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2013年2月 アーカイブ

2013年2月 9日

パブコメは待ってくれない

今日も入試業務で朝から出勤。学年末の成績評価やら来年度のシラバスやらもあり、気忙しい季節である。しかし昨晩は久しぶりに首相官邸前に行ってみた。いつもの国会議事堂前の駅に降りてみると、あらっ; 参加者が道路をはみ出さないよう仕切られた柵に片側にはもはや人影がなく、もう片側もまばらに。こんなに人が減ってしまったのかと驚いた。それでも本部近くは何とかにぎわっており、ショートスピーチはさまざまに語られて、シンボルカラーをまとったりNO NUKESの旗をはためかせたりした自転車隊は、元気に周囲をぐるぐる回っていた。それに、ちょっと気になっていたG規制委員会に関するパブリックコメントの情報も少し得ることができた。やっぱり何とか時間をつくって、現場を離れないようにしなければいけないなと自戒。当方、寒さが苦手(暑いのにも強くはないが)という弱みはあるが、これからだんだん暖かくなることだし、なんとかがんばろう!

で、今しがたG規制委員会のHPを開けてみると。まずい!2月7日に締め切られたパブコメもあるではないか!ときの政権が聞こうが聞くまいが、同委員会が何をしようがしまいが、とにかく意見表明はしておかなければ始まらない。学年末だろうと寒い日々だろうと、パブコメは待ってくれないのである。今日は18時から某所でパブコメの書き方を教えてくれるらしい。今ブログを書いてる場合ではないかもしれない。しかしユーストでの中継もあるらしい(ほっ)

http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/2918-55b2.html

次のパブコメ〆切は2月12日。これは逃してはいけない!

2013年2月11日

まずは一件提出

先日、拙ブログを書き終わって、やっぱりユースト中継ではなく現場に行こう!と思い立ち、猛ダッシュで飯田橋のしごとセンターに行ってきた、10分程度遅刻したが、あまり広くはない会議室みたいなところに、真剣な市民のみなさんが集って説明を聞いており、おおよそのところは聞けた感じである。「原子力規制を監視する市民の会」(主催者)のすてきなおねえさんやお兄さん、それに後藤政志さんがていねいでわかりやすい解説をしてくださって、
①原子力災害対策指針(改定原案)に対する意見、②発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準骨子案に対する設計基準とシビアアクシデント対策、に関する意見、③②の骨子案に対する地震・津波に関する意見
のみっつがあり、①は2月12日〆切、②と③は2月末〆切であることや、基本的なポイントなどがわかった。ありがとうーん、行ってよかったわん。ただし、「その場でパブコメ、書いちゃいましょう」といわれても、聞いたりメモをとったりするのに手間取って、とてもムリであった。
そんなわけで今しがた、ようやく①だけ提出した。ほんとうは全部やっちゃおうと思っていたのだが、一応まずは①の「改定原案を」と思ってみると、なんと53頁プラス図表が8ページもあって、とても簡単にはおわらない。こんな大部のものに対して説明会も開かず、討論会も行わず、2週間程度で「意見をいえ」とはほんとうに国民を愚弄している。いつものことだが、パブコメを書いているうちにさらに腹が立ってきた。

不必要にぷんぷんした気分になってしまったので、今このタイミングでJ.P.デュピュイの『ありえないことが現実になるとき』(筑摩、2012)を読むのはやめたほうがいいかもしれない。16日の研究会に向けて勉強中なのだが、いや、かれの『経済の未来』もふくめ、フクイチ事故後の日本と世界を考えるために必読の書である。『ありえないこと。。。』の邦訳が刊行されたのが昨年5月だから、拙著の準備に忙しくてそれどころではなかったのだが、やばい!なぜ今まで知らなかったんだ!という気持ちである。

でも上記の説明会で、必ずしも専門的なコメントでなくても、自分の言葉で「防災指針じゃなくてまず廃炉でしょ」とか、「テレビでやってたけど、ホットスポットとかあるんだから、何キロ圏内とかの基準じゃダメじゃないですか」といったコメントをするのが、とても重要とのこと。みなさん、一行でもいいから(2000字まで書けるよん)パブコメ出そう! 原子力規制委員会のHPの当該箇所を開けると、「〆切間近ですけど」みたいな脅しがまず出ますが、そんなものに負けないように!

2013年2月13日

もうひとりのフリードマン

絵や写真の展覧会は、見たいと思っていても見逃すことが多いのだが、これだけは見逃したくなくて、横浜美術館の「ロバート・キャパ&ゲルダ・タロー」展に行ってきた。(パブコメで沸騰した頭を冷やしに行った、ともいえる)連休の最終日でもあり、またちょうど数日前、Nスぺで沢木耕太郎さんの「崩れ落ちる兵士」をめぐる考察の番組もあったからか、かなり多くの人が訪れていた。

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同美術館の所蔵をふんだんにいかし、またていねいな解説をつけた興味深い展覧会である。そう、もうひとりのフリードマンとはアンドレ・フリードマン、1913年にブダペストに生まれたロバート・キャパの本名である。われらが(?)ミルトン・フリードマンは1912年アメリカ生まれだが、親の世代に当時のオーストリア・ハンガリー帝国から移住したとのことで、実はキャパとほとんど同年代、そしてフリードマン姓はかの地に多い苗字なのであった。
ともあれ2013年はキャパ生誕100周年で、このような展覧会が開かれたらしい。Nスぺの「崩れ落ちる兵士」をめぐるハナシ、すなわちそれは誰がどこからどのように撮ったのか、それはほんとうに兵士が頭を射抜かれた瞬間だったのか、といったドキュメント/ ドキュメンタリーのお話しも興味深かったが、若い無名の写真家カップルが二人で「ロバート・キャパ」として売り出していくという自己プロデュースのエピソードがおもしろい。それに、キャパ(いや、フリードマンというべきか)はもちろん、カノジョのゲルダ・タロー(はい、日本風の名前をみずからに付けてますがゲルタ・ポホリレという美しい女性、岡本太郎がパリに滞在していた時代ですねー)の写真がとてもいい。あれこれ含め、写真史に大きな一石を投じる展覧会である。じっくり読める論考を収録したカタログも大いに値打ちモノである。

2013年2月24日

人間が汚した土地だろう?どこへ行けというのか。

オフの日曜日。やらねばならない仕事多数、行きたいイベントや企画これまた多数。朝からマメにこなせばいくつかは...と思っていたが、のんびりする朝というぜいたくも捨てがたく、午前中はややゆったり起きて仕事して、午後一番からのシンポジウム「原発事故と有機農業」(@明治大学)にでかけた。研究仲間のO先生が教えてくださった企画情報だったが、2011. 3.11の震災直後に「原発さえなければ」と書き残して死んだ有機農家の人がおり、核は有機農業やそれにともなう暮らしの夢も奪うのかと多くの人びとが絶望しただけに、今このテーマがどのように語られるのか興味をひかれた。しかしこれがたいへんに充実した企画であった。O先生ありがとうございます!比較的大きな教室はぎっしりというわけではなく、もっと大々的に宣伝して多くの人に聞いてもらえばよかったのに!とやや残念にさえ(?)感じられたほどである。
冒頭の講演は映画監督の本橋成一さんであった。チェルノブイリの事故の後、強制移住地区となった場所でアルカジイ・ナヴォーキンという男性が語った「人間が汚した土地だろう?どこへ行けというのか」という言葉。これを聞いて本橋さんは映画を撮ろうと思ったそうだが、福島の問題のフレームもここでピタリと定まる。その後のさまざまな有機農業関係者、たとえば南相馬で農業を営む根本洸一さんや、かれを支援しながら農地の線量を細かく測定するプロジェクトをすすめる新潟大学の野中昌法先生、さらには明峯哲夫さん、菅野正寿さん、高橋久夫さんらのお話しも素晴らしかった。「農家や消費者を加害者にするごまかしを許してはならない」。「主戦場は都市だ、都市型モデルから避難せよ」。みな心に怒りの炎を秘めながら、淡々とそれぞれの場での仕事を語った。登壇者が多いため厳しい時間制限が設けられていたが、どれももうしばらく聴いていたい語りであった。

しかし!今日で終わってしまう石川真生さんの写真展を見逃すことはやはりできず、コメントと質疑応答を残して会場を後にした。半蔵門線・田園都市線で飛ばして(急行だった)ダッシュで一路、あざみ野へ。寒風吹きすさぶあざみ野駅から急ぎ足で会場に到着した時は残り一時間を切っていたが、うおっ!入口に石川さんご本人が微笑みながら佇んでいる。中にはなお観客が、おそらく20人以上はいたであろう、3種類の展示や東松照明さんの生前のインタヴューなどに見入っている。どれも面白いがやはり「熱き日々 in オキナワ」のシリーズが圧巻である。すごい。いやはや、これをどうしても観たくて有機農業論シンポの最後をちぎっただけのことはあった。しかもすでに写真集としてまとまっている!
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もちろん買わせていただきますー。すると受付のおねえさんが「お買い上げの方にはサインをするそうですので...」とのことで小走りに去り、という間に真生さんが到着し、「ハート抽入~」とかつぶやきながら、大胆豪快なサインをくださった。
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「ありがとうございます!」「いえいえこちらこそ」「これからもがんばってください」握手、ハグ。わーい!このとき真生さんのドキュメンタリーを撮っているという人がその辺を撮影していたので、いつかドキュメンタリーが完成したら、サインする真生さんウィズちょこっと中山、なシーンが登場するかもしれない。(名誉である)

そんなわけで、なんとも充実した素敵な日曜日。心のフル充電完了である。そして片づけるべき仕事がほぼまるごと残った。ははは、何とかなるさ、何とかする...

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