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2009年11月 アーカイブ

2009年11月 3日

死語考

先日友人から指摘されて
気がついたのですが、

「死語」の意味が、言語学「界」で使われる意味と、
一般に使われる意味とで、違ってきています。

言語学「界」: 話者がいなくなった言語。ラテン語、サンスクリット等。
一般:過去に使われた単語あるいはそれより大きい単位
   あるいはそれより小さい単位で、
   今でも使う人がいるかもしれないけれども、古臭く、恥ずかしいので
   使わない方がいいと思われるもの。

そもそも「○語」というのが、日本語では、wordの意味で
使われることと、languageの意味で使われることがあるのも、
混乱の原因の一つです。

ってか、「よろしこ」とか、「まいうー」とか、
未だに使っている人いるよな~。

あと、動詞の語尾で、「~りーの、~りーの」っていうヤツ、
もともと中年世代の間で流行ったものだと思いますけど、
まだ時々、見聞きします。ちょっと恥ずかしいです。

ってか、バカドリルが提案した死語の新たなデザインって、
流行語としてのアクトゥアリザツェ(異化)が時間が経って
アウトマティザツェ(自動化)して
さらに再び、アクトゥアリザツェしたという、
ロシア、チェコあたりで言われていた
アレだな。

2009年11月 4日

今朝は、アラスカ州テトリン(Tetlin, AK)に
行ってる夢。

上(かみ)タナナ・アサバスカ語地域です。

そこに、亡き我がアラスカの母
アイリーンさんがウチを持っていて。

(アイリーンさんはアサバスカ語派ではなく、
 中央ユピック・エスキモー語の専門家だったので、
 それはあり得ない。)

その家は、なんでもそろってる
超豪華な家。

(それもあり得ない。テトリンは、
 夏は、道路が繋がっておらず、
 舟か、飛行機でしか入れない。
 冬は、ぬかるんだ地面が凍るので、
 細い道で繋がっている。
 テトリンに実際あるのは、
 木製の、割と粗末な、小屋のような
 家ばかり。)

村の女達が集まって、料理やら
お菓子やら、沢山作っている。

それより、テトリンが、
碁盤の目状の街のようになっている。
それがあり得ない。

本当のテトリンには、小さな家々が、
ぽつんぽつんと無造作に建っているだけ。

帰りに、外界のアラスカの道路システムに
出るのに、村の男に、トラックで
送って貰ったら、

なんと、高架式の道ができてるではないか。
(あり得ない。)

トウク(Tok, AK)まで出てもらって、
「いくら払ったらいい?」と訊いたら、
「いいよ、そんなの」という返事。
これは、要らないという意味なのか、
そんなの自分で考えて出せという
意味なのか、わからずに、払えずに
済んでしまった。

2009年11月 7日

人と支援の談話会?マダガスカルを食す会

 マダガスカルの自然や当協会の活動について知識を深め合う「人と自然との談話会」を今年も開催します。今回は、NPO リトルパンゲアのコラボ企画として好評だった「マダガスカルを食す会」も同時開催です。
 「人と自然との談話会」は、マダガスカルに造詣が深い社会人類学者の深澤秀夫先生を演者に迎え、マダガスカル料理や文化についてのお話をして頂きます。
 さらに、今までとは少し趣向を変えフェアトレードのカカオ原料を使ったチョコレートの普及活動をされている星野智子さんに森との共存を目指すガーナでのカカオ栽培のことなどをまじえてお話いていただく予定です。
 「マダガスカルを食す会」は、深澤先生に日本でも作れるマダガスカル料理を数品作って頂く他、パーティ料理を囲み親睦を深めて頂く会です。普通では聞けないマダガスカルの情報や経験談を聞くチャンス、また、マダガスカルの紅茶とコーヒーをご用意しています。マダガスカルは、実は紅茶とコーヒーの産地です。どうぞ、ご試飲ください。参加は有料で事前ご予約が必要です。お申込みは、メール、FAXまたは郵便にて、ご参加者のお名前とご連絡先を明記の上、お願いします。お申込みの締め切りは、11月24日です。また、ご希望者が多数の場合は、早めに締め切らせていただく場合がありますので、ご了承ください。
それでは、皆様の奮ってのご参加をお待ちしています。 
   催し物の予定:
日時:2009年11月29日(日)
 ・自然と人との談話会:15:00?17:00(公開公演会:無料 事前予約不要)

  場所:東京農業大学「食と農」の博物館1F

 ・マダガスカルを食す会:17:00?19:00
(有料:お一人様3,500円 要、事前予約!!)

 場所:東京農業大学「食と農」の博物館1F プティラデッシュ
 講演内容:
・自然と人との談話会
 15:00?16:00「マダガスカル料理とマダガスカル人の生活について」
 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研 究所教授:深澤秀夫氏
 16:00?16:10 休憩
 16:10?16:30「人と森に幸せを、チョコレボの活動」(予定)
 チョコレボ実行委員会代表:星野智子氏
 16:30?17:00「第2次「子供の森」プロジェクト報告」
 ボランティア サザンクロス ジャパン協会スタッフ:蒲生康重氏
 17:00?19:00 「マダガスカルを食す会」
「マダガスカルを食す会」のお申込み&お問い合わせ先 
ボランティア サザンクロス ジャパン協会
〒158-0098 東京都世田谷区上用賀2-4-28 進化生物学研究所内
Fax:03-3425-2554、E-mail: vsja@nifty.com

バレエ観劇

http://www.k-ballet.co.jp/

ロミオ&ジュリエット見てきました。

チケットを取る時点では、
どの日のどの時間に出るか
わからなかった人が、
僕のチケットの日時には
出なかったのが
ちょっと残念でしたが。

ってか、女性の方ばっかり
向き過ぎ!ここのカンパニー。

Dr.シーラボとコラボした
化粧品を買うと、
パーティーに招待されるとか。

そんなもん、要らんわい!
みたいな。<笑>

次回もし行くときがあれば、
オペラグラス買ってから
行こうっと。

誰が誰だかわかりにくかった。<笑>

2009年11月10日

ビューラー

http://www.news24.jp/articles/2009/11/10/06147500.html

ビューラーというのは商標登録された商品名で、
それが普通名詞のように使われておりますが、
やっぱり、ニュースなどでは、商品名は使えず、
英語で、「アイラッシュカーラー」あるいは、
半ば日本語化して、「まつ毛カール器」って
言うんですね。

2009年11月12日

「気をつけなさい」

「気をつけなさい」
  高高高高高 
 低     低

って言うと、上から目線で、
高圧的に聞こえるけど、

「気をつけなさい」
       高
  中中中中昇
 低

って言うと、柔らかくなるのは
なんだろう。

そもそも下の例は、東京アクセントとしては
標準的なパターンじゃないし、
周辺の方言の流入だろうか。

それとも、オンナ言葉寄りなのか。

それとも、アクセントパターンの上から、
「やわらかな」イントネーションが
かぶさっているのか。

2009年11月16日

ウィキペディアの憂鬱

以前書いたことを、
ブログ向けに書き直します。

問題なのは、ウィキペディアです。
http://ja.wikipedia.org/

ウィキペディアとは、ご存知かと思いますが、
インターネット上の百科事典で、
誰でも編集に参加することができ、
簡単に記事を改変することができます。

誰が、編集に参加したかは、
各記事のページの上方の「履歴」という
ところを見るとわかるようにはなって
います。

そこを見ると、各回の編集前の状態も
見ることができるようになっています。

そうはなっているのですが、
その編集した人が誰かという情報は、
ウィキペディア上のアカウント名がわかるだけで、
究極的には、3次元世界で生活している
一体誰が、そのアカウントを持っているのかは
わからないことがほとんどです。

というような意味で、出版されている
百科事典とはかなり性格の違うものです。

出版されている百科事典には、筆者の名前が
書かれている場合もあり、そうでなくても、
巻の編集者、そして、出版社が責任を
負っています。

ウィキペディアには、そのような責任の
所在がありません。

以上の理由で、学術界では、論文や著書に
ウィキペディアの記事を引用することは
タブーであるという暗黙の了解があります。

ウィキペディアを引用しただけで、
論文、著書の信用が地に落ちてしまいます。

また、大学などで、学生にも、
ウィキペディアを、他の文献などを探す
道具にすることはいいけれど、
そのまま引用しては行けないと
指導しています。

このように、学術界・教育界では、
ウィキペディアを利用することには
慎重になっています。

一方、市井の人々にとってはどうでしょうか。

グーグルなどの検索エンジンで
http://www.google.co.jp/
何か用語を検索すると、
もしウィキペディアに該当の記事があれば
それが、検索結果の上位に
来るようになっています。
それは、単純にアクセス数が多いということを
反映しています。

検索結果の上位に出てくるということ
だけが理由ではないですが、
一般の人々は、ウィキペディアを
事実上、もっとも良く引く
ネット上の百科事典として使っています。

ネット上で、自由に引用されたり、
コピー&ペーストされて、
新たな記事になったりしています。

学術界では一笑に付されるウィキペディアでは
ありますが、一般の人々にとっては、
至上の情報源になっています。

--

ところで、ウィキペディアの記事を
「まともに」取り合うこと自体噴飯ものなのですが、
でもまあ、おかしなことの一例をお示しして
おきます。

今後訂正される可能性が無いことは無いので、
現行の版への固定リンクを張っておきます。

http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%e3%82%a4%e3%83%b4%e3%82%a1%e3%83%b3&oldid=28854510

記事内に、
「Иоанн(イオアン) - 教会スラヴ語再建音」
と書いてあります。

これは、大事なところで間違っています。

そもそも教会スラブ語というのは、
古代教会スラブ語に始まり、
その後、スラブ語圏各地域で変化した
複数の規範を内包する概念で、
決して1つの言語の名称ではありません。

百歩譲って、現代ロシアの正教会で使われる、
儀礼用言語としてのソレをさすものとしましょう。

そうなると、こんどは、再建音というのが
当てはまりません。

再建(あるいは再構)というのは、
比較言語学上の概念で、
資料が現存しない音(単音)や
語形などを、同系の諸言語を比較することによって、
理論的に導きだすことです。

Иоанн(イオアン)の中には、
現存せず、理論的に再建された
音(単音)もありませんし、
この音の並びも、理論的に
再建されたものではありません。

ただ単に、市井の通常のロシア語の語形、
Иван(イワン)とは異なり、
教会での、宗教的な場面において
主に用いられる形式だというだけです。
それは、現在でも限られた場面ですが
使用されており、現存しない形式を
理論的に導きだしたものでは
決してありません。

そのような、主に教会で宗教儀礼用に使われる
(ロシア語とは違う)言語を、
現代ロシア教会スラブ語と呼んでもいいでしょう。

その正書法には、主に2つの種類があります。
1つは、古代教会スラブ語の文字を使ったもの。
(しかしその場合でも、鼻母音を含む? [?]、? [j?]は、
 оу [というよりは、?を上に配し、оを下に置いた
 合字の変形したもの;u]、ю [ju]で書き換えられていたり、
 また、古代教会スラブ語に関しては、
 諸研究者の見解の一致が見られない
 ストレス・アクセント[ウダレーニエ]が
 実用上の理由から表記されているなど、
 古代教会スラブ語そのままのものではなく、
 現代のロシア人が読みやすいように工夫が
 なされています。)
上記は、主に、司祭、輔祭、誦経者などが
目にする印刷物に使われています。
(以上、正書法1)

一般信徒向けには、さらに古代教会スラブ語から、
文字数を減らし、現代ロシア語で使う文字のみで
表記する正書法が用いられています。
古代教会スラブ語では複数の文字で書き分けられて
いたものも、現代ロシア語で発音上区別しないものは
同じ文字で書かれるようになっています。
(以上、正書法2)

「イオアン」は、

正書法1では、
??аннъ
(ここでは、ウダレーニエは省略)

正書法2では、
Иоанн
と書かれます。

(追記。あともう1つ、聖歌の楽譜などには、
 現代ロシア語が33文字に整理される前の、
 帝政ロシア末期まで用いられた正書法に準じた
 現代ロシア教会ロシア語の正書法というのも
 見られます。? [?]は使われるが、?、jaは区別せずに
 я [ja]で書かるなど、正書法1とも違います。
 以上、正書法3)

さて、現代の教会で使われる
現代ロシア教会スラブ語ではなく、
9世紀から11世紀の古代教会スラブ語では、
おそらく??аннъと書かれていたでしょう。
しかし、ギリシャ語に準じた、
?、?という書き文字が、(当時でも)
発音が同じだったИ、оで書かれるという
バリエーションはあったかも知れません。

さて、書き文字が残っているのですから、
綴りの再建はありませんが、
実際の発音に関しては、
古代に録音技術はありませんでしたから、
再建の余地があります。

主に問題となるのは、末尾の母音字
ъです。

古代教会スラブ語には、
現代のスラブ系諸言語と異なり、
開音節の法則というものがあり、
音節は、必ず母音で終わり、
子音で終わることはありませんでした。

??аннъのъも、現代の教会で
なされているような黙音ではなく、
оу (u)よりは短めで
「ウ」に近似した母音だったと
比較言語学上推定されています。

それを「再建」と呼ぶのならば、
??аннъの発音の再建形を、
(正確でないにせよ)カナで書くとして、
それは、「イオアンヌ」のようなものに
なるはずです。

2009年11月18日

セブン・イレブン考

http://4510plan.jp/360/newscolumn/11886/

今では、実態が変わっちゃいましたが、
当初、セブンイレブンが朝7時から夜11時まで
開いていたというのは、面白い状況でした。

まず、数字のsevenとelevenが韻を踏むという言語的な事情で
選ばれ、それによって、店舗の名称が決められ、
その店舗の名称に依って、人間の行動が決められていたのですから。

 言語の美的機能→名称決定→行動規定

という面白い発展過程を経ました。

似たような例は、ごまたまご。
http://www.tokyotamago.com/

回文の名称決定から、ごまを素材にして卵形の
お菓子がこしらえられちゃいました。

 言語の美的機能→名称決定→モノの出現

でもまあ、名称からモノというのは、
他にもありそうですね。

名称から、人間の行動が決定されるというのは、
もっと「大掛かり」な感じがします。

2009年11月25日

今日の刈り込み語:ゲーシャツ

「ゲーム」が合成語の後項になって、
モバゲー、エロゲー、ネトゲーになることは
知っていたのですが。

それが、さらにエロゲ、ネトゲにまで
刈り込まれることも知っていました。

でも、合成語の前項になるときにも
刈り込まれるんですね。

ゲームシャツ→ゲーシャツ

http://www.google.com/search?client=safari&rls=en&q=%e3%82%b2%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%84&ie=UTF-8&oe=UTF-8

サッカー・フットサル用語みたいです。

--

と思いましたが、ゲーセン(ゲームセンター)
というのは、大昔からありました。

でも、ゲーシャツはなぜか新鮮だったのです。

2009年11月26日

「黒豹」「銀虎」vs「ダサイ族」Road Wars

http://4510plan.jp/360/newscolumn/12177/

ドラえもんからホリエモンが語形成されたように、
マサイ族とダサイ(と暴走族)から、ダサイ族は語形成されている。

暴走族を見下すだけでなく、マサイ族をも見下すことになってて
この名前、まずいですよ。

--

ドラえもん→ホリエモン→チチエモン
イチロー→チチロー
celebration→Cinderellabration
expert→sexpert
experience→sexperience

という語形成に関しては、
言語学の語形成論、形態論の研究者の間で、
共有されている名称があるのかどうかわかりません。
僕は、「置き換え」と仮に呼んでいるのですが、
なにかもっと別ないい名称は無いかとも
思っています。

「合成+刈り込み」、brunchのようなblendにも
似ていますが、違うものと考えます。
blendだと考えると、ドラえもんとチチエモンの
間に、ホリエモンという段階があったことが
すっとんでしまいます。

マサイ族→ダサイ族

も同様な「置き換え」で、ダサイ族と聞いた人のうちの
多くに、程度の差はあれ、マサイ族を想起させるものです。

--

「置き換え」は、共通部分があることを土台に
2つの語を融合させる過程です。

その場合、元になった2つの語のうちの片方が、
(アクセントの変化などによって、音価が多少変化することはあれ)
そのまま(刈り込まれずに)残ります。
この点で、blendとも異なります。

ドラえもん→ホリエモン

では、「ドラえ」、「ホリエ」が
3モーラで、/e/という音節で終わっていることが
共通です。

ホリエモン→チチエモン

では、「ホリ」と「チチ」が
2モーラで、/i/という母音音素で終わっていることが
共通です。

celebration→Cinderellabration

では、強勢を持った母音を含んだ音素の並び
/el?/が、celebrationとCinerellaで共通しています。

expert→sexpert

では、exとsexが/eks/という音素の並びにおいて
共通しています。

(experience→sexperience では、綴り上は、上の例と
 同じ関係になっていますが、厳密にいうと母音の音価は
 違っています。/iks/ vs. /seks/)

マサイ族→ダサイ族

では、マサイとダサイが3モーラで、
/asai/という音素の並びを持っていることが
共通しています。

2009年11月30日

マダガスカル

午後は農大へ。

http://mixi.jp/view_event.pl?id=47859494&comm_id=46504

人と自然の談話会がありました。

マダガスカルの自然、文化、食のお話を聞きました。

マイミクMさんも来てました。

その後、マダガスカルを食す会。

今日はがっつかずに、加減して飲み食いしました。<笑>

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