朝鮮語(韓国語)学習の推薦図書

−−人生の貴い時を共にする書物をめざして

 20 May 2010

●●入門のために
入門は最も重要である.なぜなら,そこで入門さえできない可能性があるからで,
優れた入門書により正しい入門をしなければならない.
正しい入門をしないと,労多くして,実り少ないということになりかねない.

発音無視,〈話す〉ことなど無視という教材はさておいて,
「会話」と銘打たれていても,その実,実際の会話がいかなるものかを
つぶさに研究して作られた教材など,ほとんどない.
例えば,書店で手にとって,次のことを見てみよう.

 
何かを聞かれて「え?」と聞き返すのは韓国語で何というのか?

「ネ?」(直訳すると「はい?」ほどの意)という一言が,
聞き返しの表現として,入門書の最初の方に位置づけられているだろうか?
聞き取れないのが初心者である.
こうしたデバイスは入門書にきちんと位置づけられていなければならない.
「**ですか」「はい**です」などと疑問文に応答文を並べれば
会話になると思っている本が世にはあまりに多い.
それは頭の中だけで作った「会話」である.
あるいは,

  
声をかけられて「私ですか?」と聞き返すのは何というのか?

「チョヨ?」(「チョ」は「私」,「ヨ」は聞き返しなどに用いる丁寧化のマーカー)でいいのだが,
こういう際に用いる
丁寧化の「ヨ」「イヨ」がきちんと位置づけられているだろうか?
索引で見てみるとよい.もっとも索引もないようではどうしようもないが.
こういう聞き返しに「チョエヨ?」とか「チョムニッカ」などと教えているのでは,
教材としては限りなく失格に近い.
「エヨ」や「(イ)ムニッカ」は〈指定詞〉と呼ばれる用言の活用形で,
ことばを単に丁寧にする丁寧化のマーカーとは役割が異なるものである.
日本語はいずれも「ですか」になってしまうので,いよいよ区別しにくいわけである.
実はこうした丁寧化の「ヨ」「イヨ」という形をきちんと位置づけている教材は,
日本と韓国を合わせても10冊もないのが実情である.
数百冊の韓国語入門書が市販されているのに,この惨状はなぜか?理由は簡単である.
これまでの韓国語文法論が,実際に〈話されたことば〉をきちんと見据えてこなかったからである.
(詳しくは拙論「「現代朝鮮語の丁寧化のマーカー-yo/-iyoについて」『朝鮮学報』第199輯・200輯合併号.pp.37-81.2006年7月.天理:朝鮮学会.
をごらんいただきたい.いわゆる「ヘヨ体」とこの丁寧化の-yo/iyoと区別がついていない本もあるほどである)

  
ほんとうに話すことを学ぶためには,
  実際に話すことを見据えて教材を作らなければならない.


たとえば〈あいづち〉などはどうだろう.

  
〈あいづち〉が〈あいづち〉としてきちんと示されているだろうか?

〈あいづち〉など,実際の会話に現れるさまざまなデバイスが,
教材に位置づけられていないのは無理もないことであった.
下記の多くの本の共著者でもある金珍娥(キム・ジナ)氏のように実際の会話を研究している研究者が
書いてこそ,そうしたデバイスが教材の中にきちんと位置づけられるのである.
こうした研究を談話研究というが,韓国語における談話研究はまだまだ出発点に過ぎないのである.

今ひとつ,次の点も重要である:

  
教材に示されている文は自然なのか?

こうした点は残念ながら初学者にはわからない.
ただし日本語訳を見てみると,ある程度はわかる.
「これは本ですか?−−はい,本です.」などとあったら,
そんな本はやめた方がいい.
学習者は貴重な青春をかけてことばを学ぼうとしている.あるいは残り少ない,
ほんとうに貴い人生の一こまかもしれない.
であれば,

  
学ぶ表現は自然な韓国語でなければならない.

貴重な時間を費やして学んだのに,そうは言わないとか,
初心者だからまあがまんして,とか,
日本語母語話者だから多少日本語的な韓国語でもいいことにしよう,
などというのは学習者に対する冒涜であり,ことばに対する冒涜でもある.

