ラテンアメリカ関係新刊書案内

 

ラテンアメリカに関する近刊書を中心に紹介します。紹介文は主として、小生宛に送られてきたメールからの転載です。それぞれの項目の最後に送信者の名前を入れてあります。どなたでも、紹介したい本がありましたら、小生宛にメールで紹介文をお送りください。このページに掲載いたします。

 

◆『グアテマラ 虐殺の記憶 −真実と和解を求めて−』(岩波書店刊行)

何十年にも及んだ恐怖支配の間、犠牲者は沈黙を強いられ、残された者同士で恐怖 や離別の悲しみを分かち合うことも、真相を訴えて責任者を告発することも禁じられ てきた。政治暴力は個人を傷つけ、社会を破壊しただけでなく、一人一人が感情を表 して自らの経験を語る権利をも奪い続けてきたのである。

2800円(本体)+税 岩波書店 10月27日刊行 下記に注文の場合は金額は2800円のみ。(送料含む)

グアテマラ・平和と和解キャンペーン

(カトリック正平協気付け 電話:03‐5632‐4444)

郵便振替口座 00100‐4‐137051 グアテマラ・プロジェクト

 

◆「そんりさ」 61号  (日本ラテンアメリカ協力ネットワーク機関誌)

全20ページ(表紙・裏表紙含む) ¥400.−(送料含む)

「グアテマラ活動報告・コナビグア(連れあいを奪われた女性たちの会)」3ページ

「グアテマラにおける識字教育の現状」5ページ

「映画『ボリビア・ウカマウ集団』案内」2ページ

「メキシコ旅日記 第4回(最終回)」4ページ 和田佳浦(レコム会員)

「メスカルの王国 インディへナの王国 第7回」2ページ 翻訳 グアテマラの民 話

注文先:日本ラテンアメリカ協力ネットワーク(レコム) recom@jca.apc.org (T/F03−3222−0433)

 

◆鈴木慎一郎『レゲエ・トレイン ディアスポラの響き』

青土社、 2000年、2400円、ハードカバー

レゲエをつうじて語られるジャマイカ、カリブ海地域の文化政治。著 者は、文化人類学、カリブ海文化論専攻の新進の研究者。(寺本)

 

◆『総特集 現代思想のキーワード』(『現代思想』臨時増刊2000 vol.28-3)

青土社、2000年、1143円、ペーパーバック

大項目として、公共圏、カルチュラル・スタディーズ、ポストコロニ アル批評、フェミニズム、システム、化学論/生命論が立っている。デ ィアスポラ、クレオール、多文化主義など、焦眉のテーマがひとりの執 筆者によって整理されている。つまり、整理のしかたは論者ごとに違う というわけだ。格好よく描くのもいいが、わかりにくくなってしまって は用語解説の効果・意味が損なわれてしまうと思うのだが。しかし「こ れが最前線である」という自負がうかがえて好ましくはある。 (寺本)

 

◆加藤恒彦/北島義信/山本伸編『世界の黒人文学 アフリカ・カリブ ・アメリカ』

鷹書房弓プレス、2000年、2900円、ハードカバー

文学専攻の学生むけテキスト。横組。構成は、3地域の概論、主要作 品解説、研究への助言、参考資料からなる。山本伸によるカリブ黒人文 学概論がうまく整理されており必読。作家としては、バルバドスのジョ ージ・ラミング、トリニダードトバゴのアール・ラブレイス、ジャマイ カのアーナ・ブロッバーとオリーブ・シニア、セント・キッツのキャリ ル・フィリップ、ハイチのエドウィージ・ダンティカ。アフリカ、アメ リカの部分も面白い。(寺本)

 

◆増田義郎/山田睦男編 『ラテンアメリカ史T メキシコ・中央 アメリカ・カリブ海』(新版世界各国史25)

山川出版社、1999 年、3500円、ハードカバー

おなじみ山川の各国史シリーズの改訂版。編者のスタンスは 相変わらずの「鳥の眼=国家史観」であるが、貴重な文献であ りつづけている。19世紀以降の中央アメリカ・カリブ海地域を 担当した志柿光浩氏の部分が新味。索引・年表・参考文献・歴 代元首一覧・用語解説など、付録はとても充実している。 (寺本)

 

