2023年度9月卒業式・学位記授与式挙行

2023.09.22

2023年9月22日(金)、2023(令和5)年度9月卒業式・学位記授与式を挙行し、学部学生25名(言語文化学部9名、国際社会学部14名、国際日本学部2名)、大学院総合国際学研究科博士前期課程23名、博士後期課程10名の計58名に卒業証書・学位記を授与しました。

式では、林佳世子学長から学位記が手渡され、学長式辞に続き、鈴木義一大学院総合国際学研究科長及び東京外語会常任理事の関谷昴氏から祝辞が述べられました。

プロメテウス・ホールにて式を挙行
色とりどりの袴を着て林学長と記念撮影する修了生たち
卒業証書・学位記授与
学長式辞
研究科長祝辞
関谷東京外語会常任理事祝辞
PCSの修了生たち
HIPSダブル・ディグリープログラム修了生と教員

学長式辞

本日は、卒業、修了おめでとうございます。

最初に学部を卒業される25名の方にご挨拶申し上げます。

今日、卒業される皆さんの多くは、2018年、または2019年に入学をされ、本学に4年半、または5年半在学して、この度、卒業を迎えられた方々です。思えば、2020年の1月にはじまったコロナ禍の影響を受け、2年次や3年次の多くの時間を、行動制限下で過ごされることになりました。楽しいはずの外語祭やサークル活動を十分にできず、また海外留学についても、予定を変更せざるをえなかった方もいるだろうと思います。

その一方で、この間の社会の動きを、大学生としてじっくり観察することもできたのではないでしょうか。家からでないように、とか、マスクをしろ、とかするなとか、あるいは、コンパをしてもいいとか、いけないとか、そういう個人の行動が、社会の要請で制限されるのだ、ということを身をもって経験されたと思います。「自分や周囲の人の健康を守るため」という大義のためではありますが、自分で判断するのではなく、こういう制限が、「決まり」として上から降ってきました。私たち大学も、皆さんに、学校に来るなといったり、マスクをしろ、といったり、いろいろな点で、命令口調だったろうと思います。

その是非を今ここで問うわけにはいきませんが、私が思うのは、皆さんが、それに従ってくれたことに感謝すると同時に、一方で、皆さんには、(矛盾した言い方ではありますが、)流れに惑わされず、本当にそれでいいのか、ということを問い続けてほしい、という点です。9月卒業という、普通のコースとは違った道を選ばれた皆さんのことですから、きっとその意味はよくわかるのではないでしょうか。世界はますます流動的になり、各人を守る枠組みは、どんどん希薄になっています。だからこそ、社会はますます、命令口調で指示をしようとしてきます。ですが、どうか、自分はどうありたいか、どう考えるかを何より大事に、判断していってほしいと思います。

東京外国語大学という場は、そのための訓練をする場だったと思います。これからの人生で、疑問に思うこと、迷うことはたくさん出てくると思います。大学時代に学んだことが直接、仕事に役立つかどうかはわかりませんが、疑問を持った時、迷った時には、きっと、皆さんのこの4年、5年、あるいは6年の時間が、皆さんを支え、次の一歩へと背中を押してくれると思います。

どうか、体に気を付けて、これからの人生を楽しんでください。大学は、ずっと皆さんを応援しています。


次に、大学院を修了された33名の皆さんにお祝いを申し上げたいと思います。

博士前期課程を終えられた方の多くは、中央ヨーロッパ大学とのダブル・ディグリープログラムを終えられた皆さんです。本籍が中央ヨーロッパ大学の方は、すでに帰国されているので、今日、ここにはいらっしゃいませんが、日本での学びをいかして世界の各地でこれから活躍されることを心から祈っています。本学が本籍の名合さんには、先ほど、修了証書をお渡ししましたね。日本とヨーロッパの3か所以上で学ぶというたいへんなプログラムだったと思いますが、意欲的に学ばれ、無事、2つの大学から修士号を取得されたことを心からお祝い申し上げます。

博士後期課程を終えられた10名の方は、今読みあげられた博士論文タイトルからわかるように、長い研さんの結果、言語学、文学、地域研究など、人文社会の諸分野に貢献されました。ほんとうにご苦労さまでした。「博士論文」は、皆さんにとって、これからの人生の出発点になるものです。先人の研究を吸収しつつ、皆さんがたどりついたテーマを、大切に、さらに深め、学問の世界に貢献いただきたいと願っています。ただ、皆さんが博士論文で追及された問いは、皆さんだけの問いでありません。実は、社会が問いかけている問いです。だからこそ、皆さんが見出した答えを、ぜひ、狭く学問の世界にとどめることなく、社会のために、皆さんのために役立てていっていただきたいと思います。皆さんの研究の価値は、そこにあります。おひとりおひとりの、ますますの活躍を祈っています。

Now, I'd like to congratulate all of you who have finished successfully our Master and Doctoral courses of the Peace and Conflict Studies It is perfectly understandable that it is extremely difficult to take a degree just within a few years far away from your home country.

Especially, because of the pandemic, you have had much more difficulties in completing the thesis, as well as in your ordinary life, than before the pandemic began.

Today, I am very glad to see you all looking healthy, happy and satisfied. Hopefully, the study you have made at our university will give you a steady basis for your further development. The world is waiting for your contributions, because, as you know, the World today is facing more and more conflicts.

Lastly, I also hope that the tie between you and TUFS will continue no matter where you will be. We will not forget you and I hope you will not forget us! Thank you very much and congratulations! 

2023年9月22日
東京外国語大学長
林 佳世子

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