ブラジル人コミュニティでポルトガル語劇を公演

2023.12.19

12月10日(日)、本学の言語文化学部および国際社会学部のポルトガル語を専攻言語として学ぶ2年次の学生が、群馬県大泉町文化むら大ホールにおいて、大泉町役場のご協力により、本年度の外語祭で上演したポルトガル語の喜劇「ウ・ジレタンチ(O diletante)」(マルチンス・ペーナ作)を公演しました。

大泉町はブラジル人が多く居住している地域であり、多くのブラジル人の親子が来場しました。まずブラジル人児童および青年のオーケストラによるミニリサイタルが行われ、ブラジルではだれもが知る音楽の演奏が行われました。続いて、本学の学生による語劇の上演に移りました。観客のほとんどがポルトガル語ネイティブのブラジル人であり、ポルトガル語のセリフに瞬時に反応して声をあげて笑う子どもたちのリアクションに学生たちの演技にも熱がこもり、外語祭の出来をさらに上回る公演となりました。劇の内容も、大泉町の地名を入れるなど、大泉町向けのバージョンを用意したことも会場を盛り上げました。公演の後には、ブラジル人の親子らと学生との交流をする場が設けられました。

今年度は8名の留学生(ブラジル人7名、ポルトガル人1名)も同行し、学生との親睦も図ることができました。

<参加した学生の感想>

高橋きづなさん(代表)

私は代表としてポルトガル語劇に関わりました。当初この役職はあまりポルトガル語を使わない事務的な仕事が中心になると予想していましたが、実際はネイティブの先生とのやりとりや練習の代役など役者よりもポルトガル語を使っているのでは?と感じる日々でした。今まで以上にポルトガル語に触れる日々の中でその響きや文化に魅了されたと同時に、自分の無知さとこの言語の持つ世界の広さを実感しました。

加えて私たちポルトガル語科は2回も公演する機会をいただきました。大泉での公演は外語祭での公演に比べポルトガル語を理解する人が多く、笑いの起こるポイントが異なっていたのもまた非常に興味深く印象的な経験となりました。

本語劇を行うにあたりポルトガル語科の先生方を始め、留学生や大学関係者の方など多くの方々にお力添えいただきました。この場を借りて改めて感謝申し上げます。


伊藤澪里さん(役者)

春学期の後半に台本が配られ、役を決め、あっという間に長いようで短かった語劇の期間が終わりました。まさか自分が出演者として語劇に参加するとは思っておらず、「夏休みのうちに頑張ってセリフ覚えないとな。カンニングペーパーでも作ろうかな。」などと考えながら動き出しました。

夏学期になんとか翻訳作業を終わらせ、秋学期に入り、本格的に練習が始まりました。セリフを覚えてジェスチャーを付け、自分の記憶力や表現力をフル回転させたなと感じます。プリントアウトした台本は人目に晒すのを憚られるほどぐちゃぐちゃに破れてしまっています。ただそれを見ると、夕方遅くにも休日にも一緒に練習した仲間たち、熱心に指導してくださった先生の顔が思い浮かんできます。時には面倒に思い、セリフを覚えられずに焦ったり。それでも仲間と笑いながら練習したことは良い思い出です。先生方、ポル科のみんな、Obrigada!


白石棋仁さん(役者)

ポルトガル語劇を通して、私は主にブラジル文化を理解することや教科書にはないポルトガル語の表現で人を笑わせることを学びました。また、私たちの語科は、外語祭だけでなく、ブラジル人コミュニティーのある群馬県の大泉町でも披露したため、活動期間はおそらく一番長いと思います。期間が長い分、たくさんのことを経験することができました。日々の練習に関して、役者や裏方の私生活や授業の影響で全員そろって練習することがなかなか難しく、社会生活をしていく上では仕方ないことだと改めて考えさせられました。しかし、普段より毎日練習に付き合ってくれた語科の先生方や仲間がいたおかげで孤独を感じずに乗り越えることができました。一つの作品を完成させるには、たくさんの人が関わっているんだと身をもって体験することができた貴重な経験となりました。


清水未来さん(照明担当)

私はこの「O Diletante」というポルトガル語劇をつくる一員となれて本当に良かったと感じています。初めはこのマルチンズ・ペーナの物語を難しく思いましたが、劇として演じられる作品を見ることで初めて、この作品が単なるロマンスストーリではなく、「O Diletante」であるということを理解することができました。練習を重ねる度により作品の面白さを感じ、発表までにこの作品がとても好きになりました。私は照明を担当し、初めて舞台の照明に携わる経験をしましたが、照明ひとつで見せ方を大きく変えられるということを学び、裏方の仕事のできることの大きさを学びました。練習時間が限られた中で、なるべく沢山のコミュニケーションをとり、役者だけでなく裏方を担当する人も含め全員が1つの作品に対して向き合っていることを感じ、ポルトガル語科のメンバー同士の距離が一層縮まったことを実感できました。一人ひとりが色々なかたちで劇に参加したからこそ、メンバー全員が面白いと納得できるような劇をつくることができたと思います。


有馬倖・横山リバーモア花さん(字幕担当)

私たちは、脚本を読み込んだ上で解釈・翻訳を行い、本番では役者の動きに合わせた字幕の切り替え操作を担当しました。普段授業で扱う文章とは異なり、限られた字数の中で、自然な会話の表現や笑いを取るための工夫を試行錯誤し、苦戦することもありました。しかし、会場ではポルトガル語が分からないお客さんにも楽しんでいただけたことを間近で感じられて、達成感がありました。大泉文化むらでは、ブラジルにルーツをもつ多くの方々にご来場いただき、楽しそうなリアクションで語劇を盛り上げていただきました。語劇に参加させていただいて、言語を学ぶ楽しさの新たな側面を知ることができ、貴重な経験となりました。

上演中の注意事項も楽しく説明する学生。左は劇団代表の高橋さん
ポルトガル語劇。熱のこもった演技
公演後、キャスト・スタッフの紹介・挨拶
ブラジル人児童・青年オーケストラによるミニリサイタル
武田千香教授(中央左)、ピシテリ・エリゼウ特任教授より挨拶
留学生も参加し親睦を図った
記念写真
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