大学院日英通訳・翻訳実践プログラムの大学院生が遠隔同時通訳を実践

2026.07.07

2026年6月30日(火)の1限目に、日英通訳・翻訳実践プログラムの大学院生が、学部生向けにオンラインで開講されている通訳概論クラスにおいて、Zoomの通訳機能を使用した遠隔同時通訳の実演を行いました。遠隔同時通訳の実演後は、学部生から大学院生への質疑応答の時間が設けられ、授業終了後に振り返りができるように録画情報の共有も行われました。当日の参加者70名の中から、遠隔同時通訳を担当した大学院生の木村颯人さんと、遠隔同時通訳を聞く体験をした学部生の平野綾音さん、鈴木そらさん、高田あかりさんの感想を紹介します。

大学院日英通訳・翻訳実践プログラム 博士前期課程2年 木村颯人さん

本実習の形式として、実習本番2週間前の通訳概論の授業に院生が参加し、受講生の中から合計6名のスピーカーを募りました。それぞれのスピーカーにはおよそ3分間の自己紹介を準備してもらい、Zoomの通訳機能を用いて院生が日本語から英語に通訳するものでした。各スピーカーの学部生との事前の情報共有を経て、固有名詞や表現の方法、アウトラインの確認などの準備を行いました。本番開始直前には最終打ち合わせのブリーフィングを行なって本番に臨みました。
通訳付きのプレゼンテーションという初めての経験から、スピーカーの学生は少し戸惑っていましたが、無事全員の遠隔同時通訳を行うことができました。院生の私たちにとっても慣れない環境でしたが、新鮮な経験ができました。今回の演習をしっかりと振り返り、いただいたフィードバックをもとに、今後の通訳スキル向上に向けて訓練を重ねてまいります。

言語文化学部 カンボジア語/東南アジア地域専攻2年 平野綾音さん

今回の授業では、院生による遠隔同時通訳を聞き、高度な通訳技術に触れることで、非常に貴重な経験となり、多くの学びを得ることができました。特に印象に残ったのは、事前のブリーフィングでは話の大まかな内容ではなく、トークポイントだけでは分かりにくい細かな内容や話し手の意図について確認していたことです。通訳者はわからない単語をその場で質問するのではなく、自分で調べられることは事前に調べた上で、本当に必要な情報だけを確認しており、効率的な準備の大切さを実感しました。また、話し手のスピードが速くても焦ることなく落ち着いて通訳を続けており、仮に言い間違えた場合も“Sorry”と一言添えてすぐに立て直していた姿が印象的でした。このことから、完璧を目指すだけでなく、冷静に対応する姿勢も通訳者には必要な能力であると感じました。一方で、話し手も事前に通訳者から質問された内容を意識し、分かりにくい部分を本番のスピーチで補足していたことから、通訳は話し手と通訳者が協力して作り上げるものだということを改めて実感しました。今回学んだ内容を忘れず、自身の表現力や対応力も磨いていきたいと思います。

言語文化学部 スペイン語/イベリア・ラテンアメリカ地域専攻2年 鈴木そらさん

院生の木村さんに私の自己紹介を同時通訳して頂きました。当日は、スピーカー側は同時通訳の音声が聞こえないため、後日録画にて自分の話がどのように訳されていたのかを聞きました。まず驚いたのは、私が話し始めた少し後から訳を話し出すのに、私が次のトピックに移る直前あるいは移ってからすぐくらいまでには訳を終えていたことです。事前に共有した資料にない、本番で付け足した要素もしっかり訳に入っていて、訳を話しつつも耳ではスピーカーが今話している事を聞き逃さず、聞き取ったことをまた訳していく、というマルチタスクを流れるようにこなしてしていらっしゃるのが本当にすごいと思いました。また、他のスピーカーの同時通訳を聞いていて気が付いたのは、訳を話す際、事前資料や単語リストに目を落とす瞬間があっても、ほぼ常にスピーカーの表情を見ていたことです。私は自分で通訳実践をした際、正しく訳すことに意識が向きすぎて事前資料を注視してしまうことが多く、スピーカーの表情や仕草を無視していることが多かったので、今回の気づきはとても参考になりました。今回はそうした機会が無かったので、今度もしまた院生の方とお話できれば、私が苦手なメモ取りのコツをお聞きしてみたいと思いました。

言語文化学部 ロシア語/ロシア地域専攻2年 高田あかりさん

遠隔同時通訳という日常生活ではあまり見ることのない通訳形態を体験することができとても貴重な勉強の機会になりました。ブリーフィング内容も聞くことができたことも大きな学びでした。ブリーフィングでは自分が想像していた以上に深い話し合いが行われており、単純な訳語の確認ではなくトークポイントを掘り下げながら具体的な内容や話全体の流れを確認することで、話者の意図を正確にくみ取ろうとしているところが印象的でした。そこから通訳者の責任感や使命感を強く感じました。 また、このような質問は十分な事前準備ができているからこそ可能になるものであり、通訳者には高い専門性が求められることを実感しました。事前準備やクイックレスポンスなどを通して通訳技術を磨くことに加えて、当日のブリーフィングを通してスピーカーの意図や話の流れを正確に把握し、訳出内容の質をさらに高めていくことが質の高い通訳につながるのだと感じました。

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