活動報告

Activity Reports

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特任研究員ワークショップ報告 日本語の受け身とインドネシア語の受け身との対照研究

日時: 2014年7月17日(木)
発表者:デディ・ステディ氏(インドネシア教育大学)
    河路由佳氏(東京外国語大学)
コメンテーター:降幡正志氏(東京外国語大学)
場所:東京外国語大学 研究講義棟209室


公益財団法人博報児童教育振興会「第8回日本語海外研究者招聘事業」招聘研究者兼当センター特任研究員であるデディ・ステディ氏(インドネシア教育大学言語芸術教育学部日本語教育学科准教授)による研究発表をワークショップとして研究講義棟209教室にて開催した。

テーマは「日本語の受動文とインドネシア語の受動文との対照研究」。「受動文」イコール「受け身」イコール「れる/られる」と学習者に捉えられる傾向が強く、それゆえに生ずる誤りが、日本人インドネシア語学習者にもインドネシア人日本語学習者にも多く見られる。

デディ氏は従前より「インドネシア人学習者に日本語の受動文をどのように教えるか」を「インドネシア語と日本語との対照の観点から」研究を行なっており、研究員として本学に1年間在籍する中で日本語の受動文の文型につき様々な観点から整理し分類を行ない、またインドネシア語の受動文との対照研究を進め、さらにはさまざまな文献資料の収集・分析に努めてきた。

ワークショップの参加者は30名ほどであったが、日本語教育関係者(インドネシア人留学生を含む)、インドネシア語教育関係者(インドネシア人教員を含む)、言語学研究者、インドネシア語学習者など多岐にわたった。ディスカッションでは、それぞれの立場から質問やコメントがなされた。以下にその一部を挙げる。

・日本語教育の現場における「れる/られる」の導入のしかた
・基本的な文型と複雑な文型との間における「れる/られる」使用の容認度の違い
・インドネシア語で「受動文」と呼ばれる文型の解釈
・口語体や文語体の違いを含めた幅広い文体に対する考慮の必要性

いわゆる受動文は、日本語研究や日本語教育においても、またインドネシア語研究やインドネシア語教育においても、非常に興味深く、かつ非常に難しいものである。

デディ氏の研究は、こうした困難な文法項目の取り扱い方に関して基礎を築くという重要な意義を持っており、その点を改めて深く認識することのできた充実したワークショップとなった。(降幡正志)

ワークショップ 写真 (PDFファイル)

ワークショップ ポスター (PDFファイル)

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