活動報告

Activity Reports

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ワークショップ 「イベリアの帝国的拡大とアジア」開催(2014年4月13日)

日時:2014年 4月 13日
基調報告:ジャン・フレデリック・ショーブ(フランス社会科学高等研究員教授)
コメント1:ホムロ・エハルト(東京外国語大学大学院)
コメント2:伊川健二(成城大学)
会場:東京外国語大学 本郷サテライトキャンパス


2014年4月13日、本学の日西交流400周年実行委員会と国際日本研究センターの主催によるワークショップ「イベリアの帝国的拡大とアジア」(共催:スペイン史学会)が、本郷サテライトで行われた。

基調報告を行ったジャン=フレデリック・ショーブ氏(フランス社会科学高等研究院)はスペインとポルトガルの近世史が専門であるが、これまでつねに比較史や世界史の視点を失わず斬新でダイナミックな研究をしてきた。 時代と空間の広域的な全体像を描くショーブ氏の魅力は、今回もいかんなく発揮されたように思う。

基調報告のテーマは、近代ヨーロッパの海洋進出と人種主義の淵源を中世にさかのぼって検討することである。
そこで研究史を整理しつつ、中世の十字軍やレコンキスタ、地中海と大西洋の奴隷貿易、ユダヤ人の迫害、異端審問などの主要な論点に即して中世と近代とのつながりが紹介された。 その意味では、一貫して時代の連続に力点をおいた議論だったといえる。

だが注目すべきは、同時に近世ヨーロッパの大西洋経験によって新しい時代が開かれたとも述べられたことである。 おそらく連続と断絶の双方をみすえようとしてのことのであろう。

コメントの労をとられたホムロ・エハルト氏(東京外国語大学大学院)と伊川健二氏(成城大学)は、それぞれブラジル史と日本史の観点から、基調報告をアメリカとアジアにつなぐ論点を提出され、議論はより豊かで深まりのあるものとなった。

このような幅の広い議論に対しては、個々の点では当然反論があろうし、時間が許せばショーブ氏もそれを歓迎されたに違いない。
しかし、新たな時代区分の提示が歴史家にとって挑戦的課題となっているいま、ヨーロッパ史そのものの時代区分を、その他の世界との関係というパースペクティブで再構築しようとされているショーブ氏のご報告は、 様々な地域の研究者にとって、参照系としての役割を充分果たすことになるに違いない。


ワークショップ 写真 (PDFファイル)

ワークショップ ポスター (PDFファイル)

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