌日は高校時代の恩師の通夜。今月の初め頃から急に体調を崩され、あっという間に逝ってしまった。昨今は通夜といっても夜通しどころではなく、受付仕事やら何やらで忙しいうちに、これまたあっと言う間に終わってしまった。樺太生の95年間は、数々のことがらに立ち向かい抗い、書き続けた人生であった。先生ほんとうにお疲れ様でしたと思うばかりである。

その翌日は、現役のままに早逝した同僚の米谷匡史さんを「偲ぶ会」。企画者の一人としてささやかな会を準備したが、当日は150人近くの人びとが集い、20人ほどの方々が故人の横顔や思い出を語った。業績一覧を共有し、冒頭では仕事の全貌を整理した報告がなされ、研究仲間やゼミ出身者が数多く参加して、さながらご本人不在の最終講義のようだったが、現役ゼミ院生たちが音楽や写真で彩りを添えてくれた。たぶんご本人の魂(マブイ)が来てていますよねという、とある方のお話しに深く頷き、喜んでもらえたかなとひっそり願った。

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