日本学術振興会
21世紀COEプログラム


21世紀COEプログラム
(文部科学省)


東京外国語大学
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史資料収集


掲載日:05.1.13

保存共有事業の対象文書の紹介
1) ビルマ(ミャンマー)折畳み写本

 本COEは2003年度に、ビルマ・大学歴史研究センター、ミャンマー・ブック・サービスと共同で文書保存事業を行なった。この事業の成果として、折畳み写本のマイクロフィルム2巻、TIFF形式の画像ファイルが収められたCD-ROM 358枚、および Dr. Toe Hla 作成のカタログが完成し、本COE拠点(東京都府中市朝日町)へと届けられた。

 オリジナルの文書は、ビルマ全国の大学の共同利用機関である「大学歴史研究センター(UHRC)」の所長、Dr. Toe Hla がビルマ・マンダレー大学歴史学部に在職中、多くの人々の協力を得て、広く上ビルマ一帯の僧院、旧家から収集したもの。氏がヤンゴンの同センターへ転勤したのに伴い、現在では同センター内に保管されている。

 折畳み写本は、印刷本が出回る以前、王朝時代に広く用いられた筆写媒体。黒色折畳み写本は、比較的安価で庶民に至るまで広く用いられた。内容は借金契約の写し、遺産分配取り決め、裁判記録、占星術、伝統医療その他で、1冊のなかに複数の異なった内容が記載されていることも多い。白色折畳み写本は高価で、宮廷を中心に用いられた。動物、鉱物、植物の顔料で彩色されたものが多く、保存状態がよければ200年以上にわたりきわめて鮮明な色彩を保持する。

 こうした資料は、王朝時代の地方社会、庶民の生活を具体的に表しているものとして、近年注目を浴びるようになった。マンダレー大學を中心に長期間にわたって集められたこの折畳み写本のコレクションがマイクロ・フィルムに納められ、電子化されるのはこれが始めてであり、東南アジア近世史研究にとって貴重な資料が世界に共有されることになる。

写真(クリックで拡大)
黒色折畳み写本 白色折畳み写本 折畳み写本・貝葉文書の保存例


2) カンボジア公文書館マニュスクリプト

 2004年度の事業として、カンボジア公文書館の協力によってカンボジア慣習法集成 (Collection of Khmer Codes 1891) と仏領閣僚評議会議事録 (Minutes of the meetings of the Council of Ministers of Cambodia:1897-1937) のマイクロ・フィルム撮影を進めた。すでに慣習法のマイクロ・フィルム2巻と、閣僚評議会議事録の約1/2に当たる24巻のマイクロ・フィルムが完成し、2004年12月28日に本COE拠点に到着した。

 カンボジアの国内には、ポルポト時代の焚書、資料破壊によって、史資料は壊滅的な被害を受け、とりわけ近世の手書きマニュスクリプトはほとんど残存していないといわれる。その中で公文書館には、数点残存するマニュスクリプトが保管されているが、かなり破損の進んでいるものが多く、その早急な保存活動が必要とされる。しかし機材、資金不足でなかなか手が回らない現状であるという。本COEでは、これらのマニュスクリプトのなかから、資料的価値がきわめて高い上記の2点を選び、マイクロ・フィルム撮影作業を進めて頂いた。また補修用の和紙の提供など、ささやかであるが補修事業の支援も行なっている。

写真(クリックで拡大)
写本の原本 補修作業の様子 補修した写本をマイクロフィルム化



■お問い合わせ
21世紀COE『史資料ハブ地域文化研究拠点』(東京外国語大学)
〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1
電話  042-330-5540
e-mail:
■交通案内
1) JR中央線「武蔵境駅」乗換、西武多摩川線「多磨駅」下車徒歩5分
2) 京王線「飛田給駅」下車徒歩20分、
  又は「飛田給駅」北口より外語大循環バス「東京外国語大学前」下車すぐ

http://www.tufs.ac.jp/common/is/university/access_map.html(府中キャンパスMAPを参照)