組織再編構想案

 

2000年2月28日

提案者:高橋(正)

 

T.基本的な発想

1.多数の言語、文化、地域に関する研究教育を行っていることにこそ外大の存在理由と意味がある。現在の26専攻語を尊重すべきである。

2.ディシプリンの名の下に3学部に分割することで、言語・文学(文化)・地域研究の間に画然と区分線を引いてしまっていいか。むしろ、三者の柔軟な連携関係をこそ重視すべきではないか。

3.各専攻語の「適正な」学生定員を事前にかつ不変的に固定化することは不合理である。

 

U.提案の骨子

1.単一学部制+日本語館

地域文化学部の単一学部と日本語館から構成されるものとする。学部の学生定員は検討課題とする。

2.入学試験は学部全体の大枠で行う

現行の専攻語別選抜を廃止して学部全体の大枠で行うものとし、新入生は入学後に「選択語」(仮称)を選択する。

3.学部前期:「選択語」によるクラス編成

学部前期は「選択語」によるクラス分けを行う。(ただし「選択語」の選択時期とクラス編成時期、ならびに1クラスの上限人数は検討課題とする。)

4.学部後期:コース選択

学部後期は言語・情報、総合文化、地域・国際の現コースに加え、修士1年を含む「高度職業人専門教育」(仮称)コースを新設する。

5.教官配置

基本原則として、「選択語」の教官定員基礎単位は、言語・情報、総合文化、地域研究の専任教官3名と外国人教師1名の計4名から構成される。ただ状況に応じて柔軟に対応する。

6.カリキュラム編成 語学以外のカリキュラム編成については、基本方針決定後に検討すればよい。

 

概念図

V.基本設計

1.言語教育

1.英語と「選択語」の必修

(a)英語、(b)「選択語」(現在の専攻語)を必修とする。英米語は (a) に一本化し、「選択語」には含めない。その他に、選択制の「副選択語」(現在の副専攻語にあたる)を設ける。

2.英語

英語の授業には(a)英語による授業、(b)英語教材を用いた授業(授業は日本語による場合あり。現在の前期英米専攻語の多くがここに移行することとなろう)の2種類を設ける。これにより英語教育の充実、FJ共学の実現が本格的に可能となる。

3.「選択語」(地域文化学部)

(1) 学部に入学した学生は「選択語」を決める。決定の時期をいつとするかは今後の検討課題とする(10月からの可能性も含めて)。

(2) 各「選択語」の1クラスサイズはとりあえず30名(あるいは20名? 最終的な人数は今後検討課題する)とする。選択希望者がそれ以上の場合にはさらにもう1クラス設ける。

(3) 「選択語」は1、2年生とも6コマとする。(現行の専攻語と同じコマ数)

4.「副選択語」

現在の副専攻語、研究言語にあたるもので、選択制とする。(現行と変化なし)

 

2.「選択語」教官の配置(地域文化学部)

1.各「選択語」は、言語1、文学1、地域研究1人の専任教官と外国人教師1人をもって1単位とする。(ただ、言語、地域によっては、教官が複数となる場合もありうる)。

2.当面「選択語」は24言語とするが(現在の26専攻語から英語、日本語が減となる)、将来的には拡充の可能性も考える。

 

3.選択語専任教官(現在の専攻語所属教官)の選択語持ちコマ数(地域文化学部)

専任教官は1、2年生の「選択語」の授業をそれぞれ最低2コマもつものとする。残りの6コマについては非常勤講師(2コマ)と外国人教師(4コマ)が担当する。

 

4.学部後期課程(地域文化学部)

1.地域文化学部の学生は3年時以降、専攻コース(あるいは学科)に所属する。

2.専攻コースは現行の3コースに加えて、3年制(学部後期2年プラス大学院1年)の高度職業人専門教育コースを新たに設ける。

3.コース(学科)の定員をあらかじめ固定的に決めるか否かについては今後の検討課題とする。

 

5.それ以外の教官定員配置

1.「選択語」の選択学生数に対応して「選択語」教官を配置する。これについては学生の履修状況との関係で数年ごとに見直しを行う。

2.「選択語」に所属しない教官については全学的観点と各コースの観点から検討する。定年退官や辞職の場合には機械的に後任を採ることをせず、その都度、配置を検討する。

 

W.本構想案のメリット

1.この構想の下で、「学部・大学院一貫制に伴う組織再編検討結果」の合意事項はすべて実現できる。またこれまで議論されてきた問題(学生定員、大学院との連携強化、一貫制導入、英語教育、外国人教師の配置、社会人教育、卒業研究と指導教官制のFJ教育、日本語研究教育の拠点化など)もすべて無理のない形で実現できる。

2.大学院の再編、大学院との一貫制に柔軟に対応できる。

3.95年改革を踏まえつつ、その限界面(曖昧な課程制、硬直的なコース制など)を無理のない形で克服していける。

4.対外的に外大像が明確となる。

 

X.本構想の問題点

1.「選択語」間での選択者数のアンバランスにどう対応するか。 → いろいろか対応が可能だろうが、たとえば、選択希望者が多数であってもクラス数は2クラスを限度とするなどして上限を決めるというのも一案であろう。その際、志望者数が上限を越えた場合には成績順とする。何の成績によるとするか(入試成績か、あるいは1学期の成績か)は、「選択語」クラス編成時期とも併せて検討課題とする。

2.「選択語」によっては、きわめて少数の選択者しかいない場合も十分考えられる。 → その際には教官の負担率が不平等となるが、これは認める。ただし、社会人教育、大学院教育へのシフトによって不平等をある程度減少させることができるのではないか。

3.教官の現行配置が、上記原則に基づく配置へと切り替わるにはかなりの移行期間を要することとなる。

4.入学以前に志望言語が決まっている学生が入学後の選択過程で排除される可能性はないか。 → 現在の入学者の中で明確な問題意識や関心からその言語を志望した者が多数だとは思えない。また、上限の設定の仕方によって、現在の少数「語科」の場合、改編後の人数は現定員よりもむしろ増える可能性がある。