ここでは上のような点にかんがみて,自著が含まれているのでほんとうに恐縮ですが,
次のものを推薦書としてあげたいと思います:


●野間秀樹著・至福の朝鮮語 第2版
(朝日出版社.初版2007年4月,第2版2007年10月
『至福の朝鮮語』(朝日出版社.2000年)の改訂版.

独習書であり,かつ日本の様々な大学の授業で用いられている教科書でもある.
「2000年紀の知を読み,情を聞き,理を書き,恋を語る」という
類を見ないコンセプトで2000年に刊行されたとき,
朝鮮語の学習者のみならず他の言語の先生方からも
激賞をいただいた.
「恋を語る」教科書などかつてあっただろうかと.
教室は学習者が初めて感情を込めてことばで語りあう時間となったと言われた.
〈読み〉,〈書く〉だけでなく,〈聞き〉,〈話す〉ということを
韓国語教育の正面に位置づけ,
韓国語教材のありかたを根底から問い直さんとした学習書.
韓国語教材に「至福以前,至福以後」とまで言ってくださるかたもあった.
インターネットやEメールなどという単語や場面を最初に大々的に取り入れたのも本書である.
「私は東方神起とBoAがいいですね」などという会話も練習する.
全体が概ね1つのストーリーをなしているので,
表現がほのかなラブ・ストーリーと共に記憶に残る.
日本語と朝鮮語の漢字音対照表,韓国人の姓一覧など,
他ではなかなか見られない付録も.
文法をしっかり押さえつつ,実際の話しことばに肉迫した全く新しい古典

時代の息吹を呼吸しながら,時代と共に歩む絶えざるヴァージョンアップ,
2007年にはソウル現地録音により
CDまでが蘇った.


●野間秀樹・金珍娥著『ニューエクスプレス韓国語』(東京:白水社.2007年11月)

最も新しくコンパクトな韓国語独習用入門書.
『至福の朝鮮語』(朝日出版社.2000年)以来のノウハウをいかんなく盛り込んだ最新の独習書.
白水社の定評ある語学入門シリーズの1冊.
『新・至福の朝鮮語』や『はばたけ!韓国語』がキャンパスを舞台にしているのに対し,
この『ニューエクスプレス韓国語』の登場人物は,
一般の語学教室に通う人々,社会人,在日韓国人の家族などがクローズアップされている.
ペ・ヨンジュンにファンレターを書くなどという課まである.
第1課「私は服部マキです」から第18課「終講パーティ」まで.
「終講パーティ」とは,語学教室の打ち上げパーティのこと.
わずか160ページに韓国語のエッセンスがぴたりとおさまっている.
第10課までは本文にカタカナ発音が付してあるのも,
同じ著者の他の本にはない特長.もちろん単語欄には発音記号もあり.
ハングル表記の簡単な日本地図や,
漢字+カタカナ+ハングル表記の巻末の朝鮮半島の地図も便利.
CDは贅沢な5名のソウルことば話者によるドラマ仕立て.CDの試し聞きはこちら.第4課mp3.
中身のpdf見本はこちら.
jacket(表紙)はこちら.

●野間秀樹・村田寛・金珍娥著 『ぷち韓国語』
(東京:朝日出版社.2004年)

独習書でありながら,日本の様々な大学でも教科書として用いられている.
わかりやすさから,高等学校教科書としても採用されている.
会話文の登場人物は学生,高校生,社会人など多様.
いわゆる昔の教科書的な文は一切なし,実際の話しことばをこれでもかと研究してなった書である.

『至福の朝鮮語』の弟分だが,あいづちをはじめとする話しことばの表現への肉迫は兄貴分以上に
圧倒的に新しい!

ある大学の先生が,「この10年間,様々な教科書を使ってきた.
この〈ぷちかん〉で初めて学生が教室で生き生きと韓国語を話すことに出会った」と言ってくださった書.
ことばを標本ではなく,生きたことばとして学ぶ入門書.


