TUFS Cinemaと連携で大学院日英通訳・翻訳実践プログラムの大学院生が同時通訳を担当

2025.07.25

2025年7月14日(月)、アゴラ・グローバルプロメテウス・ホールで開催された TUFS Cinemaとの連携企画として、大学院日英通訳・翻訳実践プログラムの学生による同時通訳実習が行われました。 今回は、同時通訳を担当した大学院生のひとり、山口紗和さんによるレポートをご紹介します。

大学院日英通訳・翻訳実践プログラム博士前期課程2年 山口紗和さん

この度は、7月14日に行われたTUFS Cinema『フェミニスト・インシャッラー:アラブ・フェミニズムの歴史を語る』にて、上映後の解説、パネルディスカッション、質疑応答の同時通訳を行いました。一般公開されている場での通訳実習は初めてであったため、クラスメイトや先生方と緊密に連携し、今まで以上に気を引き締めて当日に臨みました。実習を通して得た学びは主に3点あります。1点目は、事前準備の重要性です。常日頃の講義でも先生方から教わっているように、入念な準備なくして当日に最大限のパフォーマンスを発揮することはできません。そこで、単語リストの作成や、登壇される先生方からご共有いただいた資料の読み込み、映画を事前に視聴して重要だと思った箇所を通訳者同士で共有するなど、思いつく限りの対策を講じました。その結果、予習が上手くいった部分に関してはほぼ正確に、落ち着いて訳出することができました。2点目は、臨機応変に対応することの難しさです。パネルディスカッションでは、スピーカーがアドリブで話す中、ブリーフィング時に得た情報を頼りに、専門性の高い内容を訳出し続ける必要がありました。時には、抽象度が高く、日本語で発話されても話の幹を捉えることが困難な場面もありました。しかしながら、完全に訳出が止まってしまうと、オーディエンスに不安を与えてしまうことになり、自分でもどこから通訳を再開すればよいのか、タイミングが掴めなくなってしまいます。聞き取れて意味が把握できた部分から、綺麗な文章にまとめ切れなかったとしても、反射的に訳出し続ける瞬発力が不可欠であることを改めて痛感しました。3点目は、自力で訳出に取り組む箇所とパートナーの通訳者に協力を求める箇所のバランスを取ることです。例えば、私自身が通訳を担当している際、対応する訳語が分からず、訳出の流れが止まってしまった場面がありました。その際、パートナーの通訳者がメモを出してくれたのですが、書かれた内容を上手く読み取ることができず、結果的にパラグラフごと訳出が抜けてしまいました。何度も出てくるキーワードであれば、英語の頭文字で略記するなど、メモの法則を通訳者間で話して決めておくこともできたと思います。あるいは、メモを頼りにする頻度を減らし、リスニングと内容把握に集中した方が適切であったかもしれません。今回の実習で得た収穫と反省を糧に、次回以降の実習ではよりパフォーマンスを向上させられるよう、日々努力を積み重ねていきたいと思います。

参照:
TUFS Cinemaウェブサイト 
本イベント情報 

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