◆新藤通弘 『現代キューバ経済史 90年代経済改革の光と影』

大村書店、2000年、2600円、ペーパーバック

軽装だが、内容は詳細にわたるキューバ経済の専門書。キュ ーバにシンパシーを置いた視点で描かれている。米国情報に偏 向する国際経済学者が読むべき一冊。(寺本)

 

◆『グアテマラ 虐殺の記憶 −真実と和解を求めて−』

2800円(本体)+税 岩波書店  10月27日刊行

<何十年にも及んだ恐怖支配の間、犠牲者は沈黙を強いられ、残された者同士で恐怖 や離別の悲しみを分かち合うことも、真相を訴えて責任者を告発することも禁じられ てきた。政治暴力は個人を傷つけ、社会を破壊しただけでなく、一人一人が感情を表 して自らの経験を語る権利をも奪い続けてきたのである。>

36年間におよぶ政府軍とゲリラによる内戦で、死者・行方不明者20万人以上、国内外 避難民100万人以上という犠牲を出した中米・グアテマラ。この暴力を二度と繰り返 さないため、まず真実を知らなければならない、としてグアテマラ・カトリック教会 が「歴史的記憶の回復(レミー)プロジェクト」を開始しました。

和解推進者(アニマドーレス)をコミュニティの中から育成し、彼らを通じて証言を 集めるという画期的な手法が用いられました。犠牲者が自らの生身の経験をアニマ ドーレスに語ることを通して、一人一人が恐怖を克服し、尊厳を回復するための支援 を行った他、証言を集める過程そのものが、暴力によって破壊された社会の再建に貢 献するものでもありました。3年間をかけて6500件の証言が集められ、報告書が1998 年4月刊行された。ここで初めて、被害者のほとんどは非武装の市民、特にマヤ先住 民族であったこと、そして人権侵害のほとんども軍と準軍事組織による体系的なもの であったことが、公にされたのです。

報告書は証言をした人びとの生の声を最大限生 かすように工夫されており、暴力の根源と経緯、国家の組織的暴力の解明、ふつうの 人々を殺人マシーンに作り替えてしまう洗脳と訓練の詳細なども分析されています。

レミーの精神に共感したグループが、その活動を日本に紹介するため、そして「グア テマラ・平和と和解キャンペーン」を組織しまし。その活動の一環として報告書の日 本語版に協力しましたが、それがこのたび『グアテマラ 虐殺の記憶 ―真実と和解 を求めて−』として岩波書店から刊行される運びとなりました。

世界各国、地域での内戦や軍事紛争下における人権侵害の真相究明報告書はこれまで にいくつも刊行されていますが、『グアテマラ 虐殺の記憶』は日本語で簡便に読め る初めてのものであり、その意味はとりわけ大きなものです。また、歴史論争の鍵と なる<記憶の回復>や、<和解>、<赦し>について考えることは、日本の私たちに とっても非常に重要なことで、その意味でも『グアテマラ 虐殺の記憶』経験から学 ぶことは多くあるでしょう。 (梅村)

 

下記に注文の場合は金額は2800円のみ。(送料含む)

グアテマラ・平和と和解キャンペーン(カトリック正平協気付け 電話 03‐5632‐4444)

郵便振替口座 00100‐4‐137051 グアテマラ・プロジェクト

 

■「そんりさ」

日本ラテンアメリカ協力ネットワーク(RECOM)から 「そんりさ」58号が6月3日に発行されました。

1部 400円です。(送料含む)

「そんりさ」58号(全20ページ、表紙・裏表紙含む)

グアテマラ特集

「秘密墓地の発掘」 3ページ 石川智子(RECOM会員・グアテマラ在住)

「村の女性たちの活動」 4ページ 石川智子(RECOM会員・グアテマラ在住)

「コナビグア(つれあいを奪われた女性たちの会」 1ページ 石川智子(RECO M会員・グアテマラ在住)

「トドス・サントスの事件を考える」2ページ 青西靖夫(RECOM代表)

「抵抗の共同体」2ページ 太田裕之(「そんりさ」購読者)

「メキシコ旅日記」 4 ページ 和田佳浦(RECOM会員)

その他インフォメーション等 ご注文は下記へ

日本ラテンアメリカ協力ネットワーク 東京都千代田区三崎町2−13−5 影山ビル205 TEL/FAX 03−3222−0433 antonio@jca.apc.org