●野間秀樹・村田寛・金珍娥著
『Campus Corean はばたけ!韓国語 第2版』
(東京:朝日出版社.初版2007年4月,第2版2008年3月)

今日望みうる最良の教室用教科書.
文法や表現についての解説は,図解を多用した,簡潔な説明となっており,
イントネーションを図示するなど,言語学と言語教育の最新の成果が盛り込まれている.
全体が1つのストーリーになっていて,表現を記憶するのに役立つ.
ストーリー同様,気鋭のイラストレータ小熊未央氏のイラストはほのかに甘酸っぱく,楽しい.
CDの録音はソウル現地録音で,プロの声優さんたちによる.
ああ,あの場面のあの表現だ,という具合に,表現という表現,単語という単語が,
素晴らしい発音と共に大脳に刻み込まれるだろう.
本に直接書き込める練習も多い.
練習問題に解答がない以外は,独習でも大いに活用できるだろう.

教室は本書で確実に変わる.

●野間秀樹・金珍娥・中島仁・須賀井義教著.illustration=ゆぜゆきこ
『きらきら韓国語』(東京:同学社.2010年6月刊行予定)






ストーリー漫画を軸に据えた韓国語学習書,最先端の進化形.
気鋭のイラストレーター・ゆぜゆきこ氏,渾身の韓国語漫画.
文法や表現の図解はあたりまえ,イントネーションを図示するなど,
本全体がヴィジュアル系,世界のどこにもなかった学習書となった.
易しい表現なのに,実に自然でリアルな会話が構成されることに驚くだろう.
易しく優しい,圧倒的に楽しい究極の韓国語テキスト
漫画で体験することばの場は,学習者の記憶に鮮明に焼き付く.
誰だ,授業中に漫画を読んでいるのは! おおお,いいね! さあ,皆で一緒に『きらきら韓国語』!
内容見本を見る

●●入門を終えたら
入門を終えたら,次に進む本は意外に少ない.次のものを!:


●野間秀樹・金珍娥著『Viva! 中級韓国語』
(朝日出版社.2004年)


中級韓国語学習の王道を行く.
機能別に表現を学ぶ.
中級くらいになると,「この形はこういう意味だ」とだけいくらやっても真の表現には届かない.
例えば単に「意志を表す」といっても,様々な表現がある.
本書はそうした「様々な意志」をわかりやすく学ぶことができる.
引用形の説明1つとっても類書にない斬新でわかりやすい解説に満ちている.
実際の話しことばの研究に立つ本書は実践的な表現が満載されていて,
必ず話せるようになり,書けるようになるだろう.
のみならず,ことわざ,故事成語まで,
書きことばにも肉迫.
様々な書評でも絶賛を浴びているCDの自然さもじっくりと楽しんでいただきたい.


●野間秀樹著.安垠姫(あん・うに),金恩愛(きむ・うね)執筆協力.
『絶妙のハングル』
(日本放送出版協会.2007年

NHKラジオハングル講座の応用編で,
視聴者の方々から圧倒的なお褒めを多々頂戴したシリーズを
1冊にまとめ,3枚のCDを付した.
巻末には「文法ミニ辞典」を新たに書き下ろした.

場面と表現の機能ごとにまとめたもので,
こういう場合は何というのかということを,これでもかと学ぶ.
自己紹介1つとってもこれだけの深さは類書を寄せ付けない.
電話1つとっても,決まり切った応対だけでなく,
相手が電車の中だったら,相手が来客中だったら…などなど,
千変万化の表現が学べる.→図を参照
最初はあいさつから,易しいところからだが,
なかなかどうして,あいさつといっても,奥は深い.
CD録音はNHK最強というべき,イー・ホンボク氏に,
安垠姫(あん・うに),金恩愛(きむ・うね)という若手の達者な面々で,
音もまた十分に楽しめる.
著者自ら録音の解説の声がいまいちなのはお許しください!

表紙はこちら

●●読み物として:初学者から教師まで

次の書は様々な意味で得るところが大.韓国語のこと,韓国語学習,韓国語教育のこと,そして韓国文化のことはまずこれにあたってみよう:


●野間秀樹編著.
『韓国語教育論講座』(くろしお出版.2007年)

現在第1巻と第4巻が既刊.もうすぐ第2巻が2010年に刊行.
それぞれおよそ30編の論考を擁する第1巻727ページ,第4巻817ページもある大著.
学術書であるが,一般書の性格も兼ね備えており,韓国語を深く知らなくとも読める論考も多い.
とりわけ第4巻はハングル文字を知らなくともほとんど読めるので,韓国語を知らない方もどうぞ!
第1巻拙著「試論:ことばを学ぶ根拠はどこに在るのか」(pp.1-50)は多くの方にごらんいただきたい.
第1巻の内容と執筆者はこちら.
第4巻の内容と執筆者はこちら.
ここで内容見本をどうぞ

●野間秀樹著.
『ハングルの誕生−−音(おん)から文字を創る』(平凡社新書.2010年5月15日)

奇跡の〈文字〉,その秘密に迫る。

平凡社の紹介ブログサイトへ:目次と前書きの一部が読めます

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このページでは朝鮮語を学ぶのに有益な文献,辞書などを紹介する.
以下は2004年に書かれたものである.
04 July 2004

●権在淑(クォン・チェスク)著『CDブック 表現が広がる これからの朝鮮語』(1998,三修社 http://www.sanshusha.co.jp/)
ISBN4-384-01472-4  \3000

正確な知識を得ながら効率よく入門するためには本書が日本で最良の書.コンパクトな中に必要な知識が要領よくまとめられている.例文が自然でかつ極めて実践的,有用性が高い.「あの方は駐在員でいらっしゃいますか?」を学ぶと,すぐに同じ構文で「明日は学校でいらっしゃいますか?(=学校に行くのか)」とか,「(飲食店で注文を尋ねる)先生はピビンパですか?」などという例文が挙げられているあたりは,朝鮮語と日本語の本質をいやでも分からせてくれる構成である.この本で文法と会話の両方が学べる.朝鮮語と日本語が見開きで対照されており,見やすい.例文はほとんどが対話文になっている.<語基>の考え方を用いた用言の活用についての解説のページと,発音の変化についてまとめたページはこれ以上のものは望めないほどよくまとまっている.全体は文法項目と表現意図の2つの柱を基準に単元が構成されている.発音は発音記号とカタカナを併記.単語集をかねた詳細な索引は,単語の用例集にもなる.意味分類別とカナダ順(朝鮮語のアルファベット順),文法索引の3種の索引がついている.本書ならハングル検定の4−5級は楽にクリアできる.短文が主なのでストーリーになったテキストがない点が惜しい.東京外国語大学,大正大学,上智大学などで教科書として使用.2色刷り.B6版.254ページ.CDつき.なお,CDのついていない旧版 『表現が広がる これからの朝鮮語』も内容は同一.表紙と内容は次を参照:
http://www.sanshusha.co.jp/sanshusha/books.nsf/WebISBN/ISBN4-384-01561-5
 

●菅野裕臣(かんのひろおみ)著『朝鮮語の入門』(1981,白水社)

腰を据えた学習と整理には必携の書.「入門」とうたっていはいるが,極めて本格的で独習にはやや難しい.ある程度学んだ人が整理するのにかえっていいかもしれない.金東仁(キム・ドンイン)の小説「赤い山」や三・一独立宣言文(1919年),独立新聞(1886年)の文章まで扱っており,これ1冊を最後まであげれば,相当な水準だと自負してよい.既習事項から未習事項へという原則が厳しく守られていて心地よい.文法的な諸形式を話し言葉と書き言葉という2つの軸できれいに整理してみせてくれる.朝鮮漢字音と日本漢字音の対照も整理されていて極めて有用.本書を文法書代わりに座右に置くのもよい.<これは牛だ><牛はこれだ>というような教科書的な例文がやや古い.また,1冊に多くの情報を詰め込んでいるので,個々の文法的な諸形式の意味や用法の説明は簡略に過ぎるという点が残念.学習者の多くが混乱をきたす用言の活用を,<語基>という考え方でわかりやすく整理してみせ,その後の朝鮮語学習や学習書に多大の影響を与えた.本書後の文法研究にも資するところが大きい.古典的名著.東京外国語大学朝鮮語専攻の中心的な教科書として代々使用されている.事項索引は3頁で貧弱だが,48頁分の朝鮮語−日本語語彙集が付いていて,そのうち文法的な諸形式だけにはページが付され,文法索引も兼ねている.単色刷り.B6版.カセットテープ(C60×2本)も別売されている. 残念ながら現在は出版社在庫切れで,改訂中だったが,ついに出た!

2007年3月,ついに本書には待ちに待った改訂版が出た.ISBN978-4-560-00637-5
菅野裕臣著.浜之上幸・権容m改訂.\3000.全304ページ.
前著の背骨は生かし,美しい表紙で生まれ変わった.前著よりはるかに易しくとりくめるよう,随所に配慮がなされている.
その後の言語研究の進展の反映も随所に見える.
本文25課までカナ発音がついている.付されたCDは容量ぎりぎりまで録音されているあたりも,気骨を感じる.
前著の巻末の読み物は大幅に削減された. 

●菅野裕臣(かんのひろおみ)他編『コスモス朝和辞典』(1988,白水社)
ISBN4-560-00096-4

語彙数は1−2万語なので,これ1冊だけで本を読むというわけにはゆかないが,他の辞書に見られない多くの情報を擁しており,初心者から教師まで必携の辞書.全ての見出し語にフルセンテンスの用例があり,発音は発音記号とカタカナの両方で表記,語尾と結合した際の発音の変化,話し言葉的な発音まで記されている.韓国と北朝鮮,南北両方の表記と発音を知ることができる.用言は活用形からもかなり引けるようになっている.用言の活用を<語基>の考え方で統一的に記述してある辞書はこれだけしかない.<−している>という,アスペクトと呼ばれる形を持つかどうかが3600語あまりの動詞の全てに表示してある.<−することができる>とか,<−するだろう>というような,複数の単語が連なって1つの文法的な働きをするものも引けるようになっている.表記上現れない発音の変化(濃音化,n音の挿入)が,例文の全てに記号で示してある辞書は世界でも本書だけ.語根に派生語がまとめてある配列となっている.単語だけでなく,語尾をはじめとする文法的な形も全て用例を挙げて扱っており,巻末の文法概説と併せて文法書代わりにも使える.発音・文字概説や約2000語の和朝語彙集も有用.漢字語に漢字表記が付されていない点が最大の欠点.朝鮮語辞書の中では文字も最も大きく,見やすい.1053頁.単色刷り.B6版.重要語の見出し語と例文を録音したカセットテープ(C90×3本,7500円)も別売されている. *白水社 03−291−7811(営業部),03−291−7821(編集部).
 
●菅野裕臣(かんのひろおみ)監修,朝鮮語学研究会編著『朝鮮語を学ぼう』(1987,三修社 http://www.sanshusha.co.jp/)
ISBN4-384-01506-2  \3000

文法を骨格に朝鮮語を基礎から独習できるように編まれている.解説は懇切丁寧で,これでもかこれでもかと説明してある.短文をあげ,解説を加える方式で貫かれている.発音は発音記号とカタカナで併記.文法事項と文法的な形の事項索引が8頁分ついていて,簡単な文法書の役割も果たす.しかし語彙索引はない.大部の書にもかかわらず,ストーリー性のあるまとまった会話やテクストがないことと,例文が若干退屈なのがやや不満.発音や表記は南北双方を学べる.全6章,121課で構成.A5版.342頁.単色刷り.カセットテープ(C60+C45,3600円)も別売されている. 内容と表紙は次を参照:
http://www.sanshusha.co.jp/sanshusha/books.nsf/c9d01062f84d117dc9256459000b8b30/bdd4b92aa776668bc9256492004ace11?OpenDocument

 
●油谷幸利・門脇誠一・松尾勇・高島淑郎編『朝鮮語辞典』(1993,小学館)
 ISBN4-09-515701-1

入門から文章を読むことまで,どうしても1冊の辞書ですませたいというならこれを選ぶ.新聞や雑誌,小説など,とりあえずこれで90-95%ぐらいの語彙はカバーできるだろう.朝鮮語−日本語辞書のなかでは最後発なので,既存の辞書のいいところを取り入れており,新しさが光る.<対照表>を利用した類義語に関する記述は,簡潔にして要を得ている.漢字語にももちろん漢字表記が付されている.重要語の指示もありがたい.日本語で引く5000語ほどの索引も付されている.2065頁.

●安田吉実・孫洛範編『民衆エッセンス韓日辞典』(三修社発売 http://www.sanshusha.co.jp/)

韓国で編纂された朝鮮語−日本語辞書.朝鮮語を母語とする者向けに作られた辞書ではあるが,見出し語に対する訳語が多く羅列してあり,日本語母語話者にも翻訳などの際には役に立つ.箱には『新訂韓日辞典』の名がついている. なお,白帝社からは,文字が幾分大きく読みやすい机上版が発売されている.

●野間秀樹著『朝鮮語への道』(1988,エー・アンド・エー.現在はDTP出版と改名
\2575.

教室用の教科書.東京外国語大学,神田外語大学,東京大学文学部,拓殖大学,明治大学,上智大学コミュニティ・カレッジなどで過去もしくは現在,実際に使用.ただし独習用ではないので独学には向かない.入門・初級から中級程度向き.話し言葉と書き言葉の両方を扱う.用言の活用は<語基>の考え方に基づいている.まとまった会話文など,テクストを基本にした見開き2頁を1課で構成.例文の自然さが貴重で,覚えた例文はすぐにでも役立つ.易しい会話文から始めて最後には論文や小説の一節,詩などまでに至る.雑誌『基礎ハングル』(1985-87,三修社刊)に連載された「語彙の部屋」や朝鮮語に関する記事を巻末に収録.B5版と大きいのが持ち歩きには不便.また,MS-DOS時代のコンピュータによる印字なので文字の大きさに変化が乏しく,単色刷りで,やや美しさに欠ける.概説部分に「ソビエト連邦」などとある記述が古い.元々「有明学術出版社」の名で出されていたが第7刷(1998)から発行所名がA&A,さらに現在はDTP出版へと変わっている.本書は一般の書店では入手しにくいと思われる.テープは市販していない.入手するには下記に直接連絡をとるのがよい.

版元:DTP出版 住所:135-0016 東京都江東区東陽5-8-11 電話:03-5634-8601 FAX:03-5634-8602

● 東京外国語大学語学研究所編『世界の言語ガイドブック 2 アジア・アフリカ地域』(1998,三省堂) 
 ISBN4-385-35815-X  \2800     

言語学的な興味のある人は本書で他の諸言語と朝鮮語を対照して見てみるのも良いだろう.いろいろな言語のエッセンスを知るには,入手しやすく,かつ読みやすい手頃な本.朝鮮語の記述はpp.168-184 .朝鮮語の特徴を言語学的な見地から大まかに知ることができる.*三省堂(販売) 03−3230−9421
 
 
 

以上は<朝鮮語>への入門だが,学としての<朝鮮語学>への入門には『河野六郎著作集』全3巻(平凡社)や小倉進平著・河野六郎増訂補注『朝鮮語学史』(刀江書院),志部昭平著『諺解三綱行実図研究』(汲古書院)などが必携である.亀井孝・河野六郎・千野栄一編著(1996)『言語学大辞典』の梅田博之執筆「朝鮮語」は必読.どのような文献を読むべきかについては,野間秀樹編著『韓国語教育論講座第4巻』(くろしお出版)を参照されたい.また野間秀樹著『ハングルの誕生−−音(おん)から文字を創る』(平凡社新書)の文献案内を参照.

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