日英通訳・翻訳実践プログラムの大学院生が同時通訳を実践
2026.07.29
2026年7月9日(木)の3限目に、日英通訳・翻訳実践プログラムの大学院生が、101教室の同時通訳ブースを使用して同時通訳の実習を行いました。
本実習は、逐次通訳の基礎を学ぶ「通訳基礎II」クラスとの合同形式で実施されました。大学院生は、学部生が行うプレゼンテーションに対して同時通訳を実践し、当日は大学院生と学部生合わせて14名が参加しました。
同時通訳を行った大学院生の新里大介さんと、プレゼンテーションと大学院生の同時通訳を聞く体験をした石若英美莉さんと林婧怡さんの感想を紹介します。
日英通訳・翻訳実践プログラム 博士前期課程2年 新里大介さん
101教室の同時通訳ブースを使って実習を行うのは初めてであったので本番の3週間前には通訳機材の使い方のリハーサルを行いました。実習本番当日は、学部生に関心のあるスポーツをテーマとして4分間のプレゼンテーションをしていただき、大学院生が同時通訳ブースを使って同時通訳を担当しました。
弓道、水泳、トライアスロンなど、多種多様なスポーツについての発表で、通訳者である私たちにとって馴染みのない競技もありました。そのため、事前に共有された資料を基に専門用語や固有名詞を十分に確認し、正確な訳出ができるよう準備を行いました。特に、剣道や弓道など日本発祥のスポーツには日本特有の概念が多く、英語で分かりやすく伝えるためには工夫が必要であり、難しさを感じました。一方で、昨年から一貫して取り組んできた「スピーカーの意図を分かりやすく伝える通訳」のスキルを実践する良い機会にもなりました。本番は緊張感もありましたが、学部生の皆さんが興味深く楽しいプレゼンテーションをしてくださったおかげで、終始良い雰囲気の中で実習に取り組むことができました。
今学期になってから今回が3回目の同時通訳実習でした。毎回の実習では、徹底した事前準備と振り返りを欠かさず行ってきました。その積み重ねの成果もあり、今回はこれまでの実習の中で最も良いパフォーマンスを発揮できたと感じています。今後も語彙や背景知識を継続的に身につけ、さまざまな分野の発表にも柔軟に対応できるよう努めていきたいと思います。秋学期にも実習の機会があれば、今回得られた経験を活かし、さらに質の高い同時通訳を目指していきたいと思います。
言語文化学部 中国語/東アジア地域専攻3年 石若英美莉さん
今回は、学部生の日本語によるプレゼンテーションにおいて、大学院生の方に英語での同時通訳を担当していただきました。事前の打ち合わせでは、共有すべき情報を明確にご指示いただき、不明点も詳細に確認してくださったため、本番は安心して同時通訳をお任せすることができました。発表テーマは関心のあるスポーツの魅力紹介でしたが、スポーツの専門用語や、組織の英語での正式名称など、訳出が難しいものに関しても瞬間的に訳出をされており、大変驚きました。また、必要に応じて用語の補足説明を加えつつ、直訳ではなく英語として自然に聞こえる訳出もしてくださりました。事前のリサーチやクイックレスポンスの練習など、入念な準備を重ねてこられたことが強く伝わってきました。さらに、本番前にはオーディエンス用の同時通訳機材の音量チェックを行い、適切な声量を確認してくださっていたおかげで、目立った音声トラブルもありませんでした。1人で連続して5、6人分の発表を担当され、負担もかなり大きかったと思われますが、最後まで集中を切らさずにやり遂げられており、深く感銘を受けました。
言語文化学部中国語/東アジア地域専攻3年 林婧怡さん
今回の授業で特に印象に残ったのは、スライドが切り替わった後も、前の内容の訳を最後まで丁寧に訳出しながら、同時に次の発話も聞き漏らすことなく通訳できていた点です。同時通訳では、話し手の発話を聞き続けながら訳出も行わなければならないため、高い集中力と処理能力が求められることを改めて実感しました。また、日本語では一文が長くなっている箇所でも、英語では適切な位置で文を区切り、nevertheless などの接続語を効果的に用いて自然で分かりやすい英語にまとめていた点も印象的でした。日本語の文構造に引きずられることなく、英語として聞きやすい形に組み立て直す技術の大切さを学ぶことができました。さらに、前回の練習では「p」のような破裂音で声が強く聞こえ、少し驚く場面もありましたが、今回はそのようなことはなく、声量や話し方が終始安定していて、とても聞き取りやすかったです。一方で、少し気になる点も残りました。「ご清聴ありがとうございました」のような締めの表現が訳されていなかったことや、「SAJ」という略称が「SHJ」のように聞こえてしまうようなことがありました。また、「ロシア」という国名を言い直す場面があり、その間に少し時間を使ってしまっていたため、言い直しを最小限に抑えることも同時通訳では重要だと学びました。今回の授業を通して、同時通訳では正確に訳すことだけでなく、情報の取捨選択や文の組み立て、声の出し方など、さまざまな要素を同時に意識する必要があることを改めて学ぶことができました。