MIRAI推進室の久納です。

2023年は元旦からコロナにかかってしまうという始まりだった筆者ですが、臥せっている間に脅威を感じるものと出会いました。

ChatGPTです。

ChatGPTをはじめとするジェネレーティヴAIは、これまでの社会の在り方も変えるでしょう。様々な知を集結させなければ、AIは実用足りえません。倫理の問題もあれば、文章や作品を"生成"する際の芸術系・人文学系の知識も必要になる・・・今まで情報工学系で必要とされていなかった研究分野との融合が必要な時代が来たと言えるでしょう。

昨今、Notion AI(文章要約・作成に特化)やMidjourney(描画)などの様々なAIサービスが登場しましたが、「なにやら難しそう」と思って手を出さなかったり、無料版のChatGPTを試して「結局AIはこの程度しかできないのか」と思い、触るのをやめた人も多いのではないでしょうか。

今回は、AIに触れる導入としてChatGPTで{何ができるのか?}という点に触れながら、多くの人がChatGPTを「難しいもの」と捉えてしまう要因をもとに、なぜ筆者がChatGPTに触れることを勧めるか、について記事にしたいと思います。

ChatGPT・・・何それ美味しいの?

無料版のChatGPTを開いたとき、皆さんは何を入力しましたか?

多くの方が、「〇〇について教えて」ではないでしょうか。そして、変な回答が来てガッカリしませんでしたか?

インターネット上でツールを使って調べる場合、所謂"ググる"ことを想定するでしょうから、これは仕方のないことです。

ただ、ガッカリする前にここで知っておくべきは、「AIは、学習していないことが苦手」という点です。

過去に多くの人が同じ内容について「教えて」と問い、AIの回答に対してどのように教育してきたかによって、AIの回答は変わってきます。

そのため、グーグル検索と同じような目的での使用は適していないと言えるでしょう。

2023年8月現在、無料版はGPT-3.5ですが、このバージョンまでの主な使い方は、「あたかも実在する人と会話しているような感覚を味わう」ところになると思います。

しかしながら、3月のGPT-4発表により、世界中の人々が驚愕することとなりました。3.5よりも情報や分析の正確性が格段に上がったことから、「頼りないけど言えば動く助手」から「仕事を任せられる、頼れる助手」レベルになったのです。

(GPT-3.5と4で同じ指示をして見比べると、その差がすぐにわかると思います。)

またGPT-4のAPI(様々なサービスと組み合わせるために必要な暗号)サービスがβ運用されると、GPT-4を使用したAIサービスが爆発的に増えました。その中には、過去の仕事の形態を真っ向から否定するもの(事務処理のAI全自動化など)が多くあり、ジェネレーティヴAIを危険視する流れが一層強まったのは、記憶に新しいでしょう。

この段階で、AIは「メンドクサイ作業を文句ひとつ言わずこなしてくれる凄いやつ」になったと言えます。

進化、止まらず・・・

2023年度に入ると、GPT-4の進化が更に激しくなりました。

①ブラウジング機能(2023年8月現在、一時停止中)

記事を書いている時点では一時停止になっていますが、ブラウジング機能が追加されたことにより、冒頭に記載した「ググるような感覚で使用する」ことが可能となりました。

また、GPT-4は2021年9月までの情報しか参照できなかったのですが、ブラウジング機能によりWeb上のものがGPT-4の引用元となるため、最新情報を踏まえた指示が可能となりました。

②プラグイン機能

多くの人が、GPT-4と別のサービスを組み合わせて様々な作業の効率化を行っていましたが、その機能がGPT-4の中に組み込まれ、以下のようなことをはじめとする様々な作業をChatGPT内で完結できるようになりました。

  • URLリンク先のPDFを読み込み、その内容についてのチャットボットとして利用する。
  • 指示したイメージに沿った動画を生成する。
  • 自分がやりたいことを元に、旅程を作る。

★ほんの一例です。

③Code Interpreter機能

今まで、ファイルの分析やファイルに基づく作業指示は、対応するプラグインを選択のうえ、Dropbpxなどにファイルをアップロードし、URLリンクを取得しなければ行うことができませんでしたが、この機能によりプロンプト(指示文)を入力する欄にファイルを直接突っ込むことができるようになりました。

※Googleスプレッドシート経由での分析も可能でしたが、同じ内容のものをEXCELファイルで突っ込んだ方が、精度が高いように思います。

※Pythonで動いているようですので、Pythonでできる作業に限られる・・・と思われます。

2023年8月時点では、ブラウジング機能が停止しているためできませんが、今後は音声・動画ファイルなどを分析し、別サービスを併用して様々な作業が自動化することが予想されます。

④Custom Instructions機能

ついに、ChatGPTの対応をこちらが事前に指定することが可能になりました!!

以下の設定を口語体で行えます。

  • 事前に知っておいてほしいこと
  • どのように対応してほしいか

これにより、毎度細かいプロンプトを打つ必要がなくなります。

なお、設定次第ではChatGPTの性格を指定することも可能です。

性格設定をした一例として、以下をご覧ください。

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ハードボイルドGPT.png

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★最初は冗談半分でやってみましたが、AIとの対話が楽しくなるのでオススメです。

ChatGPTは難しい?

普通に使う分には、プロンプト欄にやってほしいことを書けばいいだけなので、コツがあるとはいえ使うことはさほど難しくないツールですが、なぜ「難しい」と思ってしまうのでしょうか。

あくまでも筆者の主観ではありますが、要因としては以下が考えられます。

①"一般"の感覚では、追加機能がわかりづらい

「プラグイン」「コードインタープリター」「カスタムインストラクションズ」と言われても{え、何それ?}となってしまう人は多いかと思います。

調べればすぐにわかることばかりではありますが、「自分には関係ない、よくわからない難しい専門的なこと」というレッテルを貼り、調べないのは世の常です。調べなければ理解できるはずもありませんね。

★裏を返すと、ChatGPTは日本ではまだ{一般的なツールではない}、ということも言えるでしょう。

②"新しいもの"に対する拒否反応

後世のスタンダードになった、当時の"新しいもの"は、常に拒否反応を伴っていました。

ザッと考えただけでも、「電卓」「テレビ」「ワープロ」「PC(文章作成・表計算ソフト含む)」「携帯電話」「インターネット(Wikipedia,Google検索含む)」「スマートフォン」と、名だたる"新しかったもの"があります。

あまりにも革新的なものは、「人を堕落させる」という大義名分のもと非難の憂き目に会ってきましたが、現在はどうでしょうか?・・・むしろ、使えないと笑われるものばかりだと思います。

③単に本人の指示能力が低い

例え「頼りないけど言えば動く助手」であるGPT3.5であれ、しっかりと指示ができる人は、ある程度使えていると思います。

あなたは、他人にしっかりと指示ができていますか?

(筆者は・・・う~ん、見直さないといけないかもしれませんね笑)

ChatGPTのすゝめ

各種界隈で「不正・フェイクを見抜けなくなるから、危険な代物だ!」と話題ですし、実際そのとおりだと思います。

ただ、若年層の人手不足に悩む日本においては、労働力を補う救世主になりうる技術ですし、新たなイノベーションを生む可能性を秘めていますので、上手く事が運べば、5年以内には至る所で一般的に導入されるように感じます。

Notionの話でも述べましたが、社会がデジタル化に向けて急速に動く中で、「できる人がやってくれるから、自分は知らぬ存ぜぬで甘い汁でも啜るかね」という考えを持ってしまう人は、全ての対応を後手に回らせてしまう"組織の癌"となってしまうでしょう。

また、前述したとおり、AIは使用者本人の指示能力の鏡でもあります。指示する側としてふんぞり返っているアナタ。もしかすると近い将来、指示能力が高い新卒社員の下で働くことになるかもしれませんよ?それならまだしも、リストラされるかもしれませんよ?

・・・脅しすぎはいけませんね笑

ただ、そこまではならないとしても、今のうちにジェネレーティヴAIに触れることは、仕事であれ趣味であれ、今後の選択肢を増やす材料に必ずなりますし、実際に今触れている人たちはそうしています。

ずっと触る必要はありません。暇を見て「あー、近場でラーメン食べたいなぁ」と思った時や、「この文章、{てにをは}大丈夫かなぁ」と思った時にちょこっとChatGPTに触れることから始めてみてはいかがでしょうか。そのうち嫌でもその有用性に気づけると思います。積極的に触っていくことをお勧めします。

※個人情報や秘扱いの情報を入力しないよう、十分に注意してください!!

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2023年度通年企画としてMIRAI生の長谷川さんが企画立案した、MIRAIと本学学際研究共創センター(TReNDセンター)共催のイベント「TUFS vs AI」を行っています。

生成AIに関する講演や、学内への涵養を目的としたワークショップを実施しています。ご興味のある方は、是非とも特設Webサイトをご覧ください!!

特設サイト:https://trend-mirai.notion.site/2023-TUFS-vs-AI-bbd78c618a8b40c1b764193e544462af