ご入学おめでとうございます!
2020.04.03
林佳世子学長からのお祝いメッセージ
新入生の皆さんへ、
本学にご入学の皆さん、おめでとうございます。心からお喜び申し上げます。
本来でしたら、明日、4日は入学式の予定でした。桜が残るキャンパスに皆さんをお迎えする日を、私たちも楽しみにしていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、式典は中止せざるを得なくなりました。さらに、新学期の授業開始が遅れたのみならず、しばらくの間、教室での授業の代わりにオンラインで授業を実施することになりました。キャンパスでの新生活、教室での新しい語学へのチャンレンジ、新しい友達、クラブ活動と、多くのことを楽しみにされていた皆さんにとって、それらが先送りにされてしまったことへの残念な思いは、痛いほどわかります。私たちも、皆さん同様、残念でなりません。
私たち大学も、体験したことのない事態を前に、対応に苦慮しています。そのなかで、一番心配なことは、皆さんがひとりぼっちで、心細い思いをされているのでないか、という点です。ただ、それも、あとわずかです。これから、学部や専攻語の先生方、先輩などから、次々と連絡が届きます。オンライン上とはいえ、先生方やクラスメートと交流できるようになります。そして、ネットを使った授業が始まります。やがて、私たち一人一人の慎重な行動により、感染が終息する日が近づいてくるものと思います。そして、その先には、皆さんのキャンパスでの日常が待っています。
さて、こうした今を、私たちは、どういうことを考えながら過ごしたらいいのでしょうか。外出もままならない日々、ここはゆっくり、世界や日本の、長い小説にチャレンジしてみてはどうでしょうか。受験勉強に忙しく、脇においてあった本もあるかもしれません。読書は、心を飛躍させ、世界を広げてくれます。ありきたりのアドバイスですが、皆さんが、少しでもこの期間を有効に使って下さることを祈っています。
その一方で、今、世界や日本で起こっている、この未曾有の事態に対し、目を開き、耳を澄すませてほしいと思います。あふれる情報のなかから、信頼できる情報を見分ける力を身に着けるのも、今、必要なことです。誰かが何かを判断し決定すれば、社会全体にその影響が直後にあらわれてきます。その成否は歴史が決めることですが、私たちは今、その推移を目撃しているともいえるでしょう。
やがて困難な日々が終わり、皆さんと、緑のキャンパスで会える日がくることを、心から楽しみにしています。それまでの間、自分と回りの大切な人の健康のため、責任ある行動をとっていただくよう、心からお願いする次第です。
2020年4月3日
東京外国語大学長 林佳世子