語学教育をどう行うか

2000年4月7日掲載

 

以下の案は、複数学部になった場合に地域・国際学部(仮称)においてどのように言語教育を行うかを考えて、2000年3月29日に開かれた地域・国際講座の組織改革検討グループの会議に提出した私案(試案)である。ただ、この会議ではほとんど議論されずに終わった。

なお、語学教育はあくまでも全学共通カリキュラムとして行うべきだとの意見も他方で強くある。それゆえ、本案はあくまでも一つの可能性として考えていただきたい。

 

 

T.英語を必修とし、英語教育を充実する。

英語の読解力、運用能力を身につけさせることがぜひとも必要である。

週何コマにするかは検討課題となるが、最低限3コマは必要ではなかろうか。また文献購読、表現演習、ディスカッションなど性格の異なった授業を組み合わせるべきであろう。

U.必修選択語を設ける

学部後期で国際関係論コースを選択する学生についてどうするかは検討課題であるが(必修とするか、必修とする場合はどのレベルまで要求するか)、地域研究のためには地域の言語の習得が必須である。

その場合、まずインテンシブ・メソッドにより文法を短期間で修得させ、その後ただちに新聞、文献、文学作品の購読に入る(地域研究への導入の意味も半ば兼ねて)ことがよいのではなかろうか。

V.必修選択語プログラムの運営方法

必修選択語の授業を全学運営プログラムとするか、学部独自で運営するか、がまず第一の論点となる。野間さんなどは全学運営プログラムには否定的であり、結局のところ、学部で独自に運営し言語文化学部(仮称)の教官の援助を要求することがもっとも現実的だと思う。

週何コマにするかが次の検討課題となる。学部独自で運営する場合には6コマはまず不可能であり、最大限5コマが限界であろう。ただ私案では以下のように4コマ(プラス自学自習1コマ)で考えてみた。

また履修年数をどうするかも検討課題である。現在と同じく2年(4セメスター)とするか、1年半(3セメスター)に短縮するか論議する必要があろう。

必修選択語の教育をいつ開始するかも検討しなければならない。入学後直ちに始めるのか、それともSFCのように入学後半年後とするか。この点は、必修選択語の選択をいつ、どのような形で行わせるかということと直接連関している。以下に示す私案では入学半年後としてみた。

W.必修選択語の担当コマ数

言語・情報と総合文化で1学部をつくることを認める代わりに、地域・国際での言語教育に講師を派遣することを絶対に要求すべきである(というより、この条件なしにはこの2学部案はのめない)。その場合、各学年(セメスターを単位とするならば各セメスター)の1セット週4コマのうち、1コマは外国人教師、もう1コマは言語文化学部からの応援によるものとする。つまり、地域・国際学部が(専任教官または非常勤講師によって)残りの2コマを担当することとなる。

X.事例

以上のような基本原則に立って、いくつかのケースを考えてみた。

まず下の図で説明しよう。

 

 

一番左の列の1から7までの数字は年である。2001年から2007年までと考えてもらってもいい。それより右の列では1年を半期(セメスター)ごとに区切っておいた。そこに太線で囲った4つの四角形が4つ並んでいるが、これは各年度入学の学生を示している。それぞれ4年間(8セメスター)となる。

それぞれの四角形は縦に4列づつからなっているが、これは必修選択語のコマ数である。つまり、各年(各セメスター)で何コマ開講する必要があるかは、それぞれの年(セメスター)の行にあるコマ数を数えればよい。

この図からも明らかなように、1コマの授業はセメスター単位だが、開始時は各セメスター毎ではなく1年毎となっている。というのも、セメスター毎に新たなサイクルを開くとすると各セメスターでの開講コマ数が最大で2倍となり、とうてい実現不可能であるからである。

このように設定すると、各セメスターでの開講必要コマ数は最大8コマとなる。その半分の4コマは外国人教師と言語文化学部の講師が担当するので、地域・国際で担当するのは4コマとなる。

言い換えれば、言語あたり2人の専任教官がいるならば、非常勤講師に依存しなくても12コマの担当となり、負担は現在と変わらない。

また1人の専任教官しかいない場合には2つの選択肢が考えられる。まず第1に、4コマのうち2コマを非常勤講師に依存する途がある。すべて専任で担当する場合には1年おきの開講とすれば負担は2コマとなる(下図参照)。

 

 

以上は履修年限を2年(4セメスター)とする場合だが、1年半(3セメスター)にした場合には、毎年開講のケースでは開講数2コマのセメスターと4コマのセメスターが交互に繰り返されることとなる。また1年おきのケースでは開講コマ数ゼロのセメスターと2コマのセメスターの繰り返しとなる。

なお、フランス語、ロシア語のように、「大専攻語」であるにもかかわらず地域・国際の教官が1人の場合には、言語文化学部から追加分の援助を要求すべきであろう。

なお以下の表は、履修年限を1年半(3セメスター)とした場合に考えられる各コマの授業内容である。

 

 

地域・国際の教官が担当

言語文化の教官

外国人教師

自学自習

1ユニット

文法

文法

文法

(作文)

表現演習

(外国人教師)

自学自習

第2ユニット

購読

(新聞)

購読

(歴史)

購読

(文学)

表現演習

(外国人教師)

自学自習

第3ユニット

購読

(新聞・文献)

購読(文献)

購読

(文学)

表現演習

(外国人教師)

自学自習