2020年度9月卒業式・学位記授与式挙行

2020.09.28

2020年9月28日(月)、2020(令和2)年度9月卒業式・学位記授与式が行われ、学部学生31名(言語文化学部16名、国際社会学部15名)、大学院総合国際学研究科博士前期課程15名、博士後期課程(2019年4月~9月)11名の計57名が卒業・修了しました。

新型コロナウイルス感染予防対策をとって開催された式では、林佳世子学長から学位記が手渡され、学長式辞に続き、真島一郎国際社会学部長、青山享大学院総合国際学研究科長から祝辞が述べられました。

林佳世子学長 式辞

皆さん、おめでとうございます。春学期を通じ、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、長く大学に入れない日々が続いてまいりました。大学にくるのは久しぶり、という方が多いのではないかと思います。そして、久しぶりに来たら、その日が卒業式、ということですから、ちょっと唐突なお別れの場になってしまいました。

それでも、こうして、快晴のもと、皆さんの笑顔をみることができて、私たち、教員、職員一同、ほんとうにうれしく思います。いろいろな制限はありますが、卒業、修了という特別な日に、対面で皆さんにお会いできることは格別です。準備にあたってこられた職員の皆さんにも感謝します。

最初に学部を卒業された31名の方々に、お祝い申し上げます。皆さんは、9月卒業を選択されたことで、この、前例のないコロナ禍の事態を大学生として体験することになりました。きっと、何年かたつと、時代の転機をオンライン授業を受けながら迎えたことを懐かしく思い出す日が来るように思います。

私たちは、今、期せずして大きな時代の転機を体験しています。コロナ感染症は、これまで普通だと思っていたことが、あっという間に失われていくことを、すべての人に体験させています。町の様子や暮らし方の変化が、突然、前触れもなく起こりうるのだという事実に、世界の景色が変わってしまったような気がしたのではないでしょうか。社会全体では、世界の国境がなくなっていくと思われていた矢先に、国々が、国境を閉ざし、自国民だけを守ろうとする状況が広く現れました。サイバー上では、空間や距離が全くなくなる一方で、リアルには断絶が深まるという状況は、本当に皮肉なことです。

アフターコロナの時代に、世界がどうかわっていくのか、その姿はまだ明らかではありません。ただ、予感されることは、これまで、身近なところで一人ひとりを守っていた集団や組織が希薄化し、社会のなかで、一人ひとりの人間が、いわばむき出しで存在する、そのような個の時代の到来が早まった、という点です。たとえば、在宅で勉強したり仕事をしたりする経験は、集団に属す、組織に属す、ということの意味を問い直す機会になったと思います。簡単な例を挙げると、オンライン化で、東京外大で学びながら海外の大学の授業を受けるといったことも可能になりました。どちらの大学の学生かは、いずれ、問われなくなっていくかもしれません。この先、もっと大きな変化がおこってくるでしょう。どこかの組織、たとえば会社に属すことは、皆さんにとって、生活の一部でしかない時代がやってきます。これまでの発想では考えられないことが起ころうとしています。

こうした時に、新しい世界に一歩を踏み出そうとする皆さんは期待と不安を併せ持っているのではないでしょうか。しかし、どうか、自信をもってもらいたいと思います。本学で、皆さんは、グローバル化がいかに進もうとも、世界にとって多様性がいかに重要か、そして、多様性を支えるものが人間一人ひとりの存在であることを学びました。一人ひとりが違う個性をもち、その多様性が、社会を豊かにする。それは、本学の教育の基盤にある考え方です。そして、本学で学ぶ年月のなかで、皆さんにも共有していただいたと思います。

変化の時代、先が見えない時代のなかで、迷うことも多いと思いますが、どうか、自分の力を信じ、自分の道を歩んでください。

次に、大学院を修了された26名の皆さんにお祝いを申し上げたいと思います。特に、博士課程を終えられた皆さんは、今読みあげられた論文タイトルからわかるように、長い研さんの結果、言語学、人類学、社会学、政治学、国際関係論など、人文社会の諸分野に貢献くださいました。先にのべたように、今、先が見えない時代のなかで、個の在り方、人間が問われる時代となっています。人間とはなにか、人が生きる意味とはなにか、そういう問いかけが、コロナ禍のなかで、ますます、現実的で真剣な問いかけとなっています。どうか、新しい一歩を踏み出そうとしている学問の世界のなかで、さらなる研さんを積み、そうした問いに応える研究を続けていただきたいとねがっています。

Now, I'd like to congratulate all of you who have finished successfully our Master and Doctoral courses of the Peace and Conflict Studies.

I know how difficult it is to take a degree just within a few years far away from your home country. Especially since February this year, because of the Covid-19 pandemic, you have been experiencing more difficulties in completing the thesis, as well as in your ordinary life. I am very glad to see you all looking healthy, happy and satisfied. Yet, I also know that you had to overcome a lot of obstacles. So your effort should be worth a very high praise.

I suppose, the subject of your thesis is tightly intertwined with questions born out of your own experiences. Hopefully, the study you have made at our university, TUFS, will give you a steady basis for your further development.

Lastly, I also hope that the tie between you and TUFS will continue no matter where you will be. We will not forget you and I hope you will not forget us!

Thank you very much and congratulations!

2020年9月28日 
東京外国語大学長 林佳世子

学長式辞
真島学部長祝辞
青山研究科長祝辞
大学院Peace and Conflict Studiesコース修了者記念写真
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