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研究プロジェクト

現代日本における獣肉食文化の文化人類学的研究

大石高典(現代アフリカ地域研究センター)

【研究課題】現代日本における獣肉食文化の文化人類学的研究
【研究費の枠組み】公益財団法人アサヒグループ学術振興財団 2019年度学術研究助成(生活文化部門)
【研究期間】2019年5月~2020年3月
【研究代表者】大石高典(現代アフリカ地域研究センター)
【研究分担者】なし
【連携研究者】なし
【研究目的】

近年、わが国では農山村地域を中心に野生鳥獣の増加が顕著になっている。その対策として獣害対策の観点から狩猟が見直され、野生獣肉(ジビエ)の活用をめぐる現場の取り組みが盛んになっている。2000年代以降一向に減らない野生動物による農作物や林業への獣害被害に対して、2017年春には日本政府が「ジビエ振興策」を打ち出した。この流れを、獣害を劇的に軽減し、野生獣肉を活用したビジネスチャンスへの追い風ととらえる期待がある一方で、被害軽減のためにただ野生動物を獲って無理矢理に資源化すればいいのだろうかという疑問が浮かぶ。わが国では、長期的な視点に立った野生鳥獣肉の生産・流通・消費についての制度や行政ガバナンスが十分かつ有効には整備されておらず、「ただジビエの消費を拡大すればよい」という方針は、近視眼的で対症療法的に見える。学術的には、食肉の衛生管理、野生動物管理などの分野で議論が行われているが人文・社会科学からの応答・貢献は不十分な状況にある。このような状況を踏まえ、本研究では、現代日本における野生鳥獣肉消費と食の問題を、地域の食をめぐる社会や文化の問題として取り上げる。