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人間が汚した土地だろう?どこへ行けというのか。

オフの日曜日。やらねばならない仕事多数、行きたいイベントや企画これまた多数。朝からマメにこなせばいくつかは...と思っていたが、のんびりする朝というぜいたくも捨てがたく、午前中はややゆったり起きて仕事して、午後一番からのシンポジウム「原発事故と有機農業」(@明治大学)にでかけた。研究仲間のO先生が教えてくださった企画情報だったが、2011. 3.11の震災直後に「原発さえなければ」と書き残して死んだ有機農家の人がおり、核は有機農業やそれにともなう暮らしの夢も奪うのかと多くの人びとが絶望しただけに、今このテーマがどのように語られるのか興味をひかれた。しかしこれがたいへんに充実した企画であった。O先生ありがとうございます!比較的大きな教室はぎっしりというわけではなく、もっと大々的に宣伝して多くの人に聞いてもらえばよかったのに!とやや残念にさえ(?)感じられたほどである。
冒頭の講演は映画監督の本橋成一さんであった。チェルノブイリの事故の後、強制移住地区となった場所でアルカジイ・ナヴォーキンという男性が語った「人間が汚した土地だろう?どこへ行けというのか」という言葉。これを聞いて本橋さんは映画を撮ろうと思ったそうだが、福島の問題のフレームもここでピタリと定まる。その後のさまざまな有機農業関係者、たとえば南相馬で農業を営む根本洸一さんや、かれを支援しながら農地の線量を細かく測定するプロジェクトをすすめる新潟大学の野中昌法先生、さらには明峯哲夫さん、菅野正寿さん、高橋久夫さんらのお話しも素晴らしかった。「農家や消費者を加害者にするごまかしを許してはならない」。「主戦場は都市だ、都市型モデルから避難せよ」。みな心に怒りの炎を秘めながら、淡々とそれぞれの場での仕事を語った。登壇者が多いため厳しい時間制限が設けられていたが、どれももうしばらく聴いていたい語りであった。

しかし!今日で終わってしまう石川真生さんの写真展を見逃すことはやはりできず、コメントと質疑応答を残して会場を後にした。半蔵門線・田園都市線で飛ばして(急行だった)ダッシュで一路、あざみ野へ。寒風吹きすさぶあざみ野駅から急ぎ足で会場に到着した時は残り一時間を切っていたが、うおっ!入口に石川さんご本人が微笑みながら佇んでいる。中にはなお観客が、おそらく20人以上はいたであろう、3種類の展示や東松照明さんの生前のインタヴューなどに見入っている。どれも面白いがやはり「熱き日々 in オキナワ」のシリーズが圧巻である。すごい。いやはや、これをどうしても観たくて有機農業論シンポの最後をちぎっただけのことはあった。しかもすでに写真集としてまとまっている!
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もちろん買わせていただきますー。すると受付のおねえさんが「お買い上げの方にはサインをするそうですので...」とのことで小走りに去り、という間に真生さんが到着し、「ハート抽入~」とかつぶやきながら、大胆豪快なサインをくださった。
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「ありがとうございます!」「いえいえこちらこそ」「これからもがんばってください」握手、ハグ。わーい!このとき真生さんのドキュメンタリーを撮っているという人がその辺を撮影していたので、いつかドキュメンタリーが完成したら、サインする真生さんウィズちょこっと中山、なシーンが登場するかもしれない。(名誉である)

そんなわけで、なんとも充実した素敵な日曜日。心のフル充電完了である。そして片づけるべき仕事がほぼまるごと残った。ははは、何とかなるさ、何とかする...

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2013年2月24日 21:16に投稿されたエントリーのページです